天使がくれたピアノ(第6楽章) | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

赤いピアノ「トラステ賞」
天使がくれたピアノ 第6楽章

私が2歳になった頃、祖母が赤いピアノのおもちゃを買ってくれたの。本物のピアノの音とは比べものにはならないけれど、私が初めて触れるピアノだったわ。ピアノの前にちょこんとお人形みたいに座ってね。祖母がにこっとしながら「ほら、かやこピアノだよ」って教えてくれた。私にはそれが何だか分からなかったけど、その赤色がとっても鮮やかだったから興味を惹くには充分だった。「さあ、弾いてごらん」祖母が私の手を取って鍵盤に誘ったの。私はピアノより祖母の顔を見上げてた。「ばっちゃん、ばっちゃん」と祖母の事を呼んでいたの。優しい柔らかい手が私の手をいたわるように包み込む。左手の薬指がぴくぴくしていた。キンカンコン…。これがピアノの音なんだ、初めて聴いた音の響きは今でも記憶の片隅に残っているわ。祖母がそのおもちゃのピアノで弾いてくれた曲は「江戸の子守歌」だった。ねーんねんころりよおころりよ…。私は坊やじゃないって思ったけれど、この曲のリズムを聴くと何故か眠くなってしまうのね。母は何とか仕事を続けていた。祖母が良き相談相手になってくれたお陰かも知れないわ。