木の神様〜
『古事記』に「木の神」として登場するのが、久久能智神(ククノチノカミ)です。
「クク」は、木が伸びていくこと。「チ」は、いのちの力を表すともいわれます。大地に根を張り、空へ向かって成長する、木そのものの生命力を象徴する神様です。
また、大屋毘古神(オオヤビコノカミ)は、木の国である紀伊国に鎮座し、八十神に追われた大国主命をかくまい、根の堅州国へ逃がしました。
木や森を守る神、木を使って家や船を造る知恵を授ける神、そして人のいのちを守り、次の道へと導く神としても。
そして、大山津見神(オオヤマツミノカミ)は、山全体をつかさどる神様です。
山には木々が茂り、水が生まれ、鳥や獣、虫たちが暮らしています。大山津見神は、一本の木だけでなく、そこに結ばれている山や森の大きないのちを守る神様なのでしょう。
木の神様といっても、その働きは一つではありません。
一本の木に宿るいのち。
森を守り、人を助ける働き。
山全体を包み、あらゆるいのちを育てる力。
それぞれに役割があり、それぞれのお名前があります。
木の幹に不思議なお顔や姿を見つけたとき、それをただの模様と思うこともできます。しかし昔の人は、そこに神様の気配を感じ、手を合わせたのではないでしょうか。
どのお名前の神様かを決めること以上に、
「この木も生きている」
「ここにも神様の働きがある」
と感じられる心こそ、日本人が大切にしてきた、八百万の神々を敬う心なのだと思います。
全国古事記塾主宰 今野華都子絵と文記す
この絵は茶色の持ち合わせてがなかったのでコーヒーの液と粒を袋から出して描きました。








