mamaが 『 何か おかしい 』  見ると

男性店員が 分厚い皮の手袋をしていた

 

どうしたのか 聞くと

店 : 『 あっ・・・ いえ・・・ かなり興奮して・・・ 』

m : 『 入ってもいいですか? 』 バックヤードに向った

 

薄暗いバックヤードの長細いゲージの奥で

『 うううぅぅうぅぅ・・・ 』 と低く唸る ぐうの声と光る眼だけが見えた

 

mamaがゲージを開けて

『 ぐうちゃん ごめん ごめん 』 声を掛けて手を差し出した

 

『 危ないっ!』  店員が言った

 

ぐうは身体を震わせ威嚇し mamaを咬もうとした

 

僕も手を差し出そうとすると 男性店員が皮の手袋を差し出した

 

僕は 断った

 

そんなものはめたら ぐうは又、何かされると余計に怯える

僕はそのまま 『 おいで 』 と言ってゲージに手を差し出す

 

『  痛っつ 』    

 

僕を咬んだ

 

血が出る

 

僕達はぐうがパピーの頃から 遊びでも歯が当たると

手を見せ 『 痛い 』 と叱り躾けた

ぐうは必ず動きを止め 罰が悪そうに下を向く

 

ぐうは覚えている ちゃんと分かっているはず

 

『 ぐう・・・ 痛いよ 』 咬まれた手を見せ合図をした

 

ゲージに手を入れる。 ぐうに触った。 

固まったまま震えるぐうを 外に出した

 

* 2歳の頃のぐう

 

ぐうは怯えていた。 mamaに預けて先に車に戻る様に言った

支払いを済ませ 車中の戻ると mamaに抱かれて震えていた

ぐうはオシッコまみれで 毛はボサボサだった

mamaは泣きながら何度も  『 ぐうちゃん ごめんね 』 と言った

 

帰宅して僕はぐうとお風呂に入り 念入りにシャンプーした

mamaがドライヤーをすると 安心したのか気持ち良さそうにして眠った

 

『 怖がりのぐうにしてみれば 犬の遠吠えや鳴き声がする 

  ゲージに入れられ 恐怖しかなかったのだろう

  もしかして 散歩に連れ出そうと近寄った店員さんですら 

  恐ろしい存在だったのだろう

 

  人や動物が大好きな仔もいれば  そうでない ぐうの様な仔もいる

 

  ぐうがあれだけ怒らなければ 私達はぐうの辛さや悲しさがわからなかった

  ぐうは最後の最後で 許してくれた 二度としない

  ぐうに二度と こんな思いをさせたくない 』   mamaは言った

 

 

あれだけ怒っていたのに

本気になれば僕の手を噛みちぎる事も出来るのに 許してくれた

               ➡ 脳腫瘍といわれて ㉗ 犬の十戒 

僕達の約束を ちゃんと守ってくれた

 

僕達はあの日から 可能である限りぐうと行動を共にして来た

 

あれから数年が経ち 状況や環境が変わった

自然災害などにより 飼い主とはぐれたり 避難所に入れない動物たちがいると

耳にする度 ぐうの事を想う

 

我が家にも 同じことが起こらないとも限らない

 

だからこそ

この時の苦い経験を無駄にせず

ぐうが 少しでも環境に順応できるよう

辛い思いをしないで済むように

ちょびの力(社会性)も借りて

皆で出来る事 やっていこうと思っています