こんにちは
漢方の岸本薬局の
岸本京子です。
健康診断で中性脂肪が高いと、
「食事を見直してください」
「運動してください」
と指導が入ることは多いですよね。
ところが反対に、
中性脂肪が低くても、
「低いぶんには問題ありません」
と、
そのままになっていることが少なくありません。
もちろん、
中性脂肪は高すぎると
動脈硬化などのリスクにつながります。
でも、中性脂肪は、
ただの悪者ではないんですよね。
体を動かし、
体温を保ち、
食事が取れない時間にも生命を支える、
大切なエネルギーの蓄えでもあります。
だから私は、
元気が出ない女性の中性脂肪が低かった時、
「低いから安心ですね」
ではなく、
なぜ、この人の中性脂肪は低いのだろうと、
もう少し体全体を見るようにしています。
中性脂肪は、
体の「エネルギー貯金」
中性脂肪は、
食事から摂った
カロリー、糖質、脂質を
もとに作られます。
食事から得たエネルギーを
その場で
すべて使い切るわけではないんです。
使わなかった分の一部を
中性脂肪として蓄えておき、
食事と食事の間や睡眠中、
運動する時などに、
必要に応じて取り出して使っています。
つまり中性脂肪は、
体にとっての「エネルギー貯金」
のようなものです。
皮下脂肪として体温を保ったり、
内臓を外からの衝撃から
守ったりする役割もあります。
多すぎると困りますが、
少なければ少ないほど健康、
というものでもないんです。
中性脂肪が低い人に
見られることがある不調
中性脂肪の数値が低いからといって、
必ず症状が出るわけではないです。
もともとの体質や食生活によって低めでも、
元気に過ごしている人もいます。
一方で、
中性脂肪が低く、
次のような不調を抱えている女性もいます。
-
疲れやすく、夕方まで体力がもたない
-
朝から力が出ない
-
空腹になると、だるさや冷や汗、手の震えを感じる
-
食事を抜くと、イライラや不安感が強くなる
-
集中力が続かず、頭がぼんやりする
-
冷えやすく、体温を保ちにくい
-
めまいやふらつきを感じる
-
食が細く、一度に十分な量を食べられない
-
痩せてきた、または体重が増えにくい
-
月経が不規則になった
-
髪や肌の乾燥が気になる
-
風邪を引いたあと、なかなか元気が戻らない
ただし、
ここは誤解しないでほしいところがあるんです。
これらは
「中性脂肪が低いから起きる症状」
とは限りません。
食事量やエネルギーの不足、
貧血、
甲状腺の病気、
消化吸収の問題などによって体調を崩し、
その結果の一つとして
中性脂肪も低くなっている可能性があります。
大切なのは、
中性脂肪の数字だけを上げることではなく、
なぜ低くなっているのかを考えること。
ダイエットをしていなくても、
エネルギー不足になる女性
中性脂肪が低い女性の食事を聞いてみると、
「そんなに食事を減らしているつもりはありません」
と言われることがあります。
けれど、
詳しく聞いてみると、
朝はコーヒーだけ。
昼はパンやサラダだけ。
夜も太りたくないので、
ご飯はほとんど食べない。
お肉の脂身や油は、
体に悪いと思って避けている。
そんな食事が続いていることがあります。
食べてはいるけれど、
体を動かし、
体温を作り、
ホルモンや筋肉を保つための材料が足りていない。
これは、
見た目だけではわかりにくい
「エネルギー不足」です。
特に女性は、
「太りたくない」
「中性脂肪は低いほうがよい」
「油はなるべく取らないほうが健康」
「空腹は健康の証」
と思って、
知らないうちに糖質や脂質を
減らしすぎていることがあります。
体は毎日、
呼吸をし、
心臓を動かし、
体温を保ち、
脳を働かせています。
そのためのエネルギーが
十分に入ってこなければ、
体は限られたエネルギーを、
生きるために優先度の高い場所へ回します。
すると、
「病気ではないと言われたけれど、どうしても元気が出ない」
「休んでも疲れが抜けない」
という状態につながることがあります。
中性脂肪が低くなる背景は、
食事不足だけではありません
低い数値が続いている場合には、次のような背景も考えます。
1.食事から入るエネルギーが少ない
食事量そのものが少ない、
欠食が多い、
脂質や糖質を極端に控えている、
長時間の空腹が続くといった場合です。
体重を落とすつもりがなくても、
忙しさや胃腸の弱さから、
必要量を食べられていない女性もいます。
2.食べても、うまく吸収できていない
慢性的な下痢、
脂っぽく流れにくい便、
腹痛、
体重減少などがある場合には、
消化吸収の問題が隠れていることがあります。
脂質の吸収が悪くなると、
脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E・Kなども
不足しやすくなります。
3.甲状腺ホルモンが多すぎる
甲状腺機能亢進症では
代謝が過剰に高まり、
コレステロールや中性脂肪が低くなることがあります。
食べているのに痩せる、
動悸、手の震え、汗が多い、暑がり、
落ち着かない、首の腫れなどがある場合は、
甲状腺機能の確認が必要です。
4.肝臓の働きが低下している
肝臓は中性脂肪やコレステロールなど、
脂質の代謝に深く関わっています。
肝機能の低下によって、
脂質が低くなることもあります。
5.まれに遺伝的な体質がある
頻度は高くありませんが、
脂質の合成や運搬に関係する遺伝的な病気によって、
血液中の脂質が著しく低くなることがあります。
「油を増やせば、糖を多く食べればいい?」
ではないんです
中性脂肪が低いからといって、
揚げ物やバターをたくさん食べればよい、
糖質を多く食べればよい、
カロリーを多く摂ればよい、
タンパク質を多く食べればよい、
という話ではないんです。
必要なのは、その人が今、
-
1日に必要な量を食べられているか
-
朝食や昼食を抜いていないか
-
糖質を怖がって減らしすぎていないか
-
肉、魚、卵、大豆製品などを取れているか
-
良質な脂質を極端に避けていないか
-
胃腸できちんと消化・吸収できているか
-
貧血や甲状腺、肝臓などの問題がないか
を確認することです。
食事を整える場合も、
脂質だけに注目するのではなく、
主食・主菜・副菜をそろえ、
糖質・タンパク質・脂質をきちんと体に入れること
が基本になります。
たとえば
朝食がコーヒーだけなら、
ご飯と卵、お味噌汁を加える。
パンだけなら、
卵やツナ、スープを組み合わせる。
昼食がサラダだけなら、
ご飯やパンなどの主食と、
肉・魚・卵・大豆製品を加える。
一度にたくさん食べられない場合は、
間食を上手に使う方法もあります。
ただし、
糖尿病や腎臓病、肝臓病などで
食事指導を受けている方は、
自己判断で増やさず、
主治医や管理栄養士に確認してくださいね。
低い数値と不調が重なった時に
確認したいこと
-
中性脂肪が何度測っても低い
-
以前より大きく下がった
-
意図せず体重が減っている
-
動悸、発汗、手の震えがある
-
下痢や脂っぽい便が続いている
-
食欲がなく、十分に食べられない
-
強い疲労感やふらつきがある
-
総コレステロールやLDLコレステロールも低い
-
貧血や低アルブミンなど、ほかの異常もある
という時は、一度医療機関で相談してください。
必要に応じて、
血算、鉄やフェリチン、総タンパク・アルブミン、
肝機能、血糖、甲状腺機能などを確認します。
女性の「元気が出ない」は、
一つの検査値だけでは説明できません。
中性脂肪だけでなく、
体重の変化、食事量、月経、睡眠、便通、冷え、動悸などを
一緒に見ることで、
ようやく背景が見えてくることがあります。
元気が出ないのは、気虚(気不足)
朝から疲れている。
夕方になると、もう動けない。
休日は何もする気になれず、寝て終わってしまう。
そんな状態が続くと、
「私は怠けているのかな」
「年齢だから仕方がないのかな」
と思ってしまう女性は少なくありません。
でも、
体を動かすためのエネルギーも、
体を修復するための材料も足りていなければ、
気持ちだけで元気を出すことはできません。
中性脂肪が低いことは、
それだけで不調の原因とは限りません。
けれど、
体が出している
小さな手がかりの一つになることはあります。
健康診断で「高くないから大丈夫」と言われても、
体調まで大丈夫とは限りませんからね。
検査結果を一つずつ切り離して見るのではなく、
食べられているか。
吸収できているか。
必要な場所にエネルギーを届けられているか。
体全体を見ながら考えることが大切です。
「異常なしと言われたけれど、どうしても元気が出ない」
そんな時は、
数字を眺めて終わりにせず、
体からの手がかりとして
一緒に読み解いてみてくださいね。
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