のん気な東電。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

 

プールサイドの人魚姫-デンコ

 

 

 原発事故発生から一ヶ月半が経過して漸く公開された放射線量分布マップ。このような最も重要と思われるデータを何故にこれまで明かす事なく密封し続けたのであろうか。

 

 放射線の影響を受けている人々誰もが最も知る権利のある内容であり、事故が発生した時点で即座に公表すべき情報であった。

 それが例えシュミレーションであったとしても、放射線の動きを予測し、それに備える為の謂わば緊急地震速報と同じ類のものであり、安全と安心を先取りする意味ではリアルタイムな情報公開が最優先されるべきである。

 約100億円という巨費(税金)を投じて作成された「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)という優れた技術を持ちながら、それを全く活かし切れていないその背景には、データ公表が混乱を招く結果になりかねないといった原子力安全保安院や政府の弱腰対応がシステムそのものを無能状態にしてしまったという、とても迅速とは思えない鈍速システムに作り変えてしまったのである。

 このように東電や政府の隠蔽体質は今更という感もあるが、やはり限度というものがありその場で頭を下げて済む問題ではない。

 つい先日、1号機原子炉建屋内に空気中の放射線量を減らす為の換気装置を設置する為、水素爆発以降初めて作業員が数人建屋内に入り設置作業を終えた。その後の東電による記者会見で「命がけという状態ではなかった」旨の言葉をためらいもなく使っていたが、これは現場を全く知らない人間のいう言葉であり、わたしは実に不愉快な思いをした。

 高濃度に汚染された現場で作業する人々はみな命がけである。そして原発周辺の避難者も家畜も全て毎日が命がけなのである。

 あばら骨が浮き出るほどやせ衰えた牛たちは、自分の身を削ってまで生きているのだ。酪農家たちの慟哭にも似た悲鳴が聞こえないのだろうか。

 土地を追いやられ、生活を捨てるという事は彼らに「死の宣告」を告げているようなものだ。事故現場では東電社員がクローズアップされるが、作業の殆どは下請けの作業員たちで成り立っているようなもの。

 現場には医者さえ常駐しておらず、過酷な環境下に置かれている現場の声は尽く遮断され、わたし達の所に届く事はない。

 国や東電に対する不信感と疑問は募るばかりで、一年後の海や空や土が事故発生前の状態に戻る保障は何処にもなく、虚しく響く牛の鳴き声だけが恨み節となって木霊しているだけで…。