海に生息する生物の種類はおよそ1000万種類にも及ぶ。
その中で、人間の胃袋を充たす生物はどの位の数に上るだろうか。
そんな事に興味を持つのは海洋学者くらいのものだろうが、地球環境の破壊が現実化している現在に於いては誰もが当事者であり、目を逸らすような事は極力控えなければならない。
人間一人が一年間に消費する食料は約1トンに及ぶ。
極論を言えば人間は食べる為に生きているようなものだが、生命はエネルギーの塊であるから、それを維持するには補給が不可欠。
それが「食」の原点であり、生きる証と呼んでも過言ではない。
人間が嫌う悪臭やゴミ、垢、コケ等を栄養源としている原生動物のバクテリアを見ると、自然環境の中には「無駄がない」ことを教えてくれる。
生物の排泄物もエネルギーとして生まれ変わっている事を知ると、循環と還元の繰り返しによって、自然界のバランスが保たれているのだと思い知らされる。
先日、大西洋・地中海産クロマグロを巡って、世界各国が一同に会し議論を繰り広げたが、モナコとEUが求めていた国際取引禁止は否決され、マグロに最も近い日本はその結果に胸を撫で下ろした。
日本の食卓からマグロが消えるのではと、不安がピークに達していただけに、関係者も含め消費者からは安堵の声があちらこちらで上がった。
だが、問題が解決した訳ではない。
黒マグロがこのワシントン条約に上るような事態を招いた責任が、何も問われていない事の方がより重要課題ではないかと思う。
そして、この審議の背景に「国益優先」がある事。
利権や利益が自国に与える影響が大きいとなれば、そちらに意見が傾き優先するという諸国の思惑が浮き彫りになったこの会議には、人間の矛盾を反映、そして傲慢なエゴイズムだけが残った。
いつまでもあると思うななんとやら・・・ではないが、資源は永遠ではない。
いつか必ず底を突く日がやって来る。
絶滅危惧種に指定し保護する事は必要であるが、そこまで追い込む人間の在り方が修正されなければ、根本的解決は望めないだろう。
最も必要なのは「海を育てる」事ではないだろうか。
海洋汚染は人間の汚染に結び付く。
このままでは本当に海から健康なマグロは愚か、全ての魚介類がバランスを崩し、消え去る日が来るかも知れない。
そして食の基本、文化をもう一度根本から問うてみる必要があるのではないだろうか。
文化は人間の創造物であり、自然界の置物ではない事を再確認しなくてはならないだろう。