ゴンが昼寝をしている間に

準備はすっかり整った

 

本日二度目のケーキは

甘く煮た栗がたっぷり入って

クリームの上には梨と葡萄が

飾られている

ウンス渾身の出来栄えだ

 

宴のご馳走は天界仕込みの品々

子供達が大好きな

フライドチキンとフライドポテト

プルコギを巻いたキンパ

もちろん縁起物のミヨックッ

(ワカメスープ)も忘れてはいない

 

チェ家の農園で採れた野菜たち

カジ(茄子)を使ったカジナムル

オイ(胡瓜)をジャン(醬)に

漬け込んだものなど

そして

松葉のシュワシュワサイダー

この日のために

松の葉っぱを集めて作った

女中たち力作の特別な飲み物だ

 

 

うわ〜すっごいね

ゴン びっくりするね

 

 

キラキラと目を輝かせて

興奮しているのはサン

スニョンもユニョンも

ぱーちい会場の仕上がりに

満足そうだ

タンは気落ちした母親の様子を

気にかけていたのだが

父チェヨンと話す中で

落ち着きを取り戻したようで

すっかりいつもの母に戻っていた

 

 

やっぱり

アッパには敵わないや

 

 

タンは少しばかり悔しそうに

両親の姿を見つめた

ウンスはチェヨンが手配した

西洋の葡萄酒を

嬉しそうに眺めている

 

チェヨンは毎回

子供達の誕生日に

ウンスにも何かしらの贈り物を

用意している

子供達を命懸けで産んでくれた

妻への愛情表現の一環で

最近はお酒のことが多かった

 

 

オンマ

その簪 

よく似合ってるよ

 

 

タンは母親に声をかけた

銀細工の簪は

ハスの花でかたどられている

子供達の手作り品

 

今年のウンスの誕生日に

みんなで少しずつ打ちつけて

ようやくこしらえた品だった

 

勿体無いと言って

普段は滅多につけていないのだが

ここぞと言う時には

美しいウンスの髪を

より美しく引きててくれている

 

 

ええ ありがとう

すごく気に入っているわ

みんなが作ってくれた

特別な簪だもの

 

 

ウンスは嬉しそうに微笑んだ

その横で今度は

夫のチェヨンが少々膨れっ面

何事も自分が妻の一番でないと

納得いかないらしい

さすが悋気大魔王

子供達にも容赦ない

 

 

タン

そろそろゴンを

起こしてきてくれる?

 

 

うん わかった

おまかせ〜

 

 

タンが弟を呼びに行っている間に

往診から戻ったイサが

奥の間に顔を出した

もちろん昼間の騒動は

イサの耳にも届いている

 

 

イサ 今日はありがとう

一日お休みしちゃって

イサに負担をかけたわね

変わりはなかった?

 

 

ああ 大丈夫だよ

患者さんたちも

今日がゴンの誕生日会だって

よくわかっているから

通院してきた人も少なめだったし

往診は予定通り終わったし・・・

 

 

そお ありがとう

よかったらイサも

ご飯食べて行かない?

 

 

イサ そうしようよ

ユニョンの隣で ね?

いいでしょう?

 

 

ユニョンも熱心に引き止めたが

イサはスルッと辞退した

こう言う遠慮深いところは

何年経っても変わらないようだ

 

 

ゴンにソンムル渡したら

家に戻るよ

 

 

イサは卓の上に書物を置いた

 

 

これ 父上と一緒に

作ってみたんだ

子供向けの医学書

どうかな?

 

 

ウンスは驚嘆した顔で

パラパラと中を見た

体の構造や怪我の対処法など

図や絵でわかりやすく

まとめられている

 

 

すごいじゃない!

何やら 密かに 

やっていると思ったら

これだったのね

 

 

ちょうど

昼寝から目覚めたゴンが

奥の間に登場し

その書物を手に取って

大きく目を見開いた

 

 

すごいね〜

すごいよ〜

 

 

気に入ってもらえて

よかったよ

ゴンは探究心が旺盛だから

こう言うのも

いいんじゃないかと思ってさ

 

 

ありがとう イサ

こういうのほしかった

 

 

これソダンでも使えそうよ

今度カン・ユハに相談して

みましょうよ

 

 

ずるい!

サンもほしい〜

 

 

母の仕事に興味津々のサンも

欲しい欲しいとねだっている

 

 

じゃあ 

サンの誕生日にも

考えておく

 

 

イサはそう言い残して

帰って行った

 

 

それからすぐに

仕切り直しの

ゴンの誕生会が始まった

 

まずは家族からのソンムル

ユニョンは破けた本を

綺麗に修理し

押し花で飾ったカバーを

かけてゴンに手渡した

 

続いてスニョンが渡したのは

虎の刺繍を刺した

巾着(チュモニ)

 

サンは葡萄のジャム

タンは手作りの弓矢

 

 

ゴンは剣より

弓の方が向いている気が

するんだよねぇ

ほら集中力がすごいでしょう?

 

 

しなやかな曲線を描く弓に

ゴンは釘付けだった

 

 

さすがにぃに

ゴンのこと

よくわかっているわねぇ

 

 

ユニョンは感心して

パタパタと手を叩いている

 

ばぁばの用意したものは

この時代には珍しい

虫眼鏡だった

 

これも観察好きなゴンの

性格を思ってのことだが

もちろん 

ばぁばの用意したものは

ただの虫眼鏡

というわけではない

 

持ち手のことろは漆塗り

眼鏡の縁は金細工と

その辺の野山では

使えないような高級仕様で

一同あんぐり 

それを眺めた

 

 

で アッパとオンマの

ソンムルはなんなのさ?

 

 

サンはゴンに代わって

両親に尋ねる

 

 

それは

飯を食ってからだな

 

 

父チェヨンはふふんと

鼻で笑って答えた

 

 

ゴンは昼間の出来事から

気持ちを切り替えたようで

ユニョンが直してくれた

お気に入りの本を

嬉しそうに抱え

目では医学書を追っている

 

 

ゴン

よかったわね

ソンムルいっぱいよ

 

 

うん!

 

 

弾けるような笑顔だった

ウンスが見たかった息子の笑顔

 

我が子といっても

一人一人みんな違うのに

ついつい兄タンのように

華やかな祝いの席にしてあげたい

そんなふうに思ってしまった

タンの周りには

常に人が集まり賑やかだし

長子ということもあって

お誕生日にも

いろんな人がお祝いに

駆けつけてくれる

タンもそれを嫌がることはないが

チェ家の後取りという重責が

ついて回っているのも事実だ

 

一方

ゴンは自分の世界を大事にする

外遊びも嫌いじゃないが

自分の時間を大事にして

静かに コツコツ

考えたり試したりするのが

好きなのだ

 

その違いだと言うのに・・・

 

猪突猛進なのは悪い癖

分別のある大人なのだから

もっと周りの意見も

聞くべきだったと

ウンスはまたもや反省

 

 

オンマ?

あのね 本は破けたけど

ぱーちい 楽しかったよ

おいしいおやつもいっぱいで

おともだちみんなに

おめでとうって言われたし

それに ボク

オンマがみんなに囲まれて

キラキラしていたの

うれしかったよ

 

 

ゴンは笑いながら言った

その言葉にウンスは

モヤモヤした気持ちが

一気に引いていく気がした

 

それからは

フライドチキンの争奪戦やら

シュワシュワな飲み物に

ゴンが目をぱちぱちさせる姿が

とても可愛らしくて

姉たちは黄色い声をあげるやら

賑やかな食事が続いた

そして

最高潮に盛り上がりを見せたのは

ケーキの登場の時

 

ヨン本の蝋燭をたて

ゴンが息をふうっと

炎を吹き消すと

家族みんな そして給仕の

女中たちから

大きな拍手が湧いた

 

 

ゴン おめでとう

ゴン 生まれてきてくれて

ありがとう

 

 

ウンスは息子に伝える

ゴンは極上の笑顔で

「ありがとう」

とみんなに言った

 

 

イムジャ

ゴンを俺のもとに

授けてくれてありがとう

 

 

チェヨンは潤んだ瞳の妻に

葡萄酒を注ぎながら

優しく微笑みかける

 

 

いいぱーちいで

ございますねぇ

 

 

へジャは目を細めて

つぶやいた

 

 

子供達の成長を見守るように

夜空に流れ星が

すうっと舞っている

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

あなたが幸せだと

私も嬉しい

あなたが元気だと

私も元気になれるよ

 

 

くま猫うさぎねずみトラお祝いケーキ

 

 

ゴンの誕生日

楽しく過ごしているようですね

 

ところで

両親からのソンムルは

何なのでしょう

わかった方いるかしら?

予想してみてくださいね〜

答え合わせは また次回

お付き合いくださいませ

 

皆様

安寧にお過ごしくださいね

 

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