総合案内で病棟を確認し
すぐさまエレベーターへ乗り込む。
ドキドキして手のひらに、変な汗をかいていて、それでいて指先は冷たかった。
ナースステーションで、父の名前を告げて部屋番号を教えてもらう。
ベッドに横たわり、点滴に繋がれている父を見て愕然とした。
「お父さん!!!」
はっきり覚えていないけれど
多分、そう呼んだと思う。。。
父はゆっくりと目を開けて
静かに微笑んだ。
それから少し照れくさそうに笑って
「おお…」
とだけ言った。
私は一緒に住んでいないので
どうしてこうなったのか?
いつここへ来たのか?
とにかく立て続けに質問したように思う。
個室ではない為、あまり大きな声で話すと、他の患者さんに迷惑だと感じ、最小限のボリュームで話した。
まだ耳はさほど遠くないので
その点は助かった。
しばらくして、何か食べたいものはあるか?と聞いてみた。
何も食べられず、唯一口にして
吐かないモノはカップ氷だった。
床頭台の上に置かれた
カップに入った氷だったものは
おそらく朝、仕事に行く前に母が用意したのだろう。
すでにそれは溶けてしまって
ただの水になっていた。
「売店でコレ、買って来てくれ」
父に頼まれて、売店の場所を聞いて
買いに行った。
売店と聞いていたのに行くと
そこはコンビニだった。
私は店内を二回ほど回った。
こんなにたくさん食べ物があるのに
お父さんが食べられるもの
なんにもないなんて……
そう思ったらまた、泣きそうになった。
でも、私が泣いている場合じゃない。
お父さんはもっと苦しいし、辛いはず。
そう言い聞かせながら
三百円しか持って来なかった左手を
ギュッと握った。
カップ氷=110円
お茶=100円
残り何を買おうか…
バラ売りのお菓子があって
そこにチュッパチャプスを見つけた。
31円!
病室に戻って、カップ氷を開けたら
父が
「氷、くれ」
と言いながら、自分の口を指差した。
スプーンを探したけど、見当たらなかったので
「手でいいの?」
と聞いたら、頷いた。
喉に詰まらせないように
注意しながら、そっと氷を口に入れてあげた。
なんだか赤ちゃんみたいで
かわいかった。
しばらくして、チュッパチャプスを私が食べていたら
じっとこちらを見ていたので
どうした?と聞いたら
「ちょっと、オレにもくれ」
と言ったので舐めさせてあげた。
すごい笑顔で
美味しい!と言ってたから
思わず笑ってしまった。
早くごはんが、食べれるように
なってほしいなぁ〜〜〜