K大。いちおう私の母校であるのだが、私立という
こともあり、国立(旧帝大)医学部受験生にとっては
かっこうのすべり止めであり、定員60人に対して
2000人が押し寄せるという激戦区であった。

ここは当時遠恋していた彼氏が、いつまでたっても
大学に落ち着かぬ私を見かねてここならどうか、と
すすめてくれたところであった。
私大にしては授業料が安かったので(それでも国立の数倍だが)
ここならサラリーマン家庭のうちでもだいじょうぶかな、
と受験してみた。

気軽な気持ちでリラックスして受験出来たのは、
どうせ東大・京大・阪大に合格した人が入学辞退
するだろうから、私のようなみそっかすでもチャンスが
あるかもと思ったこと、そして医学部にしては当時
珍しく、センター試験の国語を重視するという大学であり、
文系人間の私にはもってこいであった。

ところが試験当日は重い風邪に。
家族がひいてきて、あっという間に私にうつってしまったのだ。
咳止め投入でフラフラしつつ受験したので、あがったり
緊張する余裕すらなく、ただたおれないように…としか
考えられなかった。
それが良かったのか、或る意味ふてぶてしくすらある
態度で面接を終了できた。

面接内容は
「女の子って結婚したら辞めちゃうんだよな。
教えたことがムダになってしまうからイヤなんだよ。
あなたは結婚して、ダンナが仕事辞めろって言ったら
どうする?」
というもの。私は彼氏はいるものの、結婚のような具体的な
話も出ていなかったので、なかば他人事のように
「ダンナと仕事を続ける方向で話し合います。」
などと優等生のようなことを言っていた。

風邪でフラフラしていたため、受かったらもうけものとしか
思わなかった。しかしこのK大から入学してもよいと
言われるのだから運命はわからない…。