三男坊チェ・ゴンの朝は

次男のサンに蹴っ飛ばされる

ところから始まる

 

サンは小柄で身が軽く

寝ている時もよく転がる

 

長男のタンが同室だった頃は

サンの寝相の悪さを察知して

布団をこっそり離して寝ていた

けれどもゴンはそう言う機転が

まだないらしく

うっかり

直撃を食らうことが多かった

 

 

いてっ

 

 

今朝もサンの足が

ゴンの肩を蹴った

横に転がるだけでなく

グルンと回転もするのだから

始末が悪い

しかも起きた時には

元どおりで 

サン本人は自分が

寝相が悪いなど

夢にも思っていないのだ

 

 

ちぃにぃ!!

 

 

ぷんと怒ってみても

サンはまだまだ夢の中だ

兄弟姉妹の中で

寝起きが悪いのは

サンかスニョンと

相場が決まっている・・・

 

耳をすますと 庭から

父チェヨンと兄タンと

姉のユニョンの

声が聞こえた

ゴンは大急ぎで廊下に出ると

庭が見える位置に移動した

ユニョンは診療所に飾る花を

庭で摘んでいて

チェヨンとタンは朝稽古を

している

そのタンの周りを

朝ごはんをもらいに来た愛犬の

(と言ってももう老犬の類だが)

フンとジョンが

のそのそ歩いているが

母の姿はなかった

 

ゴンは

子供部屋の奥にある

両親の閨に向かった

 

オンマはまだ

身支度の最中に違いない

オンマが化粧をする姿を

眺めているのがゴンは

とても好きだった

 

 

オンマぁ〜

 

 

予想通り ウンスは閨で

念入りに化粧をしていた

夏の日差しに負けないように

最近は日焼け止めのクリーム

なるものを開発して

診療所の美容相談で売りに出し

ているくらいで

その商品をウンスも

せっせと

顔に塗りたくっていたが

ゴンを見かけて手を止めた

 

 

あら?

おはよう ゴン

 

 

オンマぁ

あちゅい

 

 

うふふ

あらあら

汗ビッショリじゃない

そのままにしておいたら

風邪をひいてしまうわ

 

 

ウンスはゴンのひたいを撫で

それから桶の水に

手ぬぐいをひたすと

寝汗びっしょりのゴンの

頭や顔を丁寧に拭き始めた

 

 

ヒヤッ!ひゃっ

 

 

ゴンはくすぐったそうに

身をよじる

 

 

うふふ

井戸水は冷たくて

気持ちいいでしょう?

ほら 汗を拭かないと〜

 

 

は〜い

オンマはイイにおい

だネ〜

 

 

ゴンは鼻をひくつかせ

母親に抱きついた

朝はこの瞬間が一番好きだ

優しい化粧品の匂いが

母親の体温で温まって

ほのかに香って

そこはかとなくいい匂い

 

昼休みに診療所から

奥に戻って来た時の

薬草の匂いも嫌いじゃないし

夕方のご飯の用意をしている

オンマの手の匂いも

好きだけれど

お化粧をしている母親の香りは

上品で特別美しい

 

 

うふふ

そお?

もう少しでお化粧が終わるから

そこで待っている?

 

 

うん!

 

 

ゴンは床に座って

母親を見上げた

ウンスは日焼け止めを

塗り終わると

パタパタと白粉を塗って

うっすら紅をさす

それから

髪を後ろで一つにまとめ

紫色の組紐で器用に結んだ

 

 

はい 完成!

お待たせ〜

じゃあ お庭の様子を

見て来ましょうか?

 

 

母親が差し出す手を

ゴンはしっかり

握りしめて立ち上がった

 

 

今日も暑くなりそうねぇ

 

 

ねぇ〜オンマぁ

あちゅいねぇ

 

 

ゴンはへへへと笑って

答えた

 

 

あっ!ゴン オンマ

おはよう!

ゴンは早起きねぇ

スニョンはまだ寝ているのに

 

 

母親と弟を見つけたユニョンが

庭の花を持って駆けつける

 

 

オンマ

今日はこのお花を

診療所に飾ってもいい?

 

 

小さな白い菊の花を

差し出して尋ねた

 

 

ええ もちろん

患者さんの気持ちが

和むわね

それにイサも喜ぶわよ

花があると診療室が

ぱあっと明るくなるもの

 

 

そうかなぁ?

そうだといいなぁ

ふふっ

 

 

ユニョンは少しばかり

大人びた顔ではにかんで

頷いた

その顔はすっかり

恋する乙女で

父親のチェヨンに

気づかれると厄介なやつだ

 

 

あ!

オンマ ゴン

おはよう!

 

 

今度は

稽古が一段落したタンが

駆け寄って来た

 

 

タン 

朝から頑張っているわねぇ

 

 

アッパみたいに

強くなりたいんだ

 

 

タンは努力家だから

きっとヨンみたいに

強くなれるわ

 

 

ウンスは微笑んだ

長男のタンは

何事にも長けていて

とても賢い子だと

世間で評判なのだが

本当は何事にも

真面目に取り組んで

しっかり鍛錬していることを

両親は知っていた

 

 

オンマ ペゴパぁ〜

(お腹すいたぁ)

 

 

ユニョンのお腹が

きゅるるとなっている

その音を聞いて

ゴンも自分のお腹をさすった

それを見てタンが笑って言う

 

 

にぃにもペゴパだぁ〜

ご飯 何かなぁ〜

 

 

そうだな

動いて腹が減ったな

飯にするか

だがその前に

ねぼすけたちを

起こさねばならぬ

 

 

はいはい!

ゴン スニョねぇを

おこしてくる〜〜〜〜っ

 

 

じゃあ にぃには

サンを起こしてくるよ

 

 

タンとゴンは

ねぼすけたちのところへ

急いだ

 

 

朝からお疲れ様

その体力にほんと感服するわ

 

 

ウンスは濡れ手ぬぐいで

夫の背中を拭きながら

うふふと笑った

昨晩 あれほど貪欲に

求めて来た夫が

朝から涼しい顔で

息子に剣術指南とは

一体どれほどの

体力の持ち主なのか・・・?

 

いやいや 

夫がツワモノなのは

今に始まったことではなかった

昔から彼はずっと変わらない

 

彼の体力はきっと

無尽蔵に違いないのだと

十年の歳月を経てもなお

強靭な夫の姿に

妙に納得したウンスだった

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

涼しい風と草の匂いと

朝露と・・・

早起きした夏の朝は

少しばかり得した気分

 

 

くま猫うさぎねずみトラ

 

 

三連休です

いかがお過ごしでしょう?

 

明日は参議院選挙の投票日

たかが一票 されど一票

未来を託せる

世の中になるように

涼しい朝のうちに

投票に行こうかなと

思っているharuでした・・・

 

 

新章のスタートに

コメントありがとうございました

またおつきあいくださいませ

安寧にお過ごしくださいね〜

 

 

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