某地方公立大の医学部に入学した私。
自己紹介で平然と
「東大めざして二浪して、都落ちしてここに来ましたっ!」
と言う人までいるほどの、悲哀にあふれたムードで
学生生活がはじまった。そう、その大学は日程的に
すべり止めとして最適な受験日に一致していたので、
東大、京大などチャレンジ受験する人にはうってつけだった
と言うわけで…。
しかしそのせいで、お勉強だけ出来るすべり止め人材は
たくさん受かるものの、地元で純粋に地域の医者になりたい人を
はじいてしまう結果にもなっていた。受験の不条理。
どの医学部へ行こうと医者になるには変わりない。
どういう医者になるか、なりたいのかが問題なのだ。
わかってはいたのに、第一志望大への夢捨てきれず心うずく
自分がいた。やはり出身大学の学閥によって、有利不利が
あるのは動かせない事実だし、もう一度だけ…と私は模試を
再び受け始めた。
その某大では、自然とクラスメートと距離を置くようになって
いった。仮面浪人という大学と受験の二兎を追う者となって、
なんだか裏切り者になってしまったかのような気分だった
から。
今思うと、なぜ自分がそんなに偏差値の高い大学をしゃにむに
めざしていたのかよくわからない。親から医者になれなれとは
言われていたけれど、具体的な将来のヴィジョンなどなかったのに。
これが若気のあやまちというやつかもしれない。
クラスで孤立してゆく私に、ただひとり声をかけてくれる女性がいた。
彼女は私の母と同い年だという。医者になりたくて、家庭を持ち
つつ受験・医学部入学を果たしたのだという。
その彼女が、秋になって私に問うた。
「あなたの名前を模試の番付で見たって人がいるんだけど…
ほんとなの?仮面浪人しているの?私だけには話して。」
私は、答えることが出来なかった。そしてクラスでの最後の
友人を失ったのである。(つづく)
自己紹介で平然と
「東大めざして二浪して、都落ちしてここに来ましたっ!」
と言う人までいるほどの、悲哀にあふれたムードで
学生生活がはじまった。そう、その大学は日程的に
すべり止めとして最適な受験日に一致していたので、
東大、京大などチャレンジ受験する人にはうってつけだった
と言うわけで…。
しかしそのせいで、お勉強だけ出来るすべり止め人材は
たくさん受かるものの、地元で純粋に地域の医者になりたい人を
はじいてしまう結果にもなっていた。受験の不条理。
どの医学部へ行こうと医者になるには変わりない。
どういう医者になるか、なりたいのかが問題なのだ。
わかってはいたのに、第一志望大への夢捨てきれず心うずく
自分がいた。やはり出身大学の学閥によって、有利不利が
あるのは動かせない事実だし、もう一度だけ…と私は模試を
再び受け始めた。
その某大では、自然とクラスメートと距離を置くようになって
いった。仮面浪人という大学と受験の二兎を追う者となって、
なんだか裏切り者になってしまったかのような気分だった
から。
今思うと、なぜ自分がそんなに偏差値の高い大学をしゃにむに
めざしていたのかよくわからない。親から医者になれなれとは
言われていたけれど、具体的な将来のヴィジョンなどなかったのに。
これが若気のあやまちというやつかもしれない。
クラスで孤立してゆく私に、ただひとり声をかけてくれる女性がいた。
彼女は私の母と同い年だという。医者になりたくて、家庭を持ち
つつ受験・医学部入学を果たしたのだという。
その彼女が、秋になって私に問うた。
「あなたの名前を模試の番付で見たって人がいるんだけど…
ほんとなの?仮面浪人しているの?私だけには話して。」
私は、答えることが出来なかった。そしてクラスでの最後の
友人を失ったのである。(つづく)