子が熱を出して寝込んだ。
心細いのか、時々用もないのに私を呼ぶ。

夜に家事をしているときなどは忙しいので
パパに話し相手になってもらおうかと聞く。
子は、
パパはいい。ママじゃないと嫌。
と言う。

私はそれを聞いて、こっそりほくそ笑む。

モノクロにするとなんか怖いよね。




そう、嬉しく思うのだ。

ほら、私の方が子に愛されている。
必要とされている。
私の方が夫よりも価値があるのだ。



子どもを使って夫に復讐する、というのは
女の常套手段だと思う。

子育てにまるで役立たない夫に苛立ちながらも
心のどこかで優越感を覚えている。

本当は、夫にはそのままでいてほしいのだ。
家事もろくにできず、
子どもの世話にもいつまでも慣れない
使えない男のままでいてほしいのだ。

その様子を見て、
やっぱりこいつはバカだと蔑みたいのだ。
そして私こそが清く正しいのだと。

昭和生まれの女のDNAには
こういう思考回路が刻み込まれている。

子どもはいつでも母親の味方だ。
それを利用して
夫を見下し軽蔑する。
思い切り不幸な顔をして、
それでも私は子どものために
いい母親であり続けるわと
悲劇のヒロインになる。

子どもは、特に女の子は、
まんまと母親の策略にはまる。
そして男を蔑むようになる。
結果、見事なダメンズメイカーになる。

思いっきり親に反抗して家を飛び出せたら
そこから自立の道を歩める希望があるけど、
世間的に見たらそれは
よくないことだと思われる。
何でだろうね。
その子どもなりに精いっぱい
自分を生きようとしているのに
ババアたちは眉をひそめて非難する。
きっと自分たちと同じ末路を
辿ってほしいのだろうね。


そんな連鎖をもう何十年と繰り返してきたのか。


それでも、
ママがいい、ママじゃなきゃいや、
と言われた時の
あの甘美な至福感。

ついしがみついてしまいそうになる
呪縛の言葉。

女の業は深く黒く、悲劇的だ。


 
 
 
 

 

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