父さん、母さんが出て行ったのはあなたのせい? 母さんが居なくなってからの父さんは酔っ払ってばかりいて小さな僕を追い掛け回してばかりいましたね。泣きながら逃げ惑う僕を捕まえて殴ったり、蹴ったり。次の日僕の顔に出来た青あざを見て「とし坊どうした」はないでしょう。
昨日の事はすっかり忘れてしまい普段の優しい父に戻るあなたが大好きでした。父さん、あなたから貰った初めての手紙は高い塀に囲まれた別世界からの青い便箋でしたね。所員の検閲の赤い判子が押してありました。達筆なのかへたくそなのか分からないような字で三枚の便箋に縦書きでびっしりと書いてありました。アル中だからお酒が切れると手が震えるからきっと手紙の字も震えていたんですね。
洗面用具が必要だから三千円送れと…父さん僕はまだ十五歳で働いてなかったじゃないですか。その三年後肝硬変で逝ってしまったけれどその時の顔は幸せそうでした。大好きだった母と天国で仲良く暮らしているんでしょうね。