チェ家の末の弟ゴンの誕生日から
ひと月あまりたった頃
季節はゆっくりと
夏から秋へと移ろい
肌寒さを感じるようになっていた
秋夕(チュソク)を
迎えるこの時期
屋敷の女中たちは普段よりも
少しだけ 忙しく働いている
墓の掃除は
茶礼(チャレ)当日よりも
かなり前から
忙しい主人夫婦に代わって
女中頭のへジャ夫婦が
念入りに行った
知人や親戚への贈り物は
女主人のウンスが決めて
へジャの娘オクリョンが手配し
先祖供養のための
茶礼床(チャレサン)の準備は
女中たちが総出で行う
新米やお酒
棗 栗 果物 野菜のナムル
チャプチェ 魚や肉のジョンなど
祭壇にはいろいろな料理が並ぶ
買い物だけでも大仕事だ
チェ家の子供達は
それら一連の行事を興味津々
と言ったふうに見つめたり
また松餅(ソンピョン)作りに
加わったりもした
ソンピョンが上手く作れたら
結婚相手に恵まれるという
言い伝えのためか
中でもユニョンが一番真剣に
取り組んでいた
そうして
準備万端整えた秋夕
屋敷は厳かな時を迎える
女中たちは今朝はそれぞれの
実家や自宅で家族と過ごすため
屋敷には来ていない
へジャ夫婦とオクリョン夫婦は
ここがある意味実家のような
ものだから主人夫婦のそばに
控えているが
昼からは別行動で
へジャの母ソンオクの
墓参りに行く予定だ
大叔母のチェ・ギョンウォンは
昨晩から屋敷に泊まり
子供達と楽しいひと時を過ごし
チャレも墓参りも一緒
大叔母が大好きな子供達は
大はしゃぎだ
こんなに
ゆったりとした気持ちの
チュソクは初めてかも
しれないねぇ
ありがたいことだ・・・
祭壇を見つめながら
ギョンウォンはつぶやいた
武閣氏の長を辞して
数年になるが
いまだに王宮では頼りにされ
王家や王妃様の相談役として
ことあるごとに呼び出されている
しかし今年はどうした風の
吹き回しか?
「チュソクくらいは
家族とゆるりと過ごすと良いぞ」
と言う大妃様の鶴の一声で
出仕せずに済んだのだ
王家第一と思って
お仕えしてきたが・・・
こうやって子供達と過ごす
チュソクもいいものだ
ウンスや
そなたにはいくら礼を言っても
言いたりないくらいだよ
天界のお方だと言うのに
あんな偏屈な
戦しか取り柄のなかった男の
妻となって支えてくれて
その上 可愛い五人の子を
育ててくれている・・・
本当にありがとう
うふふ
私がヨンに惚れてしまった
んですもの
惚れた弱みっていうでしょう?
でもね 叔母様
天界中探してもあんなに
家族思いで優しい
いい男はいませんよ だから
こっちが感謝しているんです
こんな跳ねっ返り
天界じゃあ 嫁の貰い手
なかったでしょうし
ウンスはそう言って笑った
思えば現代にいた頃は
チュソクにはそれほど縁がなかった
実家はキリスト教だったので
茶礼床を省略し いつもより
少し贅沢な朝ごはんといった程度
秋は農園の繁忙期というのもあるが
チャレが一族総出の行事ではなかった
ウンス自身大学病院で仕事に明け暮れ
チュソクだからと言って
先祖供養のために
帰省を優先することもなかった
私 チュソクを迎えると
ああ 本当に私は
このチェ家の一員として
暮らしているんだなぁと
実感するんですよ
だから今朝は特別な朝なんです
そう言ってもらえて嬉しいよ
お兄様も義姉様も
息子にいい嫁が来たと
きっと喜んでいるだろう
俺は
イムジャのいない暮らしなど
もはや想像もできぬ
これからもずっとそばで
俺を見守っていてくれよ
もちろんよ ヨン
私の方こそ
よろしくお願いします
すると
叔母がぶつぶつと言った
なんだかんだと
仲睦まじいのは結構なことだが
お前の「イムジャがいなければ」
というくだりは
今に始まった事ではない
ウンスがいなくては
生きてはゆけぬと大騒ぎしたこと
よもや忘れたとは言わせないよ
これを聞いたチェヨンは
苦笑い
しかし
事実なのだから否定もできない
さて
正装をした子供達は
かしこまって祭壇にご挨拶
それから
両親大叔母に挨拶をし
朝餉となる
いつも以上に豪華な朝餉に
タンもサンも大興奮だ
賑やかな朝餉を終えると
主人一家は
墓参り(ソンミョ)へ向かう
少し離れた山中にある菩提寺
チェヨンとウンスが婚礼を
挙げたあの場所だ
帰りには別邸に寄って
風呂に浸かってくるか
それはいいわね
そうしましょう
夫婦でそんな会話をしながら
山道を登る
ウンスは夫の馬に同乗し
叔母とタンは
それぞれの馬に乗り
四人の子供達はへジャの夫
ソクテが御者を務める輿で移動
サンは自分も馬に乗れると
言い張ったが
父親にまだ遠乗りは早いと
却下された
ご先祖様のおかげで
ちょっとした小旅行みたいな
気分だわ
タンはもうあんなに上手に
馬を扱えるのね・・・
すっかり大人になっちゃって〜
凛々しい横顔を見るにつけ
嬉しさと寂しさが入り混じる
母親が知らない世界を
これから一歩ずつ切り拓いて
歩んでいくのだろうと思うと
頑張って欲しい気持ちと
いつまでも子供でいて欲しい
気持ちがせめぎ合うのだ
そうだな
だが まだまだ
親の助けのいる歳だぞ
それにイムジャを巡って
俺の永遠の好敵手でもある
そう言ったチェヨンの声は
誇らしそうで
優しくウンスの耳に届いた
山道のオクッセ(ススキ)が
秋の到来を告げている
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『今日よりも明日もっと』
悠久の時を経て
今 此処にいる
夜空の月を見上げながら
感傷的な秋模様
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昨日は中秋の名月
「月より団子」で
月見の和菓子に
気を取られておりました
今日は満月
今宵こそはゆるりと
お月見ができたらいいな
お隣の国では
昨日がチュソク(旧盆)でした
親戚一同が顔を合わせ先祖供養
の日ですが
昨日 目にした推し(リダ)が
発信したチュソクの
ご挨拶ビデオで
ああ そうだったなぁと
思い出しました・・・
高麗のチェ家も
穏やかなチュソクを
迎えられたようで何よりです
新たな台風が発生したようですし
今日も またまた大雨予報
この雨 いつまで続くのか
不安になります
くれぐれも
お気をつけくださいね
どうぞ
安寧にお過ごしくださいませ