〜無口なテツオと対峙〜
ある日の午後。
寺の門前が、やけににぎやかだった。
「ねぇねぇねぇ!ここがお寺!?
静かって聞いたけど、静かすぎない!?
逆に落ち着かないんだけど!!」
――現れたのは、
おしゃべり夢ちゃん。
一息もつかず、
三文芝居も挟み、
勝手に自己紹介は第三幕まで進行。
そのとき。
寺の裏手。
腕を組み、微動だにせず立つ影。
テツオである。
夢ちゃん、気づく。
「……あっ。
えっ。
なにこの人(猫)」
夢ちゃん、話しかける。
「こんにちは!えっと、あなたは誰で、
ここで何をしてて、
あとお昼ごはんは何派ですか!?」
テツオ、
無言。
腕、組んだまま。
視線、わずかに夢ちゃんの方向。
以上。
沈黙。
夢ちゃん、負けない。
「えっ?
今の間は『塩対応』ってやつ!?
それとも修行!?
無言修行!?
あっ、私しゃべりすぎて逆に邪魔してる!?」
テツオ、
無言。
風が吹く。
夢ちゃん、
なぜか正座する。
「……
え、ちょっと待って。
この人、
何も言わないのに
めちゃくちゃ圧がある……」
テツオ、
腕組みのまま。
一歩も動かない。
夢ちゃん、
小声になる。
「……あの……
えっと……
私、少し静かにします……」
沈黙。
五秒。
十秒。
夢ちゃん、限界。
「無理!!!
静かって難しい!!!」
つづく


