屋敷の長い廊下から

見上げる月は

幼い頃に見たそれと

変わらずに美しかった

 

 

いよいよ明日ね

ねえ 花嫁になるのって

どんな気分??

 

 

三つ子の姉スニョンは

隣でほぉっと空を見上げる

妹のユニョンに尋ねた

 

 

ちょっと・・・怖いかな

でもそれ以上に

嬉しいわ・・・

 

 

はにかんだ顔で

ユニョンは答える

イサとの結婚が決まってから

ユニョンは一層

眩しいくらいに美しかった

 

 

そっかぁ

よかったね ユニョン

ずっと子供の頃から

イサに一途で

好きだったもんねぇ

イサのお嫁さんになるって

ずっと言ってたじゃない

これぞ初志貫徹だわね

 

 

スニョンは懐かしそうに

子供時代を思い出し

ユニョンに微笑んだ

 

 

うん・・・

いっぱい心配かけて

ごめんね 

スニョン

私 きっと幸せになるわ

 

 

イサにどうしても

想いが届かず

冗談のようにかわされて

なんども心が折れかけた時

そばで支えてくれたのは

他ならぬ姉のスニョンだった

 

泣きながら布団にくるまって

眠った夜

隣にいてくれたのも

スニョンだ

 

 

私は何もしてないわよ

ユニョンが諦めずに

頑張ったから

イサの心を射止めたのよ

そういう頑固なところは

オンマに似たのかなぁ?

それとも根に持つ性分の

アッパに似たのかしら?

ふふふっ

 

 

明日は婚礼という夜

秋の夜空に

ぽっかりと輝く満月が浮かんで

姉妹を見守っている

 

 

明日は忙しいから

そろそろ寝なくちゃ〜

ヘジャに叱られちゃうもの

花嫁なのにいつまで

起きているのです!って

ヘジャって案外厳しいよね?

でも

スニョンとおしゃべりするの

久しぶりなんだもの

いくら時間があっても

足りないくらいよ

 

 

本当ね

昔はこうしてずっと

一緒にいたのに・・・

大人になるってことは

今まで通りに

行かないことも多いもんね

寂しくなるでしょうね

ユニョンまで屋敷を出たら

アッパもオンマも

 

 

長兄のタンが

王宮勤のため

屋敷を出たのが三年前

タンが十六の時のことだった

そして一年前

スニョンも十六歳になって

武閣氏見習いとして

王宮暮らしとなった

 

両親と

兄弟姉妹七人で暮らした

あの賑やかな日々は

もう戻っては来ない

 

 

お祝い事なのに

二人して

しんみりしてどうするのさ

 

 

そこへひょっこり

顔を出したのはサンだった

 

 

スニョン

屋敷には俺がいるんだよ

それにゴンだって

まだまだここで暮らすし

それにそれにユニョンも

日中はここに入り浸りだろ?

あぁあ 

イサも嫁に監視されて

お気の毒だなぁ

 

 

ちょっとぉ

どういう言い方よ

聞き捨てならないわね

私がいつイサを監視したって?

 

 

だってそうだろ?

イサの帰りを大人しく

待っていればいいものを

診療所を手伝いたいなんて

俺に言わせりゃ

イサの監視のため以外

何物でもないね

それに俺も迷惑だ

ユニョンは昔っから俺に

小言が多いんだからさぁ

診療所では余計なこと

言うなよ!

 

 

ユニョンは結婚後

貿易商の経験を生かし

診療所で使う化粧品や薬品を

仕入れたり

診療所の金庫番をしたり

イサと一緒に働く予定なのだ

 

 

あんたが

小言を言われるようなこと

ばっかりするからでしょう?

それにイサはあんたの師匠よ

師匠を呼び捨てって

どうなのよ!

 

 

ユニョンはぷうっと膨れて

サンをにらんだ

 

サンは将来医官になるため

診療所のイサに

弟子入りしていて

医官養成所に入学するため

勉強の真っ最中

 

 

おお 怖い怖い

イサも奇特な人だよなぁ

小言大魔神のユニョンを

嫁にもらうなんてさ

 

 

サンは怯まず言い返し

くつくつ笑った

 

 

あんたたちの姉弟喧嘩も

相変わらずねぇ

にぃにに叱られるわよ

いい加減にしなさいって

 

 

スニョンの言葉に

二人は静かになった

この場にいなくても

兄の力は絶対なのだ

 

 

にぃにも今夜

うちに泊まれたら

よかったのになぁ〜

 

 

サンは残念そうに言った

タンはお役目で今宵も

王宮にいる

 

 

明日の婚礼には

必ず参列するって

言っていたし・・・

仕方ないわ

にぃには王宮で大活躍

なんだもの

 

 

ユニョンは自分に

言い聞かせるように言った

 

 

ところでサン?

ゴンは?

ゴンと一緒じゃなかったの?

 

 

ああ うん・・・

いや〜それがさ

ゴンの話す 

なんちゃら理論?

難しすぎて俺わかんなくて

書斎から逃げてきた

時空を超える方法がどうとか

わけわからん

 

 

あの子は誰かと違って

幼い頃から超優秀だもんね

ゴンの話を正しく理解できるのは

天界の知識があるオンマ

くらいなんじゃない?

 

 

誰かと違ってって

それ俺のことか?

ユニョン!

 

 

へへへ

バレたか・・・でもね

私は馬鹿でもなんでも

サンが丈夫に育って

くれたことが嬉しいよ

 

 

それ全然褒めてない!

むしろけなしてる!!

花嫁だからって

容赦しないぞ!

 

 

もう あんたたち

喧嘩はやめなさいって!

 

 

スニョンはやれやれと

呆れ顔で諭した

 

三つ子として生まれ

いつも一緒にいた三つの魂は

それぞれが新しい道を見つけ

歩き出している

ユニョンはそれが嬉しかった

 

タンの弟妹は

本当は双子のはずだった

けれどもユニョンが

天の神様に願い出て

スニョンとサンと同時に

この世に生まれ出ることができた

そのため 出産時

オンマの体も危険だったし

何よりサンが一番

大変な思いをして生まれてきた

 

だからサンの健やかな成長は

ユニョンにとって

幸せなことでもあった

 

 

あああ ほんと

ヘジャに叱られる前に

もう寝なくちゃ!

ユニョン 

明日は早いんでしょう?

睡眠不足はお肌の敵って

オンマがよく言っているもの

綺麗な花嫁さんになって

イサを驚かせなくちゃ

さあ 寝よう!

 

 

子供達が

それぞれの部屋に

散った後

 

ユニョンの両親は

娘の嫁入りで

わずかな寂しさと

喜びに高ぶる気持ちが

入り混じながら

同じ空を見ていた

 

 

いよいよね

ヨン 当日になって

やっぱり嫁にはやらんとか

言い出さないでよ

 

 

夫はギクリとした顔で

妻を見つめた

腹の中がわかるとは

長年連れ添っただけはある

 

 

ああ やっぱり

最後の悪あがきを

しようと思っていたのね

でもダメよ

笑って送り出してあげましょう

それにユニョンは

診療所で働いてくれるんだもの

いつだって会えるわよ

 

 

そうは言うが・・・

俺が屋敷に帰る時刻には

ユニョンはあいつの家に

戻るのだろう?

それがなんとも腹立たしい

 

 

あいつとはもちろん

イサの養父チェ・スジョンの

ことである

 

 

チェ先生のことだもの

きっとユニョンを

可愛がって

大事にしてくれるわ

 

 

それも気に入らぬ

ユニョンの父親は俺だけで

良いではないか

 

 

うふふ

本当に拗ねた子供みたいね

そんなわがまま言ってたら

ユニョンに嫌われるわよ

 

 

きら 嫌っっ

嫌われるのか?

それはならぬ!

それだけは!

 

 

慌てる夫の表情が

おかしくて妻は笑った

 

 

冗談よ

うふふ ヨンったらぁ

 

 

妻は夫に

いたずらっ子のように

笑いかけると

なだめるように

その頬に口づけた

 

 

 

 

 

翌朝

子供達は式の準備が

色々あるからと言って

先にチェ家の菩提寺に向かった

長兄のタンと合流するらしい

 

子供達を先に見送った両親は

後から輿に揺られ

のんびりと山道を登って

お寺に向かっている

 

 

それにしても

私たちと同じお寺で

婚礼を挙げたいなんて

そんなこと言い出すとは

思わなかったわ

びっくりしちゃった

 

 

そうだな・・・

 

 

夫は遠い目をして微笑んだ

かつて自分たちが婚礼を挙げ

永遠の愛を誓った場所

あの日の妻の花嫁姿は

言葉にならないくらい

本当に美しかった

 

その寺が

今度はユニョンとイサの

晴れの舞台となるのだ

 

 

イムジャの娘だ

きっとユニョンも

美しい花嫁であろう

ああ やはり

あやつにくれてやるのは

惜しくてたまらぬ

今からでも遅くはないよな?

嫁に出すのをやめようか?

 

 

往生際が悪いわねぇ

私はユニョンの花嫁姿

この目に焼き付けたいわ

だってあの子・・・

ウェディングドレスを

着るって言うんだもの

 

 

妻は誇らしげだった

ユニョンは家族で祝った

母親の誕生日のサプライズ

スィートテンのお祝いが

忘れられなかったようで

花嫁衣装は絶対

ウェディングドレス!

と言ってヘジャを困らせた

 

しかし

万能なヘジャは

敬愛する奥様から詳細を聞いて

なんとウェディングドレスを

作り上げてしまったのだ

 

 

あの子 

すらっとしているし

きっと似合うと思うわ

 

 

そうだな・・・

 

 

感慨深げな夫の

肩に頭を乗せながら

妻はうふふと微笑んで

呟いた

 

 

あの子達も

私たちのように

ずっとずっと

幸せな夫婦でありますように

 

 

そうだな

 

 

妻の手を握り

夫は大きく頷いた

 

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村

 

 

今日は中秋の名月ですね

薄ぼんやりとしか

月は見えなかったけど

お月見団子はしっかり

食べました 笑笑

 

さてお話ですが

意外と長くなってしまったので

続きは次回にお届け致します

お楽しみに〜

 

また

おつきあいくださいませ