(再掲)狂躁亭短信・ 黒砂糖に滅ぼされた江戸幕府 1808281330 | おととひの世界

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リンクも始めましたよ

寝起きついでにちょっと

 トビ飛びでしか
見ていないけど今の大河ドラマ
 幕末ものはいつでもそうだけどさ

 薩摩長州が手を握った 
それでバクフが倒せた?

 薩摩には
西郷隆盛と大久保利通がいて

 長州には
桂小五郎や 高杉晋作や 
伊藤博文 そして大村益次郎がいた 


そんな話ばっかりなんだけど

 確かに人がいないと
何もできないそれはあるよ

 だけどね 
世の中カネがなければ
何も始められないんだよ
 当たり前でしょ?

 幕府は巨大な財力を持った相手
なぜそれを倒せたのか?

 大河ドラマみたいなもの
 そういう話をしたがらないの
しらけちゃうからね

黒船は江戸湾に 
突然 やってきたわけじゃない 

その数年前に
実は琉球に現れていた
(このあたりの経緯
   なぜか Wikipedia ほとんど触れていない
    黒船来航の裏にも書かれていない

    なぜか浦賀来航ばかり
     スポットライトを当てている

     記述の仕方自体がおかしい)

 琉球はいかにも遠い

 江戸幕府は切歯扼腕した
 最も近い有力大名は薩摩

 その薩摩藩には
 四十歳を過ぎて未だに部屋住みで
 つまり家督を継いでおらず

 修理太夫・しゅりだゆう
といういかにもヒマそうな官位しか
持っていなかった

島津斉彬・しまづなりあきら



この人はたいそう優秀 
江戸で 育っていて
江戸の大名も幕府の役人も
 昌平坂の学問所あたりで机を並べ
 一緒に勉強していたから

破格の秀才ぶりは 知れ渡っていた

 諸学百般に通じ
 香港や上海あたりから流れてくる 
英字新聞を くまなく読んでいる
そんな人 

頼りになりそうな人は
彼しかいない

 しかし父親の
島津斉興と仲が悪く 

斉興は 江戸の町人の娘
 お由羅 との間になした 斉彬の弟 
島津久光を 後継にと考えた




 幕府老中たち
それを 察して手を回し

 第12代将軍
徳川家慶を 動かした 


島津斉興は突然江戸城に呼び出された 

お咎めではないという
 何かお褒めの言葉があろうか?
とウキウキして行ったところ

 将軍から
『赤いちゃんちゃんこ』
をプレゼント

これまでの
その方の働き多とする
ご苦労様であったのう

安楽に隠居せよと


 要するに強制引退
言い渡された 

スルト 現在のところ
 跡継ぎは島津斉彬しかいない
 幕府としては 

江戸開府以来の超秀才であった
島津斉彬に 恩義 を売り 
貸しを作って 

しかも持参金として
もともと薩摩ものだった
奄美大島に加え




 琉球の黒砂糖利権までプレゼント




これだけしておけば 

少々の飢饉や凶作があっても
 財政状態にはゆとりができるから

江戸育ちで 薩摩人と
距離があった 島津斉彬

足を引っ張られる
心配もないだろう 
斉彬には働いてもらいたい

 幕府としてはそのつもりだったんだ

薩摩藩は七十七万石 
加賀百万石には足りないが大大名だ 

七十七万石
お江戸の札差に持っていく



 札差・ふださしは
蔵前にいる 米の換金業者だ 

豊作凶作の相場にもよるが

 年間5万両を
上回ることはなかったという 
これに対し江戸幕府

 名目上は900万石以上あった 

しかし
貧乏な旗本や御家人を大量に抱え 

しかも財政が苦しい 

親藩譜代の大名の保証人にもなっている

 生産石高全部が財政収入に
なるわけではない

幕末の段階で 
自由に使える石高は

実質300万石だったと言われている 
これにもろもろの独占利権を加えても 

18万両あるかないか?

 ところが黒船騒動の
 解決要請への礼として 

幕府が薩摩に与えてしまった
黒砂糖の利権 

その年間生産量を
全部換金すると 少なくとも

『24万両以上』になった

 幕府の 全年間収入を
 はるかに上回る巨大な 収入

 結局幕府の役人たち
 旗本 御家人たちは 現場の経済に暗く 

砂糖という商品が 
どれほど世界的に普遍的に
換金性が高い 相場商品であるか ?

全然理解できていなかった 

砂糖利権を巡り
列強と周辺各国の間で
しばしば戦争が起きていた

知っておれば
幕末の幕閣

薩摩にまるまる
サトウキビ利益を投げ与える

それはありえなかったはず

かかるほどに
無知は恐ろしい


与えてしまったものはもう戻らない 
結局この24万両+77万 石

窮乏する幕府財政を
軽く上回る財力が 

薩摩藩をして
倒幕に走らせた時 
それをあっさり成功させる力に
変わってしまったわけだ

 確かに西郷隆盛も大久保利通も
 傑物ではあった さ

しかしねぇ

『先立つもの』がなければ
何もできないんですよ
 これだけ見ても

 明治維新は
『薩摩 の圧倒的な財力』
 のお陰 

それも薩摩藩

世界で
最も換金性が高い
『黒砂糖』を大量に

消費量は右肩上り
上がることはあっても
下がることはない

最強の商品を持っていた

黒砂糖の換金性は抜群
江戸まで行かずとも

薩摩から一足
香港や上海に密輸すれば
直ちに外貨に換金できた

ただちに最新兵器に

幕府が
これを監視すること
もはや不可能だった

それがものを言った

数字から裏付けられます

 琉球黒船来航

あの時 
幕府側が 黒砂糖利権を

島津斉彬に渡していなければ

 幕末維新
全然違う形になったはず

確かに
島津斉彬には世話になった 

味方にしたい気持ちもわかる 
当然のことです

 しかし幕府側から見れば
 黒砂糖利権をまるまる渡す

というのは
どう考えても間違いだった

ペリーが
浦賀に来航する前の話 
もうその段階で
江戸幕府は終わっていたんですよ

 こういう話は
大河ドラマではやりたがらないんだよね 
カネの話は面白くないからさ

それにしても 
ものの値打ちがわからない
ということが

いかに致命的で恐ろしいことか?

まあこの辺の話は 
白洲次郎さんが昔よく言ってたけどね
追記として言っとくと

 太平洋戦争中
砂糖はもちろん配給食
大変な貴重品だった

 実は世界で一番豊か
だったはずのアメリカでも
そうだったんだよ

 砂糖はまず
兵隊のために持って行かれたんだ

 太平洋戦線ヨーロッパ戦線
 最前線の兵隊さんに最優先

 当時ダイエットコーク
なんてものはないから
 全部砂糖が使われていた

 喉が乾くから大量に飲むよ
 ペプシもコカコーラも 
軍隊で覚えさせられるわけだから 

タダで飲み放題だからね 
アメリカ国内では 

甘い飲料 甘い菓子が
手に入らない 

あのくらいの国でも
砂糖は常時不足するものなんだ 

戦時中に発達したのは
塩味系のお菓子

ポテトチップスなんかだったんだ

幕末の琉球や奄美が
そうだったけど

 さとうきびだとか
 砂糖産業プランテーション
現地人を搾取する農業だろ
この点は今も昔もそれほど変わらない
 薩摩藩による 農民搾取 
苛斂誅求を極めたと言う

 アメリカにとって
それにあたるところが
『キューバ』だったんだな

砂糖は嗜好品であると同時に
国際的には戦略物資

なければ命に関わる
ということでは必ずしもないが

 不足すると
国民の不満は危険なレベルまで

砂糖はそういう商品です

そうなる心配がある国ない国 
どうしても差がつくでしょ
 それを押さえている国は強い

それをやっている国
数えるほどしかない 
この分野でもアメリカ
圧倒的に強いです