日曜日のお昼、娘が観たいと言うので、家族でスパイダーマンの映画を観に行った。
 
田舎の映画館なので、普段は大抵すいているのだが、スパイダーマンの新作で公開されたばかり。混むかもしれないと思い、チケットをネットで予約して少し早めに向かった。
 
予想どおり、館内は子どもや若者、付き添いの親などで思った以上ににぎわっていた。娘と息子、主人と私で別々に座らなければならないほどだ。
 
席について待っていると、館内が暗くなり、これから公開される映画の予告編が始まった。
 
オーストラリアの田舎の映画館では、結構遅れて来る人もいる。本編が始まるまでに入れば大丈夫、というおおらかな雰囲気だ。
 
すると突然、館内がパッと明るくなった。小学生くらいの男の子ふたりと、お父さんが席を探していたのだ。
 
映画館のスタッフが空いている席を案内していたが、3人並んで座れる場所はもう残っていない。男の子たちは前後の席に、お父さんは少し離れた斜め後ろに座ることになりそうだった。
 
その様子を見ていた後ろの列のご夫婦が、「どうぞ」と男の子たちと席を代わり、さらに近くに座っていた若い男性も席を移動してくれた。
 
みんなのちょっとした気遣いのおかげで、本編が始まる直前、親子3人は仲良く並んで座ることができた。そして再び館内が暗くなり、映画が始まった。
 
こういう何気ない場面を見るたびに、「オーストラリアの田舎に住んでいてよかったな」と思う。
 
誰かが困っていたら、自然と手を差し伸べる人がいる。そんなおおらかさや温かさに触れて、映画が始まる前から心がほっこりした。
 
おかげで、その日はいつも以上に幸せな気分で映画を楽しむことができた。