有名な方がなくなった朝、
こんな話題はふさわしくないのかも
しれませんが、自分的には
ジョージ・ガーシュインの誕生日。
ガーシュイン本人はレコードもたくさん
残しているし、本人のピアノを
デジタル録音で聴くこともできる。
あの時代はsp録音のレコードしか
ありませんでしたが、アメリカは
タイプライターを作った国です。
さらにがタイムカードとパンチカードを
発明した国でもあります。
現在でもたまに使われている
マークシート方式の入力方法は、
元々コンピューターを事業化することに
最初に成功したIBM社が
タイムカードレコーダーのメーカー
だったことに由来しているそうです。
紙にポチポチ穴をあけて記録する
というやり方、最も巧妙に使った
ものの1つが自動ピアノだったかも。
多くはアップライトピアノの上の
横長のペーパーロールがぐるぐる回る。
映画で時折出てくることがあります。
ピアニストがピアノを弾くと
打鍵強度が10種類から30種類の大小の
穴に機械的に変換され、ピアニストが
弾いた通りのタイミングで
紙に記録されていきます。
紙に記録されたその通りに圧縮空気で
鍵盤を動かすという仕組みです。
この機械のおかげで、マーラー、
ドビュッシーやラヴェル、
ストラヴィンスキーやプロコフィエフ。
さらには往年の大ピアニストたち、
ポーランド共和国初代大統領だった
パデレフスキやラフマニノフ、
ホフマンやシュナーベルといった人達が
弾いているピアノが彼らが死んで
100年以上経っている現在でも
眼前にいるかのように蘇る。
10年くらい前にラフマニノフの
100年以上前の演奏がデジタル化
されましたが、なんだかジュラシック
パークの恐竜が目の前にいるみたいな、
何か決してあり得ないものを聴いている
大変感銘深いものでした。
現在CBSソニーから期間限定で
再発売されている
マイケル・ティルソン・トーマス
指揮ピアノによる40分ちょっとの
短い録音。秀才トーマスはじいさんや
親の代からガーシュインと付き合いが
あった人らしく
こういう企画が実現したみたいですが、
自動ピアノに記録された
ジョージ・ガーシュイン本人のピアノ
によるラプソディー・イン・ブルーに
ビッグバンドを指揮伴奏。
1930年代に亡くなっている
ガーシュウィンとの共演を、1970年代の
ステレオ録音で残すという
ややこしい作業をやっています。
レナード・バーンスタインや
アンドレ・プレヴィンの演奏も含めて
私はクラシック系の大指揮者が演奏した
ガーシュインが嫌いです。
バーンスタインはもとよりプレヴィン
でさえも、まともなジャズのセンスが
あるとはちょっと思えず、
ジャズでもなければクラシックでもない。非常に中途半端な演奏だという感じ
なんですね。
かつてアラン・アルダという
ピアニスト兼俳優が主演でガーシュインの伝記映画が作られたことがあります。
当時はガーシュインの数々の音楽を
初演している
ボール・ホワイトマン楽団のメンバーが
まだ全員存命で、銀幕の中で
その当時の演奏を聴くことができる
そのスタイルは
現在のそれとは似ても似つかないもの。
もちろんとても都会的で、
しかもそこそこの狭いところで
やっているというライブ感があり、
何より1920年代アメリカの
颯爽と疾走するスピード感が
それこそ満ち溢れている感じ。
クラシック系の演奏には
それが全く欠けている。
クラシックでもなければジャズでもない
とても中途半端でぶよぶよしたもの。
ところがこのマイケル・ティルソン
・トーマスの演奏にはそれがない。
まぁもともとそれが目的だったのでしょうがホワイトマンの初演当時のスタイルに
完全に戻してしまっています。
早すぎの空回りだのという悪口は
結構あるわけですけれど、
あのようなノリのガーシュインの演奏は
他に聞くことができません。
それこそ戦前の浅草あたりに行けば
聴くことができたのかもしれないと。
谷崎潤一郎や永井荷風も、あるいは
聴いたのかもしれないような・・・
そういうビッグバンド出現前夜
みたいな、とても心地よい
軽いノリなんですよ。
ここのところ気の重い話が多いので
車の中ではそればかり聴いてます。
もっともガーシュイン本人のピアノが
聴けるのラプソディー・イン・ブルー
だけなんですが・・。
それでも普段聞くに堪えない演奏ばかり
聞かされている気がするので、
これを復刻していただけるだけでも
大変ありがたいと思います。