今井正監督
何十ぺんも 観ていますが
その度に大感動して 涙がこぼれる。
不治の病などを扱った "泣かせ映画"の涙じゃない
人々の真の努力、そして達成感に共感し
心の底から 涙が湧きあがり 溢れ出る。
まさに『ここに泉あり』です。
そして 終始、流れ続ける クラシックをはじめとする
素晴らしい演奏の数々。
音楽とは これほどに 人の心を打つものか・・・
素晴らしい映画です。
お話は 戦後、まもなく
数人の高崎市民が 立ち上げた市民オーケストラが
困難を乗り越え のちに群馬交響楽団に 成長していくお話です。
国民の心が すさみきっていた終戦直後。
群馬県高崎市に生れた 市民フィルハーモニーは
働く人々や子供たちに 音楽の感動を与えたいと 奮闘していたが
マネージャー・井田 (小林桂樹)の 努力にも拘らず
楽団員の生活も 成りたたない有様。
楽器を質に入れたり
チンドン屋のアルバイトをしたり・・
それでも 生活苦から脱退する者が 後を絶たない。
楽団で唯一の女性 ピアニストの佐川かの子 (岸恵子)
東京から乞われて参加した ヴァイオリニストの速水 (岡田英二)
ふたりはやがて 結婚します。
しかし 楽器を担ぎ 汽車を乗り継ぎ
はるばる山間の小学校に 演奏に行きますが
中には

音楽になど まったく耳を傾けない子供たちや
お喋りに夢中な 近隣の年寄りたち。
校門の陰で待っていた ひとりの女の子が
ひと束の 野の花を差し出します。
「嗚呼、来て良かった。
あんな子が一人でもいてくれるなら、どんなに遠くでも行くよ」
それだけで ただ、それだけで
楽団員たちの 心は満たされ
「美しき青きドナウ」をハミングしながら 帰って行くのです。
そして時には 雨に、風に打たれ
また、炎天下の暑さに苦しみながら 演奏旅行を続けます。
途中、鉱山で働く人たちに 「草津節」のサービス演奏。
生まれてはじめて聴く ナマ演奏に喜ぶ人たち。
ハンセン病療養所への慰問。
「私たち、永劫に救われることのない世界にいる者が
皆さんの訪れを どんなに待ち望んだか
恐らくご想像も つかぬことだと思います。
今日こそ感じるであろう、生きている喜びは
一生、一生、消えることはありません」
患者を代表して 原保美さんが述べる挨拶に
思わず心を打たれる 団員たち。
そして 演奏される
「トロイ・メライ」 「金髪のジェニー」・・・
鳴りやまぬ 音の無い拍手。
数か月後、マネージャーの井田は ツテを頼り東京から
山田耕筰指揮の交響楽団と ピアニスト室井摩邪子を招いて
合同演奏会を開く。
山田耕筰さん、室井摩耶子さん、ご本人の登場。
チャイコフスキー・ピアノ協奏曲一番
室井摩耶子さんの ピアノの素晴らしさ!
たっぷりと、聴かせてくれます。
けれど、現実に戻れば 相変わらずの経営難。
借りていた練習場所の 家賃も払えぬようになり
遂に 楽団は解散と決まり
最後の仕事として 利根の山奥の 小学校を訪問しますが
この学校の子供たちが 素晴らしいのです。
演奏は モーツアルト「フィガロの結婚」、「カルメン」・・・
しんと、声ひとつ無く 聴き入る子供たち。
「私たちは、はるばる山を越えてやって来ました。
いろいろな意味で、今日ほど皆さんの
素朴な美しい心に触れることは もう無いかと思うほど 嬉しさで一杯です」
心からの満足を得て 山を下りる団員の後ろから 声が届く。
「さようなら、さようなら・・・」
そして、「赤とんぼ」を合唱する子供たち。
井田が言います。
「もう、あの子たちが ナマのオーケストラを聴くことは
二度とないだろうと、先生が言っていた。
みんなこの山の中で 炭焼きか、木こりで一生を終えるのだ」
しかしこのときの
子供たちの声が、「赤とんぼ」が、
団員たちの背中を 後押ししたのです。
それから二年後
旅の途中の高崎で 山田耕筰さんは ふと彼らのことを思い出し
付き人と一緒に かつての練習場のあたりに 行ってみる。
「もう、とっくに解散してしまっただろうか・・」
すると 音楽が、音楽が聴こえて来る。
あれから団員たちは 生活苦と闘いながらも
メンバーも増え、楽団として成長していたのだ。
やがて今度は、山田耕筰さんからの呼びかけで
再び、合同演奏会が 開催される。
圧巻のラストシーン。
ベートーヴェン・第九が 演奏される中
経済的な理由から脱退した かつての団員たちが
舞台を見つめながら 苦難の道のりを振り返る。
そして、これからも これからも 彼らの活動はつづくのだ。
ラストシーンでは
もう、とめどなく 感動の涙が零れて来ます。
![]()
企画から4年、脚本脱稿までに1年 撮影は6ヶ月に渡り
資金面でも 大変、厳しい状況で 製作された作品だそうですが
群馬市民の 積極的な協力により完成し
全国での上映により 300万人を超える大ヒットとなり
日本中、感動と共に 群響と音楽の街・高崎 の認知を広げました。
![]()
キネマ旬報ベストテン・5位
毎日映画コンクール・助演男優賞 (小林桂樹)
ブルー・リボン・助演男優賞 (加東大介)
![]()
ラデッキー行進曲 (ヨハン・シュトラウス1世)
フィガロの結婚 (モーツアルト)
ピアノ協奏曲 (チャイコフスキー)
トロイメライ (シューマン)
美しき青きドナウ (ヨハン・シュトラウス2世)
交響曲 (リスト)
ロマンス (ベートーヴェン)
幻想曲 (ショパン)
ピアノ協奏曲 (グリーク)
ロザムンデ序曲 (シューベルト)
交響曲第9番 (ベートーヴェン)
赤とんぼ (山田耕筰)
・・・などなど、ずらり名曲も楽しめます。
![]()
加東大介、三井弘次、大滝秀治、沢村貞子
草笛光子、東野英治郎、奈良岡朋子、中村是公
千石則子、成瀬昌彦・・・
レンタルDVD鑑賞






































