こんばんは
今宵ご紹介する映画は
『白パンと独裁者』
*・゜゚・*:.。..。.:*・'あらすじ:.。. .。.:*・゜゚・*
第二次世界大戦末期のドイツ
大都市ハンブルクから
母の故郷アムルム島へ、
母や弟妹と共に疎開中の12歳のナニング
(ジャスパー・ビラーベック)は
出征中の父に代わり、家族のため
友人ヘルマン(キアン・ナップケ)と
テッサ(ダイアン・クルーガー)の農場仕事を
手伝い、ジャガイモとミルクを得ていた。
両親がナチス党員ゆえナニングもまた
ヒトラー・ユーゲントの一員であった
だが本土のヒトラー信奉を尻目に
北端アムルム島民は、空気を読む
テッサは『もうすぐ戦争は終わる』と言い
それをナニングから聞いた母ヒレ(ローラ・
トンケ)』は
同居の妹エナ(リーザ・パークマイスター)
が止めるのも聞かず当局に告発をする。
明日にはテッサから
バターを貰えるはずだったのに
だが摘発を受けたテッサの怒りを買い
それもなくなってしまった
『僕じゃない、母さんが報告したんだ』
だからもう一度働かせてくれと願うナニングに
『あの親にしてこの子ありだ』と、拒否する
テッサ
母ヒレの
親族への容赦なき過去の行いから
ヒレと彼らは相容れないのだ
やがてヒトラー自死のニュースが島にも届き
ショックで破水したヒレは産後の肥立に支障を
きたす。
寝込むヒレの
『バターとハチミツを塗った白パンが
食べたい』の呟きに、物資が不足する中
ナニングは母のための白パンを手にすることが
出来るのだろうか?
絵心ある老嬢が描く水彩画のように
柔い光線が降り注ぐ、アムルム島
その光線を切り裂くように
島の上空を飛行する連合軍爆撃機
だが、追撃するはずの
ドイツ軍機の不在を目にし、だからテッサは
『もうすぐ戦争は終わるードイツの負けでー』
と口にしたのだ
その発言を反ナチと捉えられても、
制服姿の役人に一歩も引かなかったのは、
ナチスの凋落を見越していたからで
強気発言の発露は彼女が生産者だから
食糧難時に担い手は強い
演じるダイアン・クルーガーは
細身だけれど大地を踏み締めるその姿は
銃後を守る逞しいおっかさんだ
反対にヒレは
生活者言うよりはナチスが一番
裏切り者は誰であっても許さない
だから息子が世話になりながらも
当局にテッサを問答無用で刺す
何故ならそれが
党員として正しいことだから
しかしヒトラーの雲隠れにより
彼女は衰弱していく
個としての彼女は、
テッサに比べ呆気ないほどヘタレだ
それは現実を直視できないからであろう
己の主義主張でなく
人のソレに乗っかることの怖さの表れだ
弱り切った母の姿に
胸を痛める息子ナニングに
『バターとハチミツがのった白パンを
持ってきて』って頼む
簡単に言うけれど
満潮を迎えた干潟で溺れかけたり
上級生に蹴られ、食料を奪われたり
成り行きから殺生したりもして、結構な
サバイバルを体験するナニング
それでも
母ちゃんのためならエンヤコラ
そういった彼の献身が報われることはない
息子が命からがら用意した白パンを
いざ目の前に差し出したら食べたくないと
この女、言いやがる
たとえ息子の苦労を
見ていなかったからだとしても
あの時代、食料調達がどんなに大変か
分かるはずだと思うじゃない
食べたくはなくても
そこは大変だったね、ありがとうでしょうよと
ペーターのおばあちゃんが
涙を流しながらハイジにお礼言ったのとは
大違い
期待した反応が得られず
だからそれまで父に代わり
家族のため頑張ってきた12歳の少年の
琴線は切れ、、、 ーわたしなら暴れるぞー
現状に堪えきれず号泣し縋るナニングに
『男が泣くんじゃない、弱虫』とその手を
払いのけるヒレ
そして無理くり泣き止ませた後
あっけらかんと白パンを持って来いって
『おまっ、それでも母親か?』って
心ん中で叫んだわ
しかも弟君が白パン食べちゃったし
ー弟君だって、腹ペコだったのよねー
にしても、
この母性の欠如は何だろう
戦時中は子供も働き手
それは日本でもそうだっただろうし
それ言ったら女も老人もそうだろうし
けれどもヒレったら(あ、妹も)
ピアノ弾く暇はあっても自分は全く働かんの
いくら身重でも
そこからしてもう首捻るよね
彼女が持つ性質か
それとも子にさえ発動する選民意識か
夫不在の家庭内において
紛れもなく彼女は、独裁者で
そりゃそうか
だってヒトラーに倣ってんだから
けれど
奢れるものは久しからず
ドイツ降伏で終戦し
夫は収容所に送られた
虎の子の配給券は紙屑となり
食料を売ってもらえなくなったヒレが
とった行動は、今までが今までなだけに
目撃した島民の蔑みを誘う
一緒にいたナニングは
そこで初めて認識をする
母も間違いを犯すのだと
島民が言ったように
『あんたの母親は従兄弟を助けられる
立場にありながら、そうしなかった』は
本当のことだったんだと。
まだ少年の彼には荒療治だったけれど
少年団員とはいえ両親のような生粋の
ヒトラーシンパではなく、いわば
『二世』の位置付け
だから愛読書『白鯨』に出てくる
エイハブ船長をヒトラーに、彼が操り
やがて沈没する船をドイツに例えたあたり
深層部でナチスが全能ではないとわかって
いたのであろう
演じたジャスパー・ピラーベック君
今作がデビュー作だそうだが
ナニングに血肉と意思を与えた功績は大きい
意思とは思想とは関係なく
正しきことをするということ、、、
ラストは収容されてるものの
父の生存が確認されナニング一家は
島を去る
彼は島が好きだったんだろうな
けれど島の子供たちには『余所者』と呼ばれ
諦めの境地のナニング
救いはただ一人党員と認識しながらも
ナニングと付き合ってくれたヘルマンの
存在だった
その彼ともサヨナラだ
いつかまた会える日が来るのかは
ナニングには分からない
何せ父はナチの高官だから
彼らの行く末が気になるところだが
その答えはエンディングにて、、、
脚本はドイツ映画界で
長きに渡り活躍したハーク・ホーム
監督はファテイ・アキン










