「この映画を見ずに広島の原爆を語るべからず」被爆者たちが作った原爆映画
映画『ひろしま』

※過去に掲載した記事ですが、8月のこの時期に改めて多くの方に知っていただきたい作品だと思い、少し加筆・修正して再掲載します。
■作品情報
1953年/日本/104分
<監督>
関川秀雄
<出演>
岡田英二
月丘夢路
加藤嘉
山田五十鈴
ほか
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原爆が投下されたあの日、広島で何が起きたのか。
そして、被爆者たちは戦後をどのように生きたのか。
1953年、原爆投下からわずか8年後に製作された映画『ひろしま』。
この作品は、被爆者を含む約8万8,500人の広島市民がエキストラとして参加し、原爆の悲惨さを真正面から描いた反戦映画です。
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■内容
広島の高校では、原爆を題材にした授業が行われていました。
その最中、一人の女子生徒・大庭みち子が突然倒れます。

彼女は原爆による後遺症を抱える被爆者でした。
そして、クラスの三分の一が被爆者という現実が明らかになります。
物語は、1945年8月6日に広島へ原子爆弾が投下されたあの日の惨状と、その後も後遺症や家族との別れ、貧困や差別など、さまざまな苦しみを背負いながら生きる人々の姿を描きます。
原爆によって一瞬で日常を奪われた人々は、終戦後も消えることのない悲しみと向き合いながら、それでも懸命に生き続けます。
実際の被爆者や広島市民も多数出演し、原爆の悲惨さだけでなく、「生きること」の尊さや平和への願いを、圧倒的なリアリティで描いた作品です。

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■原爆投下から8年後に作られた映画
本作は、長田新による『原爆の子』を原作に、八木保太郎が脚色し、関川秀雄が監督した作品です。
海外では高く評価され、ベルリン国際映画祭でも長編映画賞を受賞しました。
しかし、当時の日本では大きな上映機会に恵まれず、長い間「幻の映画」とも呼ばれていました。
以前、この原作をもとにした新藤兼人監督の『原爆の子』も観ました。
『原爆の子』が、原爆によって傷ついた人々の人生を描いた人間ドラマだったのに対し、
『ひろしま』は、被爆直後の広島の惨状を記録するような力強さを持った作品だと感じました。
■広島市民が再現した「あの日」
驚くのは、この映画の製作背景です。
組合員によるカンパで製作費を集め、なんと約8万8,500人もの広島市民がエキストラとして参加しました。
まだCGなど存在しなかった1953年。
実際に被爆を経験した人々が参加することで、あの日の広島がスクリーンに再現されています。
もちろん、現在の映像技術と比べれば、映像表現に時代を感じる部分もあります。
しかし、この作品で重要なのは映像技術だけではありません。
被爆した人々自身が
「伝えなければならない」
という思いで作ったことに、大きな意味があると思います。
■まるで地獄絵図……原爆直後の広島
映画では、原爆によって変わり果てた広島の姿が描かれます。

熱さから逃れるため川へ向かう人々。
泣き叫ぶ子どもたち。
大切な家族を失い、傷ついたまま生きる人々。

まるで地獄絵図のような光景が続きます。
「はだしのゲン」
を思い出してしまうほど、原爆の恐ろしさが伝わってきました。


命が助かったとしても、被爆による後遺症や差別、心の傷を抱えながら生きていかなければならなかった人々がいたのです。
■印象に残った場面
特に印象に残ったのは、戦争孤児となった子どもたちの場面です。
生きるために必死で、幼い子どもたちに生活する術を教える少年。
「ユージェントルマン、パパママ 、ピカドンで ハングリー、ハングリー」
という言葉には、戦争によって子どもたちの日常が奪われた現実が突きつけられました。
また、加藤嘉さん演じる遠藤秀雄が、炎に包まれた家の下敷きになった妻を助けられず叫ぶ場面。
加藤嘉さんのあれほど激しい演技を、私はほかの作品ではあまり見た記憶がありません。
そこには、愛する人を失う絶望と、戦争への怒りが込められていました。
■「忘れてはいけない」というメッセージ
被爆者でもある生徒の一人が、
「被爆者の気持ちをもっと知ってほしい」
と訴える場面があります。
時間が経過すると、人は過去の出来事を少しずつ忘れてしまいます。
しかし、原爆によって傷ついた人々は、今もその記憶とともに生きています。

この作品が現在でも語り継がれる理由は、単に悲惨な過去を描いているからではありません。
「同じことを二度と繰り返してはいけない」
という強い思いが込められているからだと思います。
■ほくと的まとめ
『ひろしま』は、映画として見ると現在の作品と比べれば荒削りな部分もあります。

しかし、原爆投下からわずか8年後、被爆者や広島市民自身が参加して作り上げた意味は非常に大きいと思います。
この映画を観て感じたのは、戦争とは数字や歴史の教科書だけでは語れないということ。

そこには、
一人ひとりの人生があり、
家族があり、
失われた日常があります。
「この映画を見ずに広島の原爆を語るべからず」
という言葉がありますが、まさに一度は観て感じてほしい作品だと思います。
評価:5点満点中4.0点
(画像すべてお借りしました)
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