ある若い男の先生から、相談を受けました。
自分の筆入れの中に、お気に入りのペンを入れていたのだそうで
す。専用のケースに入れて。
で、連絡帳に書かれていた保護者からの文に返事を書こうと筆入
れを開けたらペンケースがない!ってなったのだそうです。
その先生は、焦ってあちこち探しました。
様子に気づいたクラスの子どもが、
「先生、どうしたの?」
と、聞いてきました。
そこで、先生はペンケースが無くなったことを話しました。
すると、A君がペンケースをいじっていたこと、
昨日の掃除の時にケースがごみ箱に入っていたこと、
などを話してくれました。
確かに、A君は前から勝手に先生の筆入れをいじっていて、何度
注意してもやめなかったと言います。
「A君が犯人に違いない、と思うのです。」
どうしたらいいでしょう・・・。という相談でした。
その先生のクラスの状態は、落ち着きがなく、先生に対して反抗
的な子どもが何人もいるような感じです。
こういったクラスでは、物が隠される、壊されるということがよくあり
ます。
さて・・・
その先生の学級経営を変えていくことが、根本的な解決法なので
すが・・・。
よく失敗するのが感情的になってしまうことです。
そして、犯人を探し出そうとすることです。
これは、ペンが見つかること、犯人を探し出すこと、という結果が
大事という思いがあります。
そういう考え方だと、何回もこういう問題が繰り返されるのです。
またよく教育現場で行われていることが、道徳的に理解させようと
することです。
良いこと、悪いことを教えていくのです。
でも、それでは子どもたちは変わりません。
教えるというより、考えさせるのです。
教える、ということをやっている先生のクラスでは、ちょっとずつ違
う形になって、問題が何度も起きます。
そして、一つ一つ教えていくということを繰り返していくのです。
今回の場合は、ペンケースがごみ箱に捨てられていた、ということ
な訳です。
さらに、それを見つけた子どもたちが先生に教えてくれてないので
す。
普通、こういった場合は、子どもたちがすぐに騒ぎ出して教えてく
れます。
どうも、子どもたちが先生の味方になってくれてないようです。
つらいでしょうね…先生も、子どもたちも。
こういった場合は、、どうしたらいいのでしょう。
子どもたちに話す前に、まず、ペンを探し出す、犯人を見つける、と
いう思いを捨てることです。
トイレに落としてしまった…とでも思うようにして…。
潔く、気前よく、あきらめるのです。
そうすると、逆に前向きのエネルギーが湧いてくるのです。
その上で、子どもたちに語っていくのです。
心に、魂に直接響くように。
例えば、
「先生が大事にしているペンを知ってる?」
「あれさぁ…、先生がこの学校に移って来た時に、がんばろうって
記念に買ったものなんだよね…。」
「でね、あれがね、なくなってしまったの。」
(大抵は、ここで「え~~!」って反応があるのですが…)
「あっちこっちを一生懸命に探しているの。先生にとっては、とって
も大切なものなんだよね…。」
「今ね…ものすごく悲しいの。だからね、誰かどこかで見つけたら
教えてくれると、先生はうれしいな。」
みたいな感じで。
先生に反抗的な雰囲気だと、話をよく聞いてくれない可能性が高
いです。
それでも、真心こめて訴えるようにゆっくりとつとつと語っていくこと
は大事です。
必ず、何人かの子どもの心に響きます。
そして、少しずつ先生のことを理解したり、好きになったりしていき
ます。
こういった話をしていると、相談してきた先生の表情が明るくなっ
て、
「元気が出てきました!がんばれそうです!」
と言ってくれました。
ペンは見つからないかもしれません。
でも、このことがキッカケになって、少しでも子どもたちとのつなが
りが太くなることの方が喜びはずっと大きいです。
クラスの中では、こういったことがあったりしますよね。
悲しくなってしまったり、
元気を失ってしまったり、
時には辞めたくなってしまったり、することもあると思います。
それでもがんばる先生たちに、心からエールを送ります!!