早稲田大学放送研究会の皆さんと。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

早稲田


 アップした写真は今から6年前の2010年4月18日、早稲田大学放送研究会 製作部 ドキュメンタリー班のメンバーたちと取材の収録が終わった後に記念撮影したもの。

 事の始まりは一通のメールからだった。永井彰君という青年から「取材の申し込みをしたい」内容のメールが届いた。彼らが私の事をどうやって知り得たのか詳細は知らなかったが、詩集・天国の地図が彼らの眼に止まり、『詩集出版がうつ病克服のジャンプ台』という部分に興味を持ったらしい。

 何通かのメールを永井君とやり取りし、都合の良い日時・場所を決めた。そして取材当日の4月18日、待ち合わせ場所に指定されたJR高田馬場駅・早稲田口へ。日曜日の駅前は雑多な人の波で溢れかえっている。どんな青年がやって来るのだろうと思いながら人の流れに視線を投げていた。

 すると後ろの方から声がした。「神戸さんですか?」振り向くと背の高い茶髪で黒縁のメガネを掛けた20代前半の青年が微笑みながら立っていた。「あ、はい神戸です…」。青年はサッと名刺を私に差し出した。「ここから数分の所に取材場所を確保してありますので、行きましょう」。

 青年はそう告げると足早に早稲田通り方面へと歩を進めて行った。往来の激しい人ごみをすり抜けながら息を弾ませ彼の後を追った。健康な若い男性の身体を恨めしく思ったが、当時はまだまだ心臓も元気だったので、その速度に負けじと食いついて行った。

 「このビルです」10階建てほどの白いビルに入ると、スタジオ風の部屋が幾つもあり、その内のひとつの部屋に通された。部屋の中では数人の班のメンバーが待っており、「こんにちは神戸さん、本日はよろしくお願いします」と丁寧な挨拶を交わして来た。

 収録用と思われる機材や報道などに使われる大型のビデオカメラも設置してあり、本格的な取材なのだと改めて思った。「それでは神戸さん、これから約2時間インタビューをしますので、よろしくお願いします」班の代表が一人、白いテーブルを挟んで向かい合わせに座った。

 ビデオカメラが回り始め、取材が始まった。テーマは『うつ病と自殺』重い内容なだけに、私は慎重に言葉を選びながら質問に答え、体験談などを語った。今でこそ年間自殺者は3万人を下回り減少傾向にあるが、当時は3万人を超え社会問題として国や各自治体、NPO団体などが自殺を食い止めるための方法を模索していたが、画期的な方法は見つからず机上の空論に終わるなど、明るい兆しなど到底見えては来なかった。

 そのような厭世観が漂う現代社会に一抹の光明を見出そうと、彼らなりの実験的な試みを私に求めたものと思われる。実際に『うつ病』を体験し、その暗闇から希望の光を見出した体験者の生の言葉が欲しかったのであろう。

 20代前半の若き早大生と2時間に渡り語り合えた事は、私自身にとっても貴重なひとときであり、まさにこれが『一期一会』だと言えよう。今は社会人となり各々の得意分野で活躍しているであろう彼らに、少しでも生きるヒントを与える事が出来たなら社会人の先輩として満足である。