H大で面接対策をしていかず、無惨な結果に終わった私。
1浪・1仮面(要するに二浪)の背水の陣でのぞんだ
C大受験でのこと。

やはり、趣味をきかれる。
趣味と言えば、お見合いだって「ご趣味は」などと
言うくらいなので、ひととなりを知る基本なんだろう。

本当の私の趣味は読書だが、
平井和正「ウルフガイ・シリーズ」だとか
新井素子のコバルト文庫だとか、夢見がちな本しか
読んでいないので、その話題を出すのは危険だ。
H大だって、にわかに読んだ「脳死」の本の話題で撃沈した。
ここは無難に、もうひとつの生き物好きを押しだそう。

それで私は、
「生き物を見るのが好きです」
と答えた。すると、面接官は
「どんな生き物を見るの?」
とおっしゃる。こちとら受験生なので、動物園にも久しく
行っていない。見るのは庭の枯葉ばかりである。
夏ならば、トカゲやカナヘビがいるのだが。
季節は折悪しく受験シーズンの冬。

うーんうーんうーん…
悩んだ私はつい
「庭にいる生き物などです」
と答えた。しかし
「どんな生き物?たとえばなに?」
と追いつめてくる試験官。
うううむ…
私はついに言ってしまった。
ダンゴムシなどです」

それからは、ダンゴムシ談義に花が咲いてしまい、
私は「ダンゴムシって丸まるのが可愛いんですよね。
一方ワラジムシはよく似ていますが丸まりません」
などと、本当は虫キライなのに要らない知識を披露していた。

それでもまだ、「ダンゴムシは…」
「それで、ダンゴムシだけど…」
などとダンゴムシに話を持っていく面接官。
私は心の中で、
「ほんとは虫、嫌いなんじゃー!
ダンゴムシはもういいんじゃー!」
と叫んでいた。それでも受かったのだから、この世は
わからない。
筆記試験で一年前の東大模試とほぼ同じ設問が出た
ラッキーのせいか…。

C大はとても雰囲気が良かったのだが、それでも
有名どころに目がくらんでK大に入学手続きをとり、
N大を退学して医学生再スタートをきった私であった。