タワレコさんやってくれるね
ブラームス ピアノ協奏曲第2番
クラウディオ・アバド 指揮
ウィーン フィルハーモニー管弦楽団
マウリツィオ ・ポリーニ ピアノ
1976年録音
初回限定生産だって
cd はずっと前から出てるよ
今回は cd じゃない
お値段はちょっとはるけどね1枚あたり4000円ちょっとでしょ?
CD から見ればちょっと
目が飛び出るような感じ
SACD
まあハイレゾだね
アナログ機器の録音で
その最終番だから
最円熟期と言うかさ
ウィーンフィルは76~7年を境に
かなり音がかわった
昭和50年・1975年
NHK の招聘で
19世紀生まれの最後の巨匠
カール・ベームと一緒に来た
古い時期の音・音色
あのあたりが最後じゃないか
60年代にもかなり大きな変化があったけど
60年代終わりぐらいから
肥えた人がいなくなったよね
全員スマートなイケメンになった
その前はキッシンジャーみたいな
でっぷりしたメガネかけた人が
多かったんだよ
それはビデオアーカイブで確認できる
ハンフリー・バートンが撮影監督をやった
レナード・バーンスタインの
マーラー交響曲集の映像
あれは60年代後半だけど
もうそういう人はいなくなってね
シュテファン・ツヴァイクも
そんなこと書いてたな
いかにも分別のありそうな
太った人が多かったって
カラヤンが『アイーダ』
再録音にあたり
こちらは EMIだったけど
よくサッカー A 代表の応援に使われる
凱旋行進曲のアイーダトランペット
あの時期に新調してるんですよ
知られる通りウィーンフィルは
備え付けの楽器を使うのが慣わしで
彼らはウィーン国立歌劇場というところの
国家公務員だから
備え付けの古い楽器を使う
ウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバーが
サークルでやってるのが
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
コンサートをやるわけね
ただ楽器は貸し出してるんだよね
国家公務員としての
貢献もある程度あるんで
だからフィラデルフィア管弦楽団みたいに
ものすごく高い銘柄の楽器を
揃えているというわけじゃなくて
座付きの古い楽器を使ってるんだけど
それがウィーンフィルの
音の特徴になっている
それを修理して 使ってきたんだけど
どうしたって傷みはくる上に
ウィーンフィルの楽器は古いから
古い楽器を直せる職人が
もうヨーロッパにはいないんだ
しかしヤマハとかカワイにはある
技術も人材も揃っている
カラヤンは
ソニーや yamaha と付き合いがあったから
日本企業の実力は良く分かっていた
だからあえて新丁したんだよ
傷みの激しかったアイーダトランペット
とても長い特殊なトランペットなんだけど
そっくりそのまま
ヤマハにコピーさせたんだ
カラヤンの再録音アイーダは
それが使われている
このことがきっかけになって
古い楽器のリプレースが進んだんだね
もちろんまだたくさん残ってるけど
例えばフルートは
もうだいぶん前から日本製だよ
向こうで作れる職人が
いなくなっちゃってるんだよ
商売にならないらしい
一時期は日本の独占だったけど
ここへ来てやはり
中国が伸びてるみたいだね
するとどうしてもちょっと
近代的な音になってしまった
今回紹介してるのは
その最後の古い音を
つまり昔ながらの
ウィーンフィルの音が残っている
最後の頃のハイレベルな演奏の録音だ
ただし有名なデッカの hi-fi 録音と違って
あれはウィーンゾフィエンザール
客席がほとんどない練習場みたいな
ところで録音ロケーションやってる
だからちょっと非日常的な音がするんだけど
ドイツグラモフォンの場合は
ウィーンフィルのホームグラウンド
ウィーン楽友協会大ホール
あのシューボックス型金箔貼り木造の
由緒正しいホールだよね
あそこでレコーディングしている
そして史上最高レベルのアナログ録音
ある意味とんでもない
文化的爛熟の匂いがする
しかし最高レベルの
音楽的センスで処理されていて
まーこの時代の代表的な
名録音の一つかな
ブラームスのピアノ曲は
ピアニスト泣かせでね
亡くなった中村紘子さん
とても手が小さい方でした
ご本人も小柄だし
ブラームスに取りかかりたかったけど
本当に練習しているだけで
拷問のようだったと
ピアノソナタにしても三番で
彼は書くのやめちゃったんだけど
二十歳ぐらいでね
第5楽章まである
45分はゆうにかかる大曲ですよ
しかも名ピアニストがみんな避けている
難曲・難物だからです
バックハウスやリヒテルも
やってないでしょ?
取り組んだルービンシュタインは
偉いと思うよね
録音がちゃんと残ってます
ピアノ協奏曲第2番
これまた45分以上かかる大曲
しかも第4楽章まであります
堂々たる内容ですよ
実質的にピアノ付きの交響曲と言っても
全然過言ではありません
一説によればこれは
それなりに愛国者でもあった
ブラームスの統一ドイツへの
達成感と思いが詰まっていると言う
まあ交響曲第3番も
そう言われてるけどね
日本とドイツって
同じ頃に統一国家になったんだけど
音楽自体が
『坂の上の雲』って感じなんだよね
ブラームスはワーグナーと違って
控えめな人だったけど
勇気堂々って感じだよね
さーこれからやるぞ!って言う
大海に乗り出すぞ!と言う
ブラームスとしては珍しく
気宇壮大な感じ
明治時代の人ってのは
音楽がそれほどできたわけじゃないからさ
日本人の場合だけど
でも明治の日本人で
音楽ができる人がいたら
こんな音楽を書いたんじゃないか?
すごく『明治男っぽい音楽』なんですよ
明治の日本人のスピリットに
すごく近いという感じ
骨太で逃げも隠れもしない
正々堂々という
超正攻法でね
それでいながら
懐が深い文化の濃厚さ
分厚さってのもすごくあって
やっぱりヨーロッパ世界って
1877年前後がピークだったね
新生ドイツの誇り高い市民感覚
みたいなものがみなぎっている
ブラームスは大言壮語する
音楽家じゃなかったからね
ワーグナーの真逆だよ
あくまでも誇り高い市民として生きる
フリーメーソンと言うと
モーツァルトばかり有名だけど
ブラームスもそうだったんだよ
ただ彼は
オカルティズムに傾倒する
タイプでもなかったね
あくまでも健全な市民
市井人として生きること
誇り高き超一流国の
慎み深い市民として生きること
その姿勢はブラームスの作品に一貫している
或いはあの時代の精神ってのは
世界的にそうだったのかね?
いわゆるひとつの時代の
ツァイトガイストと言うか
そんなこと妄想するのも
私だけかもしれんけどね
しかも演奏している
指揮者クラウディオ・アバドと
ピアノのマウリツィオ・ポリーニが
まだ若い
覇気に満ちている
同時に柔軟さとみずみずしさにも満ちている
こう言っちゃなんだけど
バックハウスとべームと
ウィーンフィルの
あの名盤ともちょっと違うよね
これは70年代
アナログ爛熟期最高の
名録音の一つだと思うし
しかも第4楽章の軽やかさ
時々フィーチャーされるクラリネット
これこそ『いぶし銀の響き』と言うんだって
今はもう再現不可能だよ
曲全体としては
ちょっと軽い終わり方なんだよね
とても軽やかな
夏の終わりの音楽って感じで
その辺りだけはバックハウスよりも
ちょっと上かもしれない
人によってはこれ
すごく竜頭蛇尾な感じ
するかもしれないよね
始まりが大きく始まるからね
同じアバドとウィーンフィルの
マーラーの4番の第4楽章の頭も
そんな感じだったけどね
アナログ最高の録音
迫力とかそういうんじゃなくて
風合いとか味わいと言うか
全部を味わうべき録音だと思います
あの頃のドイツグラモフォン
イギリスデッカの向こうを張っていた感じな
あれでよかったと思う
それ考えれば4000円は安いよ
作品はもちろん演奏録音
ヨーロッパ最高水準
そのメルクマールだね
まだマシンが高いからさ
限定生産って言うなら買うだけ買っといて
ワインセラーみたく寝かしといて
値段のこなれた器械が出るまで待てばいい
ハイレゾオーディオってのは
バカ高いものだと思われてるけどね
音が一番変わるのは
入り口と出口だよ
それは今も昔も変わりません
つまりアンプとかに金かけずに
5万円前後のそこそこのプレーヤーと
後は sony 辺りが出している
2万円から3万円台のヘッドホンがあれば十分
パソコン使ってもいいんだよな
妙なコンポ買うよりも
その方がカタいと思うよ
同じ演奏の cdで
600円から700円だったと思うんで