【君子は時中す】6066

 

 

 

藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…

 

 

 

「君子はよく時中(じちゅう)す」

 

東洋古典の名著『中庸』にある言葉である。 

 

 

 

原文は「君子而時中」。

 

安岡正篤師によれば、「而」は「して」と普通は読むが、明代の大学者兪曲園(ゆきょくえん)はこれを「能(よく)」と読むべきと注釈している、という。

 

さらに、「中」には相対立しているものを統一(相結ぶ)して一段高いところへ進めるという意味と同時に「あたる」とい う意味がある、と説明している(『洗心講座』)。 

 

 

立派なリーダーはその時その場にふさわしい手を打ち、あらゆる矛盾、相剋(そうこく)を克服してどこまでも進歩向上していく。

 

これが「君子、時中す」の意味である。

 

 

「時中」はリーダーに求められるもっとも重要な資質と言える。 

 

その意味で忘れられない人がいる。

 

明治天皇である。 

 

明治天皇は明治19年10月29日、東京帝国大学に行幸(ぎょうこう)、授業をつぶさに見学された。

 

皇居に戻られたのち、侍講(じこう)・元田永孚(もとだながざね)を召されて次のように仰せられたという。 

 

 

「朕(ちん)過日大学に臨す。設ける所の学科を巡視するに、理科・化科・植物科・医科・法科等は益々(ますます)その進歩を見る可(べ)しと雖(いえど)も、主本とする修身の学科に於(おい)ては曾(かつ)て見る所無し」 

 

先日大学の授業を巡視したが、理科や医科などは目覚ましく進歩しているけれども、もっとも大事にしなければならない修身の学科はこれといったものが見られない、と憂慮(ゆうりょ)されたのである。

 

 

大学は日本教育の最高学府、優れた人材を育成する所であるが、いまのような学科を教えているだけでは、専門に優れた人材は育つだろうが、国家の相となるようなリーダーを得ることはできない・・・明治天皇の概 嘆(がいたん)が直接聞こえてきそうな『聖喩記(せいゆき)』の一文である。 

 

明治に入り、西洋の文明が怒濤のように押し寄せ、その技術文明に遅れてはならじと日本国中が浮き足立っていた。

 

 

例えば、初代文部大臣の 森有礼(ありのり)は、日本語を廃し英語を国語にしようとしていた、という事実もある。

 

そのような時に一人、明治天皇だけは時流に流されず、いま何をすべきか、何が重要かを知悉(ちしつ)していた、すなわち時中していたことを、この一文から窺うことができる。 

 

 

『人生に生かす易経』の著者・竹村亞希子氏は「時流」と「時中」の 違いを述べられている。

 

時流は現象としてあるもの。

 

だが、『易経』は時流を重んじない。

 

いやむしろ、時流にのる者は時流によって滅ぶという。

 

 

君子は時流にのってはならない。

 

時中しなければならない。

 

 

春、種をまけば秋に実がなる。

 

冬に種をまいても実は結ばない。

 

冬は種をまく時ではなく、土を作る時である。

 

 

時の変化は限りないが、どんな時にも「時中」はある。

 

それを見極め、時に中(ちゅう)していきたいものである。

 

 

小さな修養論2』致知出版社

小さな修養論2

 

 

 

 

 

 

「時中」とは、固定観念にこだわらず、時により柔軟にバランスよく対処することをいう。

 

時に応じ、その時の最適な「解」すなわち「中」を選択すること。

 

 

一見すると相反する矛盾するような問題を、その時々の状況に応じ、矛盾を矛盾のまま乗り越えてしまうような解決法を出すこと。

 

妥協するのでも、負けるのでも、一方に偏(かたよ)るのでもなく、「ああ、その手があったのか」と思えるような別次元の最適な答えを出す。

 

すぐれたリーダーや名経営者はこれができる。

 

 

政治でも、経済でも、文化でも、芸術でも、あらゆる人間の活動の中に、様々な矛盾した問題が存在する。

 

それらを、何の躊躇もなく、いとも平然とやってのけることができる人は、名政治家であり、名経営者、名リーダーだ。

 

 

「君子は時中す」という言葉を胸に刻みたい。

 

 

 

小さな修養論2

 

 

 

 

 

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