ノンアル生活1カ月

 

福岡県は、毎月25日が飲酒運転撲滅の日。

先日、県内の産直市場で、この運動に取り組む女性、山本美也子さんに偶然会った。

15年前、美也子さんは息子の寛大(かんた)さん=当時16歳=を交通事故で亡くしている。

寛大さんは車にはねられた。運転手の酒気帯びが事故の原因だった。

 

事故から約1カ月半後、美也子さんは、飲酒運転の撲滅と命の大切さを訴える講演活動を始めた。僕も講演を聴いたり、彼女が運営するカフェにも出向いた。しばらく交流はあったが、コロナ以降、自分が家に引きこもっていたこともあり、会う機会が減った。

 

産直市場で「お元気でしたか」と尋ねられた。僕は「最近、体調があまり良くないので、お酒を控えています」と答えた。すると、彼女はこう言った。

 

「もう、お酒は一生分ぐらい飲んだでしょ。私はノンアルで十分満足できますよ」

 

あんな不味いビール。そう思ったが、帰宅後、試しに1本買ってみた。

一口飲んで驚いた。

数年前に飲んだノンアルよりも風味がよく、物足りなさも感じなかった。

 

翌日、いろんな種類のノンアルを買って、味を比べてみた。

それぞれ個性があっておもしろい。

ノンアル1缶と冷奴が夕食の鉄板メニューになった。

 

ノンアル生活が1カ月過ぎた。

 

風呂キャンがなくなった。

過食がなくなった。

朝からきびきび動ける。

思考がクリアになった。

読書の時間が増えた。

夜中にトイレに行かなくなった。

小さな幸せに気づくようになった。

娘に「パパ、えらいね」と褒められる。←これが一番うれしい。

 

腎臓に病を抱えているのに、休肝日ほぼなしの生活を長い間続けてきた。

仕事のストレスをひどく感じていたので、酒に逃げていたのかもしれない。

酔うために飲んでいた。

軽度のアルコール依存症だったと思う。

 

今は、お祝いの席の乾杯などで少しは口にするが、普段はまったくアルコールがほしいと思わない。

もう大丈夫。

 

禁酒のきっかけを与えてくれた美也子さんには感謝しかない。

彼女だからこその説得力がある。

あのときの助言がなかったら、飲酒習慣から抜け出すことはできなかっただろう。