何年か前のフランス映画だけど
『シャネル&ストラヴィンスキー』
ココ・シャネルって人は
一次大戦直後からほぼ一生を通じて
大作曲家Igor Stravinsky の
スポンサーというか
パトロンだったんだ
ディアギレフのバレエリュス
1913年パリ
有名な『春の祭典』の初演
会場のみならず会場外でも大乱闘になった
警官隊が出動したという
音楽史上の大事件を映画で再現している
その中でニヤリと笑って
chanel が出ていく
まだまだ保守的な男社会の中で
からだまで投げ出して
そういうココ・シャネルから見れば
パリを殴りつけるような事をやった
ストラヴィンスキー
ヒーローに見えたんだね
Chanel 役の主演女優さん
パリ国立コンセルヴァトワール
演劇学科卒業のプロの女優さんでありつつ
スーパーモデルと言う
アンナ・ムグラリスさん
スーパーモデルとしての経歴もスゴイ
カール・ラガーフェルド専属パリコレ
シャネルのミューズだってさ
あるところには才能があるもんだな
人間不公平だよ
シャネルとストラヴィンスキーの
短い不倫関係を描いている
第一次世界大戦は
黄金のヨーロッパの終焉だったよね
かつてなくさかえていた
全世界の富を集めていた
多くの国は戦争が終わったとき
債務国になっていた
ストラヴィンスキーは亡命ロシア人だ
でもロシアやドイツの出版社に
世話になっていた
ロシアでは革命が起きてしまった
ドイツは敗戦とインフレで
大変なことになってしまった
そこで大きなオーケストラを伴わずに
上演演奏できるバレエ演劇を考えた
演奏メンバーはたった7人
それプラスナレーション
ストラヴィンスキー作曲者本人の
演奏もステレオ録音で
残ってるんだけど
この曲
最も有名な録音はこれ
イゴール・マルケヴィッチ
Igor Markevitch(1912~1983)
指揮 ソロイスツ
ラムルー管弦楽団のメンバー
+ モーリス・アンドレ
そしてなんとジャケット画と
語りナレーションがなんとあの大詩人
『ジャン・コクトー』なんですよ
『美女と野獣』だとかさ
文学から映画から絵画まで
後色々な才能を結びつける
プロモーターとして
プロモーターと言って悪ければ
プロデューサーか
そういう最後の人だったね
ジャン・コクトーと
イゴール・マルケヴィッチは友達で
イゴール・マルケヴィッチは
イゴール・ストラヴィンスキーとも
古い知り合いだった
でも晩年ちょっと仲が悪くなっちゃった
イゴール・マルケヴィッチが
1959年に録音した
ストラヴィンスキーの『春の祭典』
現在でもステレオ録音では
最高の名演奏録音の一つとされている
ただ評判があまりにも良すぎて
作曲者本人が録音した
ステレオ録音よりも評判が良かったことを
作曲者ストラヴィンスキーが
良く思わなくなっていた
マルケさん本人がそう言ってた
知る人ぞ知る人
鬼才・イゴール マルケヴィッチ
本日7月27日が誕生日
そしてジャン・コクトー
あれだけ活躍した人なのに
本人の肉声ちゃんと遺したのは
このレコードだけなんですよ
だからデータとしても
アーカイブとしても単なる
録音以上の意味を持ってるわけ
今度タワレコさんから
高音質 cd として再発になりました
買っといて損はないよ
私は新品のLPレコードを持ってるけど
cd も持ってるよ
Igor Stravinsky という人は
チャイコフスキーもそうだったけど
ロシアの最高学府の法学部を卒業した
超エリートです
プーチン大統領の先輩にあたる
しかし活躍を始めたのはパリだった
『バレエ・リュッス』という
バレエやオペラをやる団体を主催していた
ディアギレフという興行主がいた
興行主の名をとって
ディアギレフバレー団と言われるけど
この人はチャイコフスキーのいとこ
作曲から音楽家からバレエから
美術の世界から
才能を発掘してきて集めて
作品を作らせて
それぞれがみんな超有名人になっていた
ストラヴィンスキーはその代表だし
スペインの作曲家マヌエル・ド・ファリャ
『恋は魔術師』『三角帽子』も
プレミアはこのバレー団だった
スペイン王室がスポンサーだったんだ
賢い投資だよな
パトロネージかくあれって感じだね
ファリャは目立ちたがらない人
こういうことでなければ
なかなか日の目を見なかった
『恋は魔術師』とか『三角帽子』の
舞台美術を作ったのが
なんとあの
『パブロ・ピカソ』なんですよ
すんごい贅沢な見世物だよね
巨大な緞帳画まで描いてるよ
お台場開発で中止になった
東京都市博
記念美術展示会だけはあって
それで持ってきたの
見たことがあるよ
ともかく注文が矢継ぎ早に
しかも設定や要求がコロコロ変わる
早筆の天才ピカソでも
ちょっと参ってしまった
当時の新素材・ダンボール紙に
描くことを考えた
それを切り出して立面図を作って
どーもそういう作業をやりだして
あのキュビズムに至ったんではないか?
と私は考えてるんだけど
舞台美術担当はピカソだけじゃなくて
マルク・シャガールもいた
とんでもない事だよねこれ
踊り手もあの天才
後に発狂したニジンスキーが
いたりなんかして
すごいよね
ちなみにニジンスキーと
興行主ディアギレフは
ホモダチだったらしい
日本放送協会の『映像の記録』
晩年発狂したニジンスキーが
フィルムに残されていて
ちょっと痛かったね
文化って言うのは時々
こういう巨大なプロモーターがいないと
うまく花が咲かないことがある
マルケヴィッチさんはその末席にいたんだ
彼は『古今未曾有の神童』として
知られていた
10歳になる前から
バイオリンやピアノが弾けた
なんて言うちょっとグロい神童
あちこちにいるでしょ?
カラヤンなんかそういう類
ところがマルケヴィッチさんは
それだけじゃなかった
作曲家として既に10歳になる前から
モーリス・ラヴェルとか
ストラヴィンスキーとか
バルトークなんかに激賞されていたんだ
これはめったにいないよね
カラヤンが嫌がったのも無理ないよ
さすがにフルトヴェングラー
セルジュ・チェリビダッケと共に
マルケヴィッチを常に従えていた
助さん格さんみたいにね
おそらくカラヤンに対する
牽制だったんだろうね
思い上がるなよ!と
お前よりすごい才能がいるんだよ!と
自分を脅かすカラヤンを
嫌い抜いていたからね
フルトヴェングラーは
フルトヴェングラーは
作曲家でもあったから
マルケヴィッチを余計高く評価したんだろう
カラヤン作曲やらなかったから
ストラヴィンスキーの三部作
『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』
モーリス・ラヴェルの
『ダフニスとクロエ』
クロード・ドビュッシーの
『牧神の午後への幻想曲』
ファリャにしてもそうだけど
そういうものの初演に
ほとんど小さい頃から
立ち会ってるんだよね
マルケヴィッチさんて
後でカラヤンの天下になってしまい
キャリア的に恵まれていたとは
ちょっと考えにくい人だよね
そのモテる才能に比べてさ
しかし遺されたわずかな
録音は凄いもんだ
この人はベートーベンのスコアの
再校訂を依頼されてるんだけど
それだけでも
どれだけ信頼されてたか?
ってことだよね
現在ある原典版のほとんどは
それがもとになってるよ
ラムルー管弦楽団と
ベートーベンは5番6番9番
ちゃんとステレオで残してるけど
凄いもんだよ
あと有名なロンドン交響楽団との
チャイコフスキーの『悲愴』
クラオタとか未だに名盤と言うと
ムラヴィンスキーだったりカラヤンだったり
あいつらマルケヴィッチとか
聴いたことないと思うんだよね
カラヤンもムラさんも
ガキに見えてくると言うか聴こえる
1938年10月の有名な
フルトヴェングラー&ベルリンフィルの
チャイコフスキーの『悲愴』
あれのステレオバージョンアップ版だ
と思えばだいたいアタリだよ
この人の録音は一応全部
聴いてみる価値があると思うね
そのくらいの人だよ
『兵士の物語』
ピーター・ユスチノフまで語りで参加
ラッパはモーリス・アンドレ
あまりにも演奏が上手なんで
パリ音楽院教授に殴られたという
伝説の人だよね
無学の兵隊が
バイオリンを教えてやる代わりに
知恵を授けるという
悪魔の誘いに乗ってしまう
それから悪魔との馬鹿しあいが始まって
というそういうお話
私は将来
録音の博物館が出来たら
これは絶対に入ると思います