日々何気なく過ぎていく毎日の中に、心に残る小さな小さな物語があります

前回に引き続き、今回もそんな心温まるお話を紹介します


1、《両親の仲》

両親は仲が悪いと思っていた

冷たく見えるぐらい素っ気がなかったから..

両親の兄弟姉妹などから、幼なじみで大恋愛だったとか、周りの反対を押し切って結婚したんだとか、到底信じられなかった

母が子宮癌で手術を受けた

手術の終わる時刻を見計らって、病院へ行くと、父が母のベッドの傍に座り、好きな歴史小説を読んでいた

麻酔から覚醒したのか、母が痛い痛いと呻きだした

父は即座に小説を閉じ、母の右手を両手で包み込んだ


『ユミ、大丈夫だよ、ユミ‥・』


まだ意識が戻りきっていないながらも、父の声に母が反応して答えた

『タカちゃん‥・痛いよ‥タカちゃん・‥』

父と母が名前で呼び合うのを聞いたのは、それが初めてで、最後だった


母の通夜の後、棺の中の母の頬を何度も何度も父は撫でていた‥

ただ、黙って撫でていた‥・


◆自分がその立場になったらと思うと泣けてきました

遅かれ早かれ人は別れの日が訪れます

その日まで全力で生き抜いていたいものです‥・


2、《自分が選んだ道》

もう数十年前のことです

酒に酔って暴れた主人の、
「お前なんか出ていけ!」という言葉に家を飛び出しタクシーで実家に向かいました

30分も走って、実家がすぐ目の前になった時、黙っていた運転手さんが口を開きました


「小さいお子さんを連れて、こんなに夜遅く、、ご主人とケンカでもしたんでしょう、、。
詳しいことは聞かないけれど、今日は黙ってこのままご主人の所へお帰りなさい。
こんな時間に親御さんの所に行ったら、心配されて、事が大きくなるばかりですやよ。
帰りのタクシー代はいいから」

そう説得され、引き返しました

きっと私の涙顔をバックミラーで見ていて、言ってくれたのでしょう

私はタクシーを見送りながら、涙が止まりませんでした


「自分で選んだ道。
親に心配させない」

その時から私は、心に誓いました

運転手さんの名前は聞かなかっけれど、

一生懸命生きること

思いやりのある人になることがお礼だと思って、今まで頑張ってきました

この親切は、私にとって、本当に心の支えになりました


◆心温まるお話ですね

一人の優しさが、また次の誰かに繋がっていくのですね...。