大晦日

三つ子の誕生日の朝は

毎年の恒例通り

巫女ハッケミの厄払いの

舞で始まった

 

黄色い衣を身にまとい

鈴を鳴らしながら

くるくる くるくる

表の玄関前で祈祷する姿は

どこか不思議で

どこか厳かで

どこかクスッと笑える・・・

 

 

ああ 間に合った

おやおや 

今回も目に刺さるような

鮮やかな色の衣だこと

 

 

そう言いながら

微笑んだのは

近所に住む大叔母の

チェ・ギョンウォンだ

 

 

ゴンね

この踊りちょあよ

 

 

いつもは真面目一本の

三男坊のゴンは

このハッケミの舞を

たいそう気に入っていて

毎回食い入るように

見入っている

 

 

ハッケミは

いつもフラッと現れて

いつのまにか

消えてしまうのよね

タンのトルチャンチ以来

気がつけば十年以上だわ

でも あの舞のおかげで

我が家は無病息災なのかしら?

うふふ

 

 

そうかもしれぬな

 

 

夫婦は顔を見合わせる

そこへ二人の間に

割り込むようにサンが来た

 

 

オンマ

ねえ

朝からごちそうだよね?

 

 

ええ そうよ

今日はお昼過ぎには

王宮へ向かうから

先にお祝いをしちゃいましょう

昨日からヘジャたちが

色々仕込んでくれているの

楽しみね

 

 

うん!

でもぉ

けえきはないんだよねぇ

 

 

サンは少し残念そうに

聞いた

 

 

そう決めたでしょう?

 

 

ユニョンが答える

子供達はつい先日の

クリスマス会で

いちごのどっさり乗った

オンマお手製の豪華なケーキを

競い合いながら食べたばかり

 

もちろんチェ家が

お金に困っている

わけではないが

天候不良で

物価が急激に上がっている

このご時世

民は我慢を強いられているのに

サン達だけ

なんどもケーキを食べるのは

チェ家の家訓 質実剛健

質素倹約に反すると

子供達は話し合い

結果今回はケーキを

食べないことに決めた

 

自分たちのことだけ

考えるのではなく

ソダンの友人や

民達のことも思いやれる

優しい子供達に

育ってくれていると

ウンスはその判断を嬉しく

思っていた

 

 

さ 巫女様も

お帰りになったし

朝餉にしましょうか

叔母様も今日は

王宮へ?

 

 

ああ 大妃様に

呼ばれているからね

それに夜はみんなと一緒に

花火を見たいものだと

思ってねぇ

 

 

あの方もご一緒に?

うふふ

 

 

まあ そうなるかね

 

 

チェ最高尚宮は曖昧に

笑った

あの方とは叔母の

かつての恋人で

今回の花火の仕掛け人

独身同士の二人は

お互いの家を

遊びに行き来する仲だ

 

 

ねえ オンマ

けえきはないけど

ソンムルあるよね??

 

 

サンは心配そうに

尋ねた

 

 

うふふ

アッパに聞いてみたら?

 

 

ないの?

ねえ オンマぁ

 

 

サンは納得いかない顔で

母親に詰め寄ろうとしたが

一足先にウンスは

ゴンを連れて奥へ向かった

 

 

チェヨンは恒例の

年末行事のため

本来は早朝から王宮に

詰めていなければならない

しかしながら

家族思いで妻贔屓と評判の

チェヨンのこと

せっかくの三つ子の誕生日

なのだから・・・と

チュンソクやトクマンや

パク・インギュが

気を利かせ

チェヨンのぶんまで働くと

申し出てくれたおかげで

少しゆっくりめの出仕が

叶ったのだ

 

朝餉の卓を囲んで

子供達にソンムルを渡してから

急ぎ王宮へ向かう段取りで

ウンス達家族は

昼からゆっくりと

王宮に遊びに来ることに

なっている

 

 

 

皆が奥へ到着する頃には

女中達によって

すでに膳の準備が終わっていた

 

祝いの宴の献立は

三つ子一人一人の好みを

反映してヘジャが決めた

 

鶏肉好きなサンは蒸し鶏

山菜好きなスニョンは

ナムルと天ぷら

ツルツルしたものが好きな

ユニョンはチャプチェ

そのほかに

ケランチム(茶碗蒸し)や

焼き魚も用意され

朝とは思えない豪華な品が

大きな卓の上に

所狭しと並んでいる

 

すぐにでも

がっつきたいが

まずは父の話

 

今年一年

病気にもならず

大した怪我もせず

家族全員

元気に過ごせたことに

感謝するということ

 

来年はさらに一つずつ

歳を重ねるのだから

学問でも剣術でも

なんでも構わないから

目標を掲げて

日々精進するように

ということ

 

兄弟姉妹で力を合わせて

成長してほしいということ

 

両親はいつでも

子供達の味方だから

困ったことがあれば

相談しなさいということ

 

神妙な顔つきで

聞いていた子供らは

父親の話が終わると

ホッとした顔で

大きく頷いた

 

 

じゃあ 

ご飯にしましょう

あ その前に乾杯ね

タン よろしく

 

 

は〜い

じゃあ みんな飲み物

持った???

去年はサンが消えて

大変だったけど

今年はみんな揃っていて

にぃには嬉しいです

スニョン ユニョン サン

七歳のお誕生日おめでとう!

カンパ〜い

 

 

慣れた風にタンは

グラスを上に突き上げた

 

ゴクゴクと牛乳を飲む子供達

大人達はお酒は控えて

お茶を飲む

 

 

では ばぁばから

ソンムルを

 

 

大叔母が用意したものは

金細工と蒔絵が

施されている立派な筆

だった・・・

スニョンとユニョンは

きゃあきゃあ喜んだが

文字を書く練習が

大嫌いなサンは

いささか不服そうな顔

それをゴンに見透かされて

苦笑い

 

にぃにのタンからは

お揃いの鞠

ゴンは三人の似顔絵を描いて

手渡した

両親からは水晶玉がついた

厄除けノリゲ(胸飾り)と

巾着に入ったお金だった

 

風灯を上げる場所の近くには

多くの露店が立ち並ぶ

そこで

好きなものを買いなさい

という意味合いのお小遣い

 

もちろんタンとゴンにも

同じようにお金が渡され

皆 何を買おうか?

何を食べようか?

と ワクワクして

自然と気持ちは夜に向かう

 

 

こうして

三つ子達の誕生日の宴

朝の部はごちそうを食べ

おしゃべりに花が咲く中

和やかに終わり

チェヨンは

後ろ髪引かれつつ

お役目のため

渋々 王宮へと向かった

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

ゆく年くる年

新しい年に希望の光を

 

 

くま猫うさぎねずみトラお祝いケーキ

 

 

お話の誕生日は

続いておりますが・・・

今年も残すところ

あとわずかとなりました

 

年々時の経つのが

早く感じて

あれ?もう一年経ったのかぁ

と・・・思う自分がいます

サンが天界に行った話を

書いたのは昨年の誕生日?

あれからもうそんなに

時間が経ったのねぇ〜

 

皆様はどんな一年を

お過ごしだったのでしょう?

いいことも悪いことも

悲しいことも嬉しいことも

悲喜こもごもあったでしょうが

新しい年の始まりは

また新たな気持ちで清々しく

迎えられますように・・・

 

どうぞ

安寧にお過ごしくださいませ

来年もよろしくお願い致します

 

 

 

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