この記事のテーマは「人間関係」です。
今でこそ、親族の子達とそれなりに広く、特別難しいとも感じず付き合うことができ、また自宅で長い時間、かつ何何日も預かっていられる私ですが、例にもれず発達障害の特性があるものとして「人付き合いが下手な子ども」でした。
話せないという面もあり、また「どうやったら皆みたいに、気軽に付き合える友達ができるのだろう」と不思議でした。はじめからきつい言葉で話してくる子が多かったと感じていましたし、またそうした細かい、繊細と言えば聞こえはいいですが、自意識過剰とも思える自閉した自分の感覚を増大させて過敏に感じる状態では、気楽に言い合ったり付き合える友達がいなくても仕方がない子供時代でした。
やはり年齢から差し引いて、私が思うに対人能力は自分は5歳くらい年下でした。テストがいくら100点で勉強がわかっていたとしても、人付き合いの部分は、同級生よりも5歳ぐらい年下なのです。
小学校1年生という小さい未熟な年齢で、外を駆け回り楽しく遊ぶ同級生をしり目に、自分はどうしたらいいかわからずに突っ立っている3歳児、4歳児もしかしたら2歳児の素直な積極性さえない子だったかなと思います。
社会性の面での成長がとても遅れている、そのためとても困難があった小学校時代ですが、周囲の子供達が対人面の点で、リーダシップだとか、やさしさ、思いやりだとか、寛容さ、面倒見の良さや忍耐力などを中学・高校と大人になるにつれて身に着けていってくれたおかげで、気長に付き合ってくれる同級生が一人、二人と特別な友人となっていったのではないかと思います。
その穏やかな関係が持てる同級生が増えていったことで、精神的な焦りや混乱が少なくなり、落ち着いて人とのやり取りで相手も自分も傷つかない、受け入れやすい言い方やふるまい方を学んでいったお蔭で、その後の大学や社会人になった時により良い人間関係が築けるようになり、今に至るのだと感じています。
そのため、私は親族の子にとって、人付き合いをする際に一番「壁」となり子供を怖がらせる恐怖心を抱かせない相手になるように、自分なりに心がけています。子供達とといる時は、
・きつい言葉をいきなり言わない
・おっとりと、やや小さめの声ではなす(大きな声を出さない)
・動作をきびきびとしすぎない
・返事をすぐにもらおうとしない。聞いた後はゆっくりと返事を待ってあげる。その間にこにこしておく。
・相手の楽しそうにしていることを、興味がなくてもとにかく話を聞いておく。
・相手の興味があること、楽しい事にちょっとでも興味があれば、一緒にやる機会を持つ
などです。私はもう大人なので、自分が興味がないからと言って子供たちが嬉しそうに話をする・報告をするのを興味がないと知らん顔をしたり、うるさそうにする子供なふるまいは卒業しています。大人なので、工夫と忍耐と、少しばかりの自分をだましながらの、例えば手抜きをしながらも、つきあってやることはできるのです。
先の記事でゲームのことを書きましたが、ある子が「熱帯楽園」という、水槽でいろんな種類のお魚を飼うゲームに熱中しています。水槽に現れる小さな潜水艦をタップするとコインがもらえるのですが、そのコインで熱帯魚や水草を購入できます。熱帯魚はかわいがってやるとなつき、餌をあげると寄ってきて食べ、成長するとペアで買えば子供も増えるようです。
この子はいじめが立て続けにあり、それがこじれて不登校になった子です。
そのため気力がなく、精神的な治療を必要としました。その子の癒しになれば、と、のんびり型の、ぼーっと好きな魚でもながめるこのゲームなら、好奇心がそそられ、それから楽しさを感じ、楽しさから心が回復するかも・・・と親が探して見つけたゲームです。一般でも人気があるそうですね。
心身が回復するまでは、親がゲームをするのを「見ているだけ」でした。親も何とか子供とつながろうとしていたのだと思います。ただ、勉強しないのにゲームはする、というのはその後のゲームの扱いに困るからやらなかったのです。ですが今は、通信教育の紙ベースで勉強をはじめています。
この子は動画サイトなどの学習があまり好きではなく、どちらかというとのんびり紙ベースのワークや参考書を眺めながら学ぶことが向いています。ですので、ワークをやり始めてから終わるまでの時間をはかって、その時間貯金の分で、親のタブレットを取り出してゲームをする方式です。
そのゲームのコインを集めるため(課金は一切させない親の方針で)なのか、かなり勉強をしていると思います。苦手な漢字は、漢字検定用の学習ワークの10級から8級までを順番にやっているぐらいですし、不登校のため学校で習ったことのないそろばんは、数字や算数が特に嫌いで苦手なのに、嫌がらず段持ちの親族から習っています。
私から見て、この子はとても頑張っていると思いました。そして、とても人付き合いが下手な子で、面白いことも言えないし、これと言って人に興味を持ってもらえるような華やかな趣味や性質もあるわけでなく、話し方もつたなく、友達はほしいけど人気がないことはわかっているから・・・とより引っ込み思案になる子です。
なので、人付き合いのリハビリを兼ねて、私とその「熱帯楽園」とやらのゲームでつながり、楽しく1対1で話すことから始めています。
この子がそろばんを習うのは、子供たちが外に遊びに行ったり趣味のことをする2時以降の時間帯なので、そろばんを習っている間に、私がこの子のタブレットで熱帯魚の水槽の中に現れる潜水艦を見つけたらタップして、コインをゲットしてあげています。
仕事をしながらなので、気が付いた時にふっとタップするぐらいですが、一定の時間が空くとメダルを50個くれるタイムサービスのようなものがあるので、それでコツコツと何百とコインを集めてあげています。
私が楽しみなのは、稼いだコインの数を伝えた時に、この子が「ありがとう!」と嬉しそうにはにかんで寄ってくることです。いじめに遭った時から、他人への警戒心は強くたとえ親族でも、容易に自分から近づこうとしない子になってしまったので、嬉しそうにしながら自分からタブレットをのぞきに近づいて、私の隣りで「すごい。いっぱいたまってる。ありがとう!」とニコニコしているのを見ると、それだけで2人、なんだかお互い幸せです。
お魚さん、そろそろ子ども産みそうだね~、と話したり「このお魚、この海藻好きじゃないのかな。買わない方が良かったかな。売った方がいいかな。」とたわいもない会話ができることが、とても嬉しいです。
そして「明日も、また増えたお魚の図鑑見せてね。」と言うと、うん!と嬉しそうに帰っていきます。
他にも、不安が強く警戒心がどうしてもぬぐえない男の子がいたのですが、その子は「ハイチュウミニ」で落としました。
ハイチュウミニとは何ぞや?と思う方に、これです。
これをそのまま「はい、おやつ」とあげると、そこには何も深まる関係性がないのですが、私が自分のおやつとして持っている、ということにして、「ひとつぶずつあげる」と、そこに関係が生まれます。
私はその子が、特にソーダ味のお菓子が好きなのを知っていました。なので
「おばちゃん、このハイチュウミニ大好きなんだけど、ソーダ味だけ苦手なの~。あなた食べてくれない?」と、ソーダ味を一個見せます。おやつだと嫌、ということはまずないので「うん」と食べてくれます。
これは結構おいしいので、たぶん一粒では足りません。
なので、しばらく経ってから「あ、またソーダ味が出てきた。ねえ、食べて。」と言うと、寄ってきます。その後は隣で待機していました。ソーダ味が出てくるまで待っているんですよ。かわいいです、本当に。
それで「これ美味しいよね、あなたも好き?」
「おばちゃんは『もも』が一番すきなんだ~」
というたわいもない会話をしたり。その子は次の日が我が家に来る最終日だったので「気に入ったなら、明日の帰りに持って帰れるように買っておくね。」というと、うん、うん、とうなづいてました。
こういう1日を経ての約束は他人同士だからこそ特別であり、もしこの約束を大人が覚えていて、次の日にちゃんと守ってくれたのなら、こうした警戒心の強い子は、どこかで「この人は大丈夫かもしれない」と、少し小さな油断という穴が開きます。その小さな穴を突破口にして、その後はどんどん、警戒心を解いていけば、いずれ1対1でなら怖がることなく、安心して会話してくれる関係に変化していきます。
自分が不安が強い人付き合いが下手な子だったので、こうした子どもの「話せる仲のいい人」になりたいと思っています。そういう他人が一人、また一人と増えることで、子供は自信がつき、その少しの自信が年齢が上がるにつれてお友達を得るチャンスを生かすことになると感じます。
子供たちが、思春期に仲良くなれるお友達に一人ぐらいは出会えるように願いつつ、小さい子達の中に人付き合いの種をこれからも植えていきたいと思います。