数年前に 訪問介護で
関わらせていただいた利用者さん。
今でも、あの強い眼差しが
心に焼き付いて離れません。
集合住宅の一室で、慎ましく
暮らしていらっしゃる高齢男性。
「このスーツ、
お宅のご主人、着てくれないかな。
無理ならバザーに出して
誰かに譲りたいんだ」
人生の終盤を覚悟されたような
圧倒されるほど熱い眼差しに、
本心は別のところにあると、
すぐに気付きました。
服にまつわる大切な思い出を
誰かに聞いて欲しかった。
私は、その思い出と共に、
その方の深い後悔をききました。
「妻があんな事になって、
子供達とも連絡を取らなくなった。
どこに住んでいるかも分からない。
良い時もあった。
でも、俺のわがままで
大きな決断をして失敗した。
全部、俺がいけなかった。」
過去の栄光から一転、
家族を失った孤独と、過去への悔恨。
切ないけれど、
これが この方の「生きた証」

