ある夜——
村長室。
静寂。
机の上には書類。
ペン。
湯のみ。
そして——
ノートパソコン。
チビ子村長。
きっちり座る。
背筋、完璧。
画面には——
ドラマ『美味しい給食』。
チビ子村長
「……資料映像として観る」
誰に言うでもなく、言い訳した。
再生。
数分後——
画面の中。
修学旅行。
空気、妙に熱い。
そして来た。
甘利田先生。
校歌。
踊る。
しかも——
キレっキレ。
腕。
伸びる。
足。
入る。
表情。
本気。
一切の迷いなし。
チビ子村長
「…………」
真顔。
だが内心——
(なんだその全力)
(校歌でそこまで仕上げるのか)
(キレが部活の全国大会)
(だめだ……おもしろい……)
口元、0.3ミリ上昇。
すぐ戻す。
チビ子村長
「……冷静であれ」
しかし画面の中では——
なおも甘利田先生、全力。
キレる。
舞う。
校歌が、もはや必殺技。
村長、肩がわずかに震える。
そのとき——
ドア、スッ。
入ってきたのはメルタン住職。
メルタン住職
「村長、まだ起きて……」
ピタッ。
メルタン住職
「震えてます?」
村長
「震えていない」
メルタン住職
「笑ってます?」
村長
「笑っていない」
画面の中——
さらにキレる甘利田先生。
村長
「……」
メルタン住職
「今、すごく耐えてません?」
村長
「耐えていない」
次の瞬間——
ふいに流れた、給食シーン。
村長の目。
スッ……
つづく
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