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 【ケネマ(シエラレオネ)】24日、一台の救急車がシエラレオネの首都フリータウンからエボラ出血熱の患者を車で4時間の300キロメートル離れたケネマの郊外にある赤十字の診療所に搬送した。こうした救急搬送は、同国で「帰らざる旅」とも呼ばれている。



 焼け付くような暑さの中、診療所に到着した車を6人の医療関係者が消毒している間、子供の泣き声が聞こえたかもしれない。消毒の終わった車から、14歳の裸の少年が降りてきたが、妹は出てこなかった。近くにいた人が「死んでいる」と叫んだ。そこで救急車は診療所を離れ、遺体安置所に妹を降ろした。



 救急車は高速道路や人通りの多い街中を通り抜け、ジャングルのでこぼこ道を疾走している。だが空きベッドを求めて国中を走り回っている救急車が病院に着く前に息絶える患者も多い。シエラレオネの救急医療体制は機能不全に陥っている。



 政府は、救急車の運用について再考を迫られている。フリータウンで国際赤十字・赤新月社連盟のエボラ熱緊急対応作戦の責任者を務めるスティーブ・マッカンドリュー氏は「救急車と医療機関との連携が重要だが、全く機能していない」とし、「それが事態を悪化させているのかもしれない」と話す。



 同国では最近まで保健省が要請に応じ救急車を手配し、その後、地元当局に対応を要請していたが、コロマ大統領がこのほど、退役将校をエボラ熱対応センターの責任者に任命した。同センターが患者の容態を判断し、病院に搬送するか、監視するか、さらには埋葬するかを決める。



 このセンターの責任者パロ・コンテー元少将は、「この組織は議論の場ではない。行動する組織だ」と述べ、兵士を訓練して救急車を運転させていると胸を張った。だが、なぜ救急車が、長い距離を走らなければいけないかについて詳しく話そうとはしなかった。



 専門家らは、西アフリカのエボラ熱の感染拡大を抑えるには救急医療体制の強化が必要だと述べる。シエラレオネ政府には、まだやるべきことがたくさんある。



 リベリアとギニアではエボラ熱は狭い地域に集中しているが、シエラレオネでは国内全域に広がっている。



 ある救急車は、空きベッドを探し、フリータウンから400キロ離れた国境に近いカイラフンの治療センターに来た。



 「重症の患者にとっては遠すぎる距離だ」と救急車の運転手、モハメド・カマラ氏は話す。だが、長旅が危険なのは患者だけではない。悪路で患者の治療をしている医療従事者が運転手に倒れかかり、感染させてしまうといったことも起きている。



 冒頭の兄妹の妹が死んだ後、今度はその母親が生まれてわずか4日の乳児を、別の救急車で診療所に連れて行った。しかし赤十字によれば、乳児はすぐ死亡し、2、3日後には少年も死んだ。父親もエボラ熱と疑われる症状ですでに亡くなっており、母親が一人残された。





By Peter Wonacott