高麗の都は夏を迎えていた
現代にいたウンスにとって
心地よいくらいの
気温だったはずの都の風も
十年以上ここに住み
すっかりこの気候に
慣れてしまってからは
暑いものはやっぱり暑いと
思うように変わった
今更
エアコンの風が懐かしいとは
思わないが
キンキンに冷えたビールが
恋しいとは時々思う
そして
こう暑いと
いくら愛する夫といえども
大の男に
抱きしめられて眠るのは
少々苦痛で
鬱陶しささえ感じる
もちろん愛情が減ったわけでも
嫌いになったわけでもないが
暑い夏の夜
人肌の恋しさより
快適な空間や涼を求めるのは
致し方ないことだろう
さて
チェ家の三男坊ゴンは
この夏三歳になる
もういっぱしの幼な子だが
兄や姉にちやほやと
いじられて育ったわりには
体格が大きめのせいか
実年齢よりずっと
大人びた雰囲気で
寡黙な男の子だ
長男のタンは
両親のいいとこ取りで
凛とした端正な顔立ちで
すでに都の女人から
一目置かれる存在で
次男のサンは
身体能力は父親譲りだが
顔つきは母親に似ており
ちょっとばかり甘えん坊の
顔をしており
母性本能をくすぐるのか
それなりの人気者
そんな兄たちを持つ
三男のゴンは三兄弟の中で
実は顔も性格も
一番父親に似ている
ヘジャが言うには
「もし我が母ソンオクが
生きていたなら
坊ちゃんにそっくりなゴン様を
間違いなく贔屓していただろう」
だ そうだ・・・
そんな
みんなに愛されている
末の弟ゴンは
赤ん坊の頃は
姉たちの部屋の隣に
天界式のベビーベッドで
寝ていた だが
この春からは次男のサンと
同じ部屋で寝起きしている
それと言うのも
長男のタンが大きくなって
静かな環境で学問に励む
ことになり
一人部屋に移動することになり
それで 寂しがりやのサンが
弟のゴンを自分の部屋に
引っ張ってきたと言うわけだ
そんな子供たちの
ちょっとした成長の変化は
母親のウンスにとっては
喜びでもあり
もの寂しさを感じること
でもあった
まだまだ赤ん坊だと
思っていたゴンが
いつのまにか乳ばなれをし
いつのまにか一人で
用便ができるようになり
いつのまにか
お着替えも
するようになっていた
忙しい母親の代わりに
何かと気遣って
兄姉たちや女中たちが
せっせとゴンの面倒を
見てくれたおかげなのだが
それが母親として
置いてけぼりの気分で・・・
もちろん
贅沢な悩みだとわかっている
けれども・・・
家の中に赤ん坊が
いなくなるのは
理屈じゃなく寂しいもんよ
もちろん
子供達の成長は嬉しいのよ
自立するのは大事なことだもの
でもねぇ
いつのまにか
まるで我が家から幼い子が
いなくなったみたいで
胸がキュッとするの・・・
子供らが寝静まった夜
閨の寝台の上で
嘆く妻の頬を
夫は撫でながら尋ねた
それほど寂しいのならば
六人目を孕むか?
そうしたらまた赤ん坊に
会えるぞ?
俺はいつでも大歓迎だ
もう
ヨン冗談はよしてよ
これからまた出産なんて
私には無理よ
無理
体がもたないわ
大きく首を振るウンスに対し
まんざら冗談でもないヨンは
喉を鳴らしてククっと笑って
答えた
いつでも協力体制は
できておるぞ
いっそ今宵も・・・
無理無理!
今夜も暑そうだもの
くっついて眠るの禁止!
は?まさか
俺に一人寂しく眠れと
イムジャは言うのか?
だってヨンの体温
高いんだもの
猛暑には辛いのよぉ
だから ほら
秋になったら・・・
たっぷり
ね?そうしましょう
ふてくされた顔の夫の
ご機嫌をとるように
ウンスの甘ったるい声が
応じる
はあぁ?秋まで・・・??
俺に待てと言うのか?
今宵 イムジャなしでは
生きられぬと言うのに??
それでは明日のお役目にも
さし障る・・・
ああ 困ったぞ
どうしたものか・・・
ヨンったら
大げさなんだからぁ
そんなに私のこと・・・
欲しいの?
ああ 悪いか?
俺は手がかかるのだ
仕方なかろう?
まあ
私のお守りの方が
大変だったはずなのに・・・
しょうがない人ねぇ
子供らがソダンで
作成した風車が
カタカタ音を鳴らしながら
回っている
日中の暑さと比べ
少し涼しい風が通り抜ける
閨の中
惚れた弱みのウンスは
チェヨンの首に腕を回して
微笑んだ
それにしても・・・
ゴンの口癖じゃないけど
ほんと今夜も
「あちゅい」わねぇ
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『今日よりも明日もっと』
愛しささえも
酷暑に負けてしまいそう
あちゅい夏が今年も
やって来た
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ゴンのお誕生日の
エピソードなども交えて
高麗の夏
ようやく![]()
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新章再スタートいたします
それにしても
リアルな日々も
あちゅい夏ですね![]()
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そして 暑いだけでなく
豪雨・線状降水帯
河川の氾濫など
各地で災害が発生しております
どうぞみなさま
お気をつけて
安寧にお過ごしくださいませ
更新はゆるっと参りますが
どうぞ
またおつきあいくださいね〜