シャンプーソムリエ関川忍のBlog

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シャンプーソムリエ創始者という立場で、ヘアケアを中心に美容に関する様々な情報を記事で書いています。
ヘアケアを突き詰めると栄養学にも発展し、現在はオーソモレキュラー療法を基本とした栄養学方面からのスキンケアやヘアケア、ダイエット情報も面白いと思います。





カラダの中と外から美肌&ヘアケアを考える

シャンプーソムリエこと関川忍です。

 

僕のブログを覗いていただきありがとうございます。

あなたにとって何か得る物があれば・・・と思って

心を込めて記事を書かせていただいております。

 

  美容師の弟と今の美容業界を話していて

先日美容室を経営している弟と晩飯を食べながら美容談義をしていました。

 

弟の店は茨城県つくば市の学園都市にあり顧客は大学の教授や医師、会社経営者や講師業などをしているやや特殊な方が多いようです。

スタッフを雇用し、面貸しもやっています。

 

予約も取れにくく、毎日大忙しの一応繁盛店ですが大儲けしているわけではない。

価格帯も普通なので、スピードアップが重要だと言っていました。

 

そんな弟と話していてふと今の美容業界のことを考えてみました。

今日の記事は客観的ではありますが、美容師さんにとってはイラつく記事になっているかも知れんません。

 

予めご了承いただけたらと思います。

 

  なぜ、勉強熱心な美容師ほど儲からず、経営上手な美容室ほど技術力が心配になるのか?

 

美容業界には、ちょっと不思議な現象があると感じています。

 

例えば・・・

薬剤の化学構造を理解し、毛髪科学を熱心に学び、原料の特性まで説明できる美容師がいます。

ところが、そういう美容師に限って、お店はそれほど繁盛していなかったりします。

 

一方、薬剤の細かな理論は知らなくても、カットやカラーのセンスが抜群で、お客様の支持を集める美容師もいます。

 

さらに、技術力では必ずしもトップクラスではないのに、次々と店舗を展開し、多くのスタッフを雇用する美容師経営者もいます。

 

さて、この3人のうち、誰が最も優秀な美容師なのでしょうか・・・?

 

実は、この質問自体に大きな落とし穴があるのです。

なぜなら、3人はそれぞれ「違うもの」を売っているからだと思うのです。

 

  薬剤・原料に詳しい美容師

皆様おわかりの通り「正しいことを知っている人」が、必ずしも選ばれるとは限らないのが現実です。

しかし、化学的知識、安全性、問題解決能力が高いということです。

 

このタイプの方は、とにかく勉強熱心です。

 

毛髪化学、有機化学、界面活性剤、酸化還元反応、薬剤の浸透メカニズムなど、一般の美容師が敬遠しがちな分野にも興味を持っています。

特に、ダメージ毛や頭皮トラブルなど、難しい問題への対応では大きな力を発揮します。

 

しかし、弱点があります。

 

「自分が伝えたいこと」と「お客様が知りたいこと」が一致していない。

つまり、顧客とのギャップです。

 

例えば、お客様が「髪のパサつきを何とかしたい」と相談したとします。

すると、毛髪内部のCMCやケラチン、脂質構造について一生懸命説明してしまう。

 

ところがお客様が本当に聞きたいのは、

「私の髪、きれいになりますか?」

ということだけだったりするのです。

 

知識が豊富な人ほど、知識そのものに価値があると考えがちです。

 

しかし、ビジネスにおいて価値を決めるのは、提供する側ではなく、お金を払う側です。

 

知識は商品ではないんですよね〜。

 

もちろん、専門知識を顧客価値に変えて繁盛している美容師もいます。

このタイプに必要なのは、さらに知識を増やすことよりも、知識をお客様の言葉に翻訳する能力やお客様のなりたいイメージの強度の判断力なのかもしれません。

 

  技術・デザインに長けた美容師

このタイプの美容師はお客様から愛されます。しかし、その人気が経営の限界をつくることもあったりします。

 

顧客満足、感性、指名獲得能力が非常に高い強みで、美容師が憧れる存在ですよね。

 

このタイプの方は概ね、お客様が求めていることを直感的に理解する能力に優れています。

似合わせ、デザイン、再現性。

 

お客様が鏡を見た瞬間に「わぁ、素敵!」と喜ぶ。

 

美容師として、非常に大切な才能だと思います。

ですので当然、指名客も増えます。

 

しかし、ここにも落とし穴があります。

「自分が働かなければ売上が生まれない」という問題です。

もしかしたら、弟はこの領域かな?

 

1日に担当できるお客様の数には限界があります。

技術が優れているほど予約は集中し、忙しくります。

 

ところが、その技術や顧客満足を上げる接客、そして感性、をスタッフに伝えられなければ、売上の天井は自分の労働時間で決まってしまいます。

 

さらに、感覚で技術を習得してきた美容師ほど、教えることが苦手な場合もあります。

「この辺をもう少し柔らかく」

「ここの質感をいい感じに」

本人には理解できても、若手スタッフには伝わらない。

 

つまり、

優秀なプレイヤーが、優秀な指導者になるとは限らないのです。

 

このタイプが次のステージに進むには、感性を言語化し、技術を再現できる教育力が必要になると思います。

 

  ビジネスセンスのある美容師

売上をつくる能力と、美容師を育てる能力は別物なのではないでしょうか?

 

このタイプの方は集客、組織づくり、雇用創出、事業拡大が上手です。

美容師というよりも経営者としての才能に恵まれていますよね。

 

マーケティング、集客、採用、仕組みづくり、利益管理など美容師じゃなくても異業種でも才能は活かせると思います。

 

こういう方は、一人で月商200万円を目指すよりも、月商80万円を生み出す美容師を10人育てる仕組みを考えます。

 

結果として店舗が増え、雇用も生まれ、経済的な影響力も大きくなります。

 

これは美容業界にとって、非常に価値のあることかと思います。

 

ところが、ここに最も見落としてはいけない問題があります。

 

「売上を上げる仕組み」が、必ずしも「美容師を育てる仕組み」になっていないことです。

 

例えば、カラー剤の調合がマニュアル化され、薬剤選定もシステムが判断する。

カットは短期間で覚えられるスタイルに絞り込み、接客もマニュアル化する。

すると経験の浅い美容師でも、一定の売上をつくれるようになります。

 

美容師として食べていける保証ができています。

経営という観点では、非常に合理的です。

 

しかし、その仕組みの中で育った美容師はどうでしょうか・・・?

 

髪が想定外の反応を示したとき、薬剤の選択に迷ったとき、マニュアルにない頭皮トラブルを抱えたお客様が来店したとき。

自分の知識と判断で対応できるでしょうか?

 

仕組みによって仕事ができることと、自分の実力で仕事ができることは、まったく違います。

 

経営の効率化が進むほど、教育まで効率化してしまう。

事業を拡大するには定石ですけど・・・。

 

その結果、売上は大きくなっているのに、美容師一人ひとりの基礎力が十分に育っていない。

そんな危険性も考えられます。

 

これは美容業界全体の課題になってきた感じですね。

 

ただし、経営に優れた美容師が必ず教育を軽視するわけではありません。

むしろ、優れた教育制度を構築できることも、このタイプの大きな可能性ですので今後に期待ですね。

 

  では、美容業界の未来に必要なのは誰なのか?

僕が重要だと思うのは、3つのタイプの優劣ではないのです。

 

この3つが、それぞれ何を失っているのかという問題です。

 

・知識型の美容師は、お客様の心を動かす力を失いやすい傾向にある。

・技術型の美容師は、自分の技術を次世代に伝える機会を失いやすい傾向にある。

・経営型の美容師は、美容師という職業の専門性を深める時間を失いやすい傾向にある。

 

そして、これは美容業界が抱える構造的な問題とも重なルような気がします。

 

美容師は国家資格を持つ専門職です。

ところが、専門性を高めるための学習と、売上を高めるための学習が、必ずしも同じ方向を向いていません。

 

化学を学んでも集客には・・・直結しませんよね。

技術を磨いても経営がうまくいくとは・・・限りませんよね。

経営を学んでも技術力が上がる・・・わけではないですよね。

 

つまり、美容師としての成功を、売上という一つの物差しで測ること自体に無理があると感じませんか?

 

  最後に、もし、こんな美容室があったらどうでしょう。

薬剤について詳しくない。

技術についても特別優れているわけではない。

しかし、集客力があり、スタッフも多く、売上が大きい。

 

この美容室を「成功している美容室」と世間では言いますよね。

では、「優れた美容師を育てている美容室」と呼べるでしょうか?

 

反対に、薬剤や技術について深く学び、お客様一人ひとりに丁寧に向き合っている。

しかし、経営は決して楽ではない。

そんな美容師を「成功していない美容師」と評価してよいのでしょうか?

 

僕は、ここに美容業界の大きな課題が隠れていると思うのです。

 

売れる美容師を育てることと、価値ある美容師を育てること。

この2つは重なり合いますが、決して同じではないってことです。

 

これからの美容業界が本当に目指すべきなのは、単に売上の高い美容室を増やすことではなく、専門性の高い美容師が、その能力に見合った評価と収入を得られる仕組みをつくることではないでしょうか?

 

知識を、価値に変える。

技術を、感動に変える。

経営を、人材育成に変える。

 

知識だけでは繁盛しない。

技術だけでは広がらない。

経営だけでは文化は育たない。

 

この3つを結びつけられる美容師と美容室こそが、次の時代の美容業界を支えていくのだと僕は思いますが

あなたはどう思いますか?

 

 

 

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  犬と人のシャンプーって違うの?

来週10月5日にシャンプーソムリエドッグのフォロー講習をすることとなりました。

シャンプーソムリエドックとは、トリマーさん専用のシャンプーソムリエアカデミーのことです。

 

人と犬で対象が違うので授業内容も違います。

 

今回はフォロー講習なので基礎知識の整理と更新が目的です。

 

 

そうそう・・・

 

実はシャンプーソムリエに話をするのは7〜8年ぶり?

つまり、超久々なのでめちゃくちゃ楽しみです。

 

そこで、犬の肌構造やシャンプー事情を色々と調べておりました。

 

すると、シャンプーソムリエの軸に照らし合わせながら独自の分析をしていくと

なんだか今言われている犬のシャンプー理論に疑問を抱くこととなったのです。

 

なんかおかしい・・・?

 

例えば、人用のシャンプー剤と犬用のシャンプー剤は肌のpHが違うということが過去から当たり前のこととして製品が作られている傾向にある。

 

確かに、人の肌のpHって4.5〜6.0と言われています。

そして、犬はpH6.2〜7.5あたりと言われています。

 

 

  人と犬の皮脂膜の特性の違い

このpHの違いですが、人は皮脂と汗を分泌し皮脂膜を形成してます。

 

この皮脂膜が肌を弱酸性にしている主役なのですが、皮脂の分解物に含まれる脂肪酸の種類であったり、汗に含まれる乳酸などで結果的に弱酸性になっています。

 

逆を言えば、この皮脂や汗が分泌されにくい乾燥肌や洗浄力の高いシャンプーなどで洗って皮脂膜の形成に時間がかかった場合は、弱酸性になりにくいため、その間は敏感肌になっているってことです。

 

犬の場合は汗腺はほとんどなく、アポクリン汗腺が中心です。

分泌物はタンパク質や脂質を多く含み、酸性になりにくく結果的に肌のpHは中性領域だったというメカニズムです。

 

さらに、この皮脂膜は人の方が厚いそうです。

まあ、進化の過程で毛がなくなったためもあると思います。

 

但し、犬用のシャンプー剤はpHは中性かもしれませんが、洗浄力の高いシャプー剤もまだまだ多いそうです。

pHは中性で肌に優しいというイメージでも、薄い皮脂膜をあっという間にとってしまう洗浄力の高いシャンプー剤は避けた方がいいですよね。

 

  人と犬の肌の構造

では、肌はどうか・・・?

僕は髪も肌もそれを構成するアミノ酸の種類と含有量を見ます。

 

すると、人と犬の肌を構成するアミノ酸の種類とそれぞれの含有量はほとんど同じだったのです。

ということは、まずここでわかることは、人と犬の肌の違いは・・・

 

人、皮脂膜があり、pHが弱酸性。肌は20種類のアミノ酸で構成されている。

犬、皮脂膜が薄く、pHが中性。肌は人とほ同じアミノ酸構成。

 

では、何が違うのか?

 

 

  人と犬の肌の構造の違い

人と犬の肌は皮脂の量と特性ということがわかりました。

 

それでも、犬の方が肌が弱い説があります。

では、何故犬の肌は人より弱いのでしょうか・・・?

 

それには、肌の構造の違いにどうやらあるようです。

肌を構成するアミノ酸の種類と量はほぼ同じということはわかったので、構造の違いを見てみることにしたいと思います。

 

人の角質層は15〜20層、犬は約50層と層数は多いことがわかりました。

皮脂膜の下で肌を守る角質層は犬の方が人より多いのになぜ?

 

実は、角質1枚の厚みが大きく違うようです。

人は厚さは10〜40μm、犬は約13μmのようです。

 

さらに、人は生きた表皮(顆粒層+有棘層+基底層)が約10層あるのに対し、犬は3〜6層しかないないため、全体として犬の皮膚は薄くデリケートなのです。

 

ここまでをまとめると・・・

犬の肌は人と比べると、薄くて皮脂膜も薄くpHは中性でデリケート。

ただし、肌の構成成分やアミノ酸の含有量はほぼ同じ。

 

 

  犬の肌に対して一番適切な洗い方、乾かし方

皮脂膜が薄いために洗浄力の高いシャンプー剤は避けた方がいい。

界面活性剤などが残るとすぐに刺激物となすので100%に近い状態で流し切る。

肌が薄いので、物理的な刺激を与えることはNG。

肌が薄いので、ドライヤーの温度は低温(吹き出し口温度が80度程度)が良いのでは?

 

そして、分かったことはトリマー業界で「pH」が取り上げられますが、人用のシャンプー剤でも問題ないことが見えてきます。

なぜなら、pH6.0前後のシャンプー剤が人用でも多くなり低刺激。

さらに、お湯(pH7.0~8.0程度)で薄めたりシャワー(pH7.0~8.0程度)によってpH6.0がpH7.0くらいになった状態で洗っていた。

逆に人の方が洗ったあとにpHを弱酸性に戻る洗い方や、ケアが必要だったのですね〜。

 

今回記事でお伝えしたような事は授業序盤の頭の体操的な入り口でお話ししたいと思っています。

 

まあ、こんなことを踏まえて10月5日に約30名のトリマーさんへ雪崩の如く新しい情報を注げたらと思っております。

 

【授業内容】

主な界面活性剤の特性一覧
硫酸系、スルホン酸系、石けん系、酸性石けん系、アミノ酸系、タウリン系、タンパク質系など

「全成分を見たら、まず洗浄成分がどの系統なのかを見る」

という解析の型を作ります。

 

界面活性剤の“かさの大きさ”比較
「なぜ同じ界面活性剤でも性質が違うのか?」

分子構造・ミセル・かさ高さを理解。

 

アミノ酸系の残留について

「低刺激=何でも優れている」ではなく、

低刺激性と、すすぎやすさは別の評価軸

シャンプーソムリエドック的な成分解析の重要ポイント

 

マイクロバブル含有シャワーによる除去性

「では、残留しやすさは“成分だけ”で決まるのか?」

成分 × 洗い方 × すすぎ方

まで考える必要がある

 

実際の商品を解析

「どの界面活性剤が入っている?」
「主剤は?」
「補助剤は?」
「どんな犬に向いていそう?」

 

「犬を洗う」

表皮は4つの層
“何を洗っているのか”を考える。

角層・生きた表皮・バリアを理解。

 

洗う面がデコボコ・油っぽいほど残る

犬はなぜ人以上にすすぎを意識する必要があるのかというロジックを知る

 

犬のすすぎ重点ポイント

脇の下・内股など、

「残りやすい × 皮膚が薄い」

場所を重点的に流すという話にします。

 

すすぎ技術

細菌汚染減少に効果的な洗髪技術、

“すすぎは、ただシャワーを当てる作業ではない”

 

【開催概要】

■日時 2026年10月5日(月) 20:00〜22:00 

■開催方法 ZOOMオンラインセミナー 

■講師 シャンプーソムリエ主宰 関川 忍 

■内容 ― シャンプーケミカルを深く知る ― 講義 約1時間30分 質疑応答 約30分 

■受講料 シャンプーソムリエドッグ資格保持者 3,000円(税込) 一般参加 5,000円(税込)

 ※始めての方は以下のラインより問い合わせしてみてください。

 

 

 

【お申し込み・お支払い方法】 

①クレジットカード決済 en_shop サイトより参加チケットをご購入ください。 

サロン登録が必要になります。 

https://enenen.jp 

②銀行振込 請求書を発行いたします。

 

 

 

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  仏神に触れ続けていたら閃いた

ご存知の方もいるかと思いますが、僕はお寺の総代をし、ご先祖様は只今水害で大変な千葉県佐倉市に鎮座する「佐倉惣五郎」で18代目になります。


つまり、神仏は生活の一部として生きてきました。

 

ということで、今回は少しだけスピ系な美容師の話をします。


ただ、最後まで読んでいただければ、美容師の仕事ってとても神聖な仕事だって気づいていただけるかと思いますので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

 

突然ですが、美容師の皆さん。

「自分は、何を売っているんだろう?」

そう考えたことはありませんか?

カットでしょうか。
カラーでしょうか。
トリートメントでしょうか。

もちろん、どれも正解です。

 

でも、日本の歴史を少しだけ遡ってみると、美容師という仕事には、もっと深い意味が隠れていることに気づきます。

 

もしかすると美容師は、

髪を切っているのではなく、
その人の人生に「区切り」をつける仕事なのかもしれないと改めて感じたのです。


今日は、そんな少し不思議なお話です。

 

  なぜ失恋すると、髪を切りたくなるのか?

よくありますよね。

「失恋したから髪を切りました」

あるいは、

「転職するので髪型を変えたい」
「結婚式だから綺麗にしたい」
「新年度だからイメチェンしたい」

考えてみると、不思議です。

 

人生に何か変化が起きたとき、なぜ人は「髪を変えよう」と思うのでしょうか・・・?

 

実はこれ、現代人だけの話ではないのです。

 

日本人は何百年、いや、それ以上前から、人生の節目に髪を変えてきたのです。

 

  昔の日本人にとって、髪はただの毛ではなかった

古くから髪は、生命力や本人そのものと結びつけて考えられてきました。


これは日本だけではありません。

 

世界的に見ても例えば旧約聖書に登場するサムソンは、髪を切られることで力を失います。

 

 

漫画でヒットした呪術廻戦の世界。

 

日本では平安時代が正に全盛期と聞きますが、世界各地の呪術でも、髪や爪は本人と強く結びついたものとして扱われ、お守りや呪術に用いられてきました。

 

つまり人類は、ずっと昔から、

「髪には、その人の何かが宿っている」

と感じてきたわけです。

 

そして京都の嵐山には、理美容業にゆかりの深い御髪神社がありますよね。

 

理美容業の祖とされる藤原采女亮政之を祀り、現在も理美容関係者が訪れます。

 

 

これだけでも、美容師という仕事を見る目が少し変わってきませんか?

 

 

  さらに面白いのが「陰陽師」です

陰陽師というと、

「悪霊を祓う人」

みたいなイメージを持つ人も多いと思います。

 

ところが、本来の陰陽師は律令国家の「陰陽寮」に所属した列記とした役人でした。


今で言えば国家公務員です。

 

暦を作り、天文を観測し、日々の吉凶を判断する。

簡単に言えば、

「いつ、何をするのか」

という社会の時間を扱っていた人たちです。

 

そして、その暦は人々の身だしなみにまで影響していました。

 

平安時代の貴族は暦を参考にしながら、沐浴や爪切りなどの日取りを選んでいたそうなのです!

 

現代人からすると、

「髪を洗う日まで決めるの?」

と思いますよね。

 

でも当時の人たちにとって、身体を整えることは単なる美容ではなかったようです。

 

  人生の節目には、いつも髪があった

ここからが、僕が一番面白いと思ったところです。

 

日本の昔の儀式を調べてみると、人生の重要な場面で髪型が変わっています。

 

幼い子どもの成長を祝う「髪置き」。

男子が大人になる「元服」。

女子の成人儀礼である「裳着」でも、髪上げが行われます。

そして出家するときには「剃髪」します。

 

つまり、

子どもから大人へ。
俗世から仏門へ。
昨日までの自分から、新しい自分へ。

その節目に「髪」があったわけなのです。

 

髪型を変えることは、単なるファッションではなく、

「今日から私は変わります」

という宣言でもあったのです。

 

では、美容室とは何なのだろう・・・?

ここで現代に戻って考えてみまたいと思います。

 

美容室には毎日、いろいろな人が来ます。

「明日から新しい会社なんです」

「来週、娘の結婚式なんです」

「最近ちょっと落ち込んでいて・・・」

「なんとなく雰囲気を変えたいんです」

 

美容師なら、何度も聞いたことがある言葉ではないでしょうか?

 

そして来店して数時間後。

 

鏡の前に座っていたその人が、

「わぁ、いい感じ」

と言って笑顔になる。

 

髪が数センチ短くなっただけなのに・・・。

カラーが少し変わっただけなのに・・・。

なぜか表情まで変わっています。

さらに、人によっては背筋まで伸びている。

 

そして、

「よし、明日から頑張ろう」

と言って店を出ていく。

 

これって、本当に「髪を切っただけ」なのでしょうか?

 

  美容師が切っているのは「昨日までの自分」なのかもしれない

神道には「禊(みそぎ)」や「潔斎(けっさい)」という考え方があります。

 

汚れを落とし、身体を整え、清らかな状態で次の場面へ進むという考え方だそうです。

 

もちろん、美容室で髪を切ることと神道の禊が歴史的に同じものだ、という話ではありません。

 

でも、人の心理として見ると、どこか似ていると思いませんか?

 

古くなったものを落とす=禊

自分を整える=潔斎

そして新しい状態で外の世界へ出ていく。

 

そう考えると、美容室で髪を綺麗にするのは

現代人にとっての「小さな節目の儀式」

と捉えてもそう遠くはないかと僕は思いますがどうでしょうか?

 

そう思えば、美容師は「神に仕える仕事」なのかも?

もちろん、美容師が神職だったという歴史的事実があるわけではありません。

 

僕が言いたいのは、そこではないのです。

 

人が人生を変えようとするとき。

気持ちを切り替えたいとき。

新しい自分になりたいとき。

その人は美容師の前に座ることがあります。

 

そして美容師は、その人の髪に触れます。

昨日までの姿を整え、新しい姿をつくり、最後に鏡を見せる。

 

「いかがですか?」

その瞬間、お客様が見ているのは髪型だけではないのかもしれませんよね。

 

鏡の中にいる、「これからの自分」を見ているのではないでしょうか?

 

 

  そう考えると、美容師という仕事はすごい

僕たちはつい、

「カット8,000円」

「カラー10,000円」

「トリートメント5,000円」

というように、自分たちの仕事を「メニュー」で考えてしまいます。

 

でも、お客様が本当に持ち帰っているものは何でしょう?

髪型でしょうか。

艶でしょうか。

手触りでしょうか。

もちろん、それもあります。

でも、それだけではないはずですし、どちらかと言えばそれ以外の

 

自信だったり、
気持ちの切り替えだったり、
新しい一歩を踏み出す勇気

なのかもしれませんね。

 

そう考えると、美容師が提供している価値は、メニュー表には書ききれませんね。

 

  ハサミの先には、その人の人生がある

美容師は毎日、何人もの髪を切ります。

その一人ひとりには人生があります。

 

その人にとって今日の美容室が、

失恋から立ち直る日かもしれません。

 

新しい仕事を始める前日かもしれません。

 

娘の結婚式を迎える準備かもしれません。

 

50歳になって、

「もう一度、自分を好きになりたい」

と思って来店した日かもしれません。

 

美容師にとっては、いつものカット。

でも、お客様にとっては、人生の節目のカットかもしれないのですよね。

 

だから僕は思うのです。

美容師とは、ただ髪を短くする仕事ではなく、髪を通じて人を整え、気持ちを切り替え、次の人生へ送り出す仕事。

 

昔の人が神様の前に立つ前に身を清めたように、

現代の美容師は、人が新しい一歩を踏み出す前に、その人を美しく整えている。

 

そういう意味では

美容師は「神に仕えるレベルの仕事」なのかもしれないと思うのです。

 

 

どうしても、数字や薬剤の話になりがちな美容の世界です。

それが不必要ってことでは決してありません。

 

ただ、美容師という職業を視点を変えて考えてみるのも良いのかもしれないかな?


と思い、今回の記事を書いてみました。

 

記事を読まれた方々は色々思うところはあるかと思いますが、

ハサミを置いた僕としては、なんとも眩しく神聖な仕事だなって思います。

 

 

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