「西尾城(前編)」では、大阪から西尾城迄のアクセス等に文章を割いてしまいましたが、いよいよ「西尾城(後編)」では、お城を見ていきたいと思います。

 

前編 https://hama-sush-jp.pro/highhillhide/entry-12635368368.html

 

最近復興を果たした「二の丸丑寅櫓」

 

まず「西尾城」(愛知県西尾市)の成立ちですが、13世紀初めに「足利義氏」が三河守護を任じられて築いたお城「西条城」をベースにしています。その後子孫が土着して「吉良家」を称して領地支配しますが、「今川家」の支配下となり、更に「桶狭間の戦い」の後は、「今川家」から人質を解かれた「松平元康(後の徳川家康)」が、家臣の「酒井正親」を入城させました。

 

そして戦国時代後期には、「酒井重忠」によって「天守」「櫓」「櫓門」等を建造し、その後に入城した「田中吉政」の時には「三の丸」の拡張や、大手黒門や櫓等の増設が行われ近世城郭化しました。

 

関ケ原の戦い後は、「本多家」を皮切りに、「大給松平家」「太田家」「井伊家」の譜代大名が入れ替わりに入城し、お城の完成は「井伊家」の頃の1655年頃だったようです。更に「増山家」「土井家」「三浦家」と入れ替わり、1764年からからやっと「大給松平家」によって城主が定着します。

 

「西尾城」は「平山城」でその縄張りは「梯郭式」です。背後の沼地を背にした西南隅に「本丸」を置き、北東から南東にかけて「二の丸」や「姫の丸」を、更にはその周囲に「北の丸」と「東の丸」を構え、それらを包み込む形で「三の丸」を置く、「惣構え」のお城です。特に「姫の丸」は「本丸」の南東に置かれた小さい曲輪で「馬出」的な役割を担っていたようです。

 

上が南西方向、下が北東方向(左の中之丸=姫之丸、城内掲出絵図)

 

「本丸」には、四隅に「櫓」を築き、その中で「丑寅櫓」が三層三階だったので、本丸に「天守」がなかった当城では、「本丸」における天守代用としての役割も担っていました。

 

また「本丸」内には、1678年に「土井利良」によって再建された「御剣八幡社」が建ち、その後も各藩主からは信仰が厚い社となっていました。「表門」は、「姫の丸」との間に置かれ、「二の丸」との間にも「本丸虎口門」が置かれ、いずれも「櫓門」で、「土橋」で繋がっていました。

 

現在の「本丸」跡には、北東隅に下見板張りの「丑寅櫓」が木造で復元されています。その内側の「八幡社」は現存し、当時から城主(藩主)によって寄進された灯籠も残り祀られています。

 

「本丸全景」(本丸表門跡から)

「二の丸」跡からのぞむ「本丸丑寅櫓」

復興の「本丸丑寅櫓」(姫の丸跡から)

復興の「本丸丑寅櫓」(本丸表門跡付近から)

復興「本丸丑寅櫓」の三階 

現存の「御剣八幡社」で手前の灯籠は歴代藩主により建立

 

また「西尾神社」も「本丸」内に建てられていて、その後方には「本丸未申櫓」台の盛土を確認することができました。また、「井戸」の遺構も存在します。

 

「本丸未申櫓」台の盛土

「本丸井戸」

 

「表門」と「本丸虎口門」跡の脇には、門で使用されていた石垣が残ります。また、「本丸虎口門」前の「土橋」の両脇及び、「本丸」跡と「姫の丸」跡の間には「堀」が残ります。

 

「本丸表門」跡(「姫の丸」との出入口)

「本丸表門」跡から見た「堀」(「本丸」跡と「姫の丸」跡<右側>との間)

「本丸虎口門」跡(「二の丸」との出入口)

「本丸虎口門」(奥)と「二の丸」を繋ぐ「土橋」

「土橋」脇の「堀」(本丸跡<左側>と二の丸跡の間)

上記「土橋」脇から「姫の丸」と「本丸」の間に繋がる「堀」

 

「馬出」的な位置づけの「姫の丸」跡には、城郭建造物風の「西尾歴史資料館」が建ち、その脇には「姫門」跡碑があります。また、その南東隅にあった「姫の丸辰巳櫓」の土塁が林の茂みの中に見られ、色々な碑がその上に立っています。

 

「姫の丸」跡に建つ城郭建造物風の「西尾歴史資料館」

「姫門」跡(「姫の丸」の出入口)

「姫の丸辰巳櫓」跡

 

「二の丸」の北隅には三重の「天守」が、北東隅には「二の丸丑寅櫓」を築き、「二の丸」の中は「御殿」が敷地一杯に建てられていたようです。「二の丸」からの出入口には「錀石(ちゅうじゃく)門」が構えていました。

 

現在の「二の丸」跡は、「近衛家」の「数寄屋棟」と「茶室棟」が移築され、「西尾市歴史公園」の一部にもなっていますが、前述の「本丸丑寅櫓」と「錀石(ちゅうじゃく)門」が木造で復元された以降も、「二の丸」跡の整備が進んでいて、「天守台」の積み直し事業や最近では「二の丸丑寅櫓」と「屏風折れ土塀」と土塁の復興を果たしたところで、「歴史公園」のシンボルにもなっています。

 

「二の丸」に建てられていた「天守」は、「徳島城」天守が「東二の丸」に建っていた例もありますが、非常に珍しいです。絵図の「天守」は両脇に「多聞櫓」を伴った「複合式天守」のようで、今後、「天守」復興も検討されていて非常に楽しみにしています。

 

京都から移築された「近衛家」の「数寄屋棟・茶室棟」

復興「錀石(ちゅうじゃく)門」

復興「錀石(ちゅうじゃく)門」(「二の丸御殿」跡から)

積み直しされた「天守台」(二の丸御殿跡側より)

積み直しされた「天守台」(二の丸御殿跡側より)

「二の丸」跡の外側より

復興「二の丸丑寅櫓」(二層二階、望楼型、東側より) 

復興「二の丸丑寅櫓」(二層二階、望楼型、「二の丸御殿」跡より) 

復興「二の丸丑寅櫓」の一階

積み直し「天守台」下から「二の丸丑寅櫓」と「屏風折れ土塁・土塀)」を見る(北東方向から) 

復興「屏風折れ土塁・土塀)」(二の丸跡側より)

「二の丸御殿」図(城内掲出分から)

 

「北の丸」「東の丸」には、4基の「櫓」を構え、特に「北の丸」戌亥隅にも「三重櫓」があったことが「正保城絵図」から見てとれます。「三の丸」との出入口は一か所で「櫓門」を構えていました。

 

現在、「東の丸」跡には、昭和初期に米穀商「大黒屋岩崎明三郎」によって造園された日本庭園・建物がある「尚古荘」敷地と「西尾小学校」の敷地になっています。

 

「尚古荘」正門

 

上記の二つの曲輪を包み込む「三の丸」にも三基の「櫓」があり、「大手門」と搦手門の役割を担っていた「新門」は「高麗門」と「櫓門」を組み合わせた「枡形」を形成していました。「大手門」は「外枡形」形式、「新門」は「内枡形」形式を採用していました。

 

現在、前述の「尚古荘」入口の横には「三の丸新門跡」碑が立ち、「西尾小学校」前から北東に真っすぐに延びる道路(中町通り)を少し行った交差点の駅寄りには「大手門」跡碑が立ちます。当時の絵姿も説明書きに掲出されているので、どんな門だったのか非常に解りやすいでした。

「新門(搦手門)」跡碑

「大手門」跡碑と解説絵図

 

「三の丸」跡にはお城の建造物があった場所に碑があり、「大手門」跡に向かう途中には「西尾藩勘定所・群方役所跡」碑が立っていました。また、前述の二つの門を含めて大きな門が四つありました。その一つ「天王門」跡碑が、城主や町人からの信仰が厚かった「伊文神社」入口付近で見つけることができましたが、「追羽門」跡碑は見つけることができませんでした。

 

三の丸内「西尾藩勘定所・群方役所跡」碑

「天王門」跡碑

 

城下町も、事前の調べでは見所が多いようでしたが、時間もあまりなく、「順海町の路地」と「肴町通り」だけは自転車で通り抜けました。特に、「崇覚寺」と「唯法寺」の間を抜ける「天王町通り」は、黒塀などの板塀が続いて江戸時代の風情を味わうことができるエリアでした。

 

「順海町」界隈で「崇覚寺」と「唯法寺」の間を抜ける「天王町通り」

「順海町」界隈で「崇覚寺」と「唯法寺」の間を抜ける「天王町通り」

「肴町通り」

 

その他の見所には、我慢をして名鉄の電車時間に間に合わせるべく、必死に自転車のペダルを漕いで駅まで走りました。

 

次は、「小牧山城」に向かって電車に乗継いでいきます。「名鉄西尾線」で「新安城」駅まで各駅停車、そして「名鉄本線」の特急の自由席に乗継ぎ、「金山駅」で「地下鉄名城線」に乗り換えます。

 

名鉄本線の特急

 

「金山駅」は、名古屋の中では大きい駅で「名鉄」と「JR東海」の改札口が並びます。

 

「金山駅」(左に名鉄、右にJRの各改札口)

 

「地下鉄名城線」は環状線になっていますが、私が名古屋で転勤生活を送っている時は、「大曾根」から「本山」さらに「八事」までの細い道路で地下鉄工事が行われ、バスの渋滞に巻き込まれることもありました。

 

「平安通」で今度は「地下鉄上飯田線」に乗り換えます。地下鉄線としては1駅で次の「上飯田」からは「名鉄小牧線」に乗り入れ「犬山城」の最寄り駅でもある「犬山」まで繋がります。地下鉄線にしては珍しくクロスシートなので快適でした。

 

「地下鉄上飯田線」車両

「地下鉄上飯田線」車両内

 

私は「小牧」駅で下車して、西側にポッコリ見える「小牧山城」がある「小牧山」へ徒歩で向かいました。

 

「小牧山」山頂に聳える「歴史資料館」

 

次回ブログでは、「小牧山城」をお届けしたいと思います。

 

 

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