私にはいつも夢があった。
あれがしたい。
あれがほしい。
あそこに行きたい。
あんなふうになりたい。
それはいつも
自分だけの夢で
自分だけが幸せになる夢で。
でも、あそこに一緒に行けたら
あなたも嬉しいでしょう?
私があんなふうになれたら
あなたにこんなことしてあげられるよ?
ウソだ。
あそこに行けるなら連れは誰でもいいし
(ある程度気心の知れている相手ならば)、
あんなふうになるなら
今とは全く違う人間関係を形成するはずだ。
私はいつも
自分一人で幸せになろうとしていた。
私にお金があれば、私が幸せ。
余ったお金で
家族にもいろいろ買ってあげられる。
じゃあ、余らなかったら?
自分のほしいものの分だけで
お金がぴったりだったら?
『蜘蛛の糸』のカンダタみたいだ。
地獄に垂らされた細い細い糸に
一人で必死にしがみついて
その糸を誰にも見せないように隠して
自分一人で幸せになろうとしてた。
まず私がこの糸で天国に行くわ。
そしたら上から
たくさん糸を垂らしてあげるからね。
あるいはシャンパンタワーの法則のように。
ほら、シャンパンタワーは
まず自分のグラスを満たすでしょう?
自分が満たされなきゃ
人には与えられないじゃない?
だから、私を満たさなきゃ。
もっともっと必要なのよ。
私のグラスはとっても大きいから。
小さなグラスを積んだてっぺんに
ひときわ巨大なグラスを置いて、
これが満たされるまで
あなたたちには一滴も与えられないのよ、
と言う。
ほら、そうしないと
下にこぼれていかないでしょう?
そうやって注がれたそばから飲んでいく。
巨大なグラスはいつまでも満ちることはない。
一人で幸せになることなんて永久にできないのに
私はバカな女だから
それがわからなかったんだ。
必要ないものばかり欲しがって
与えられることばかりに夢中になって
それを自分の価値だと思い込んだんだ。
本当に愚かな女なんだ。
そうやって大切な人たちを
どんどん壊していったんだ。

