家にあって手に取りました。
あらすじというか、テーマについて、本篇には以下の記述がある。
「そんなものはどこにも見当たらない。ただ人間の言葉をしゃべる老いた猿が群馬県の小さな町にいて、温泉宿で客の背中を流し、冷えたビールを好み、人間の女性に恋をし、彼女たちの名前を盗んで回ったというだけのことだ。そんな話のどこにテーマがあり、教訓があるだろう。」
ちなみに、この猿はブルックナーの7番が好きだ。
以上、あらすじでもある。
日常から少しだけ外れた不思議な話を読んだという思いが強かったが、面白かった。
猿が温泉で風呂掃除なんかする訳がないし、言葉を話すことは出来るはずがない。
よく考えると日常から外れたというと、実は人間の猿に対する思い込みがあるだということでしょう。人間の常識からとらえるとおかしいかもしれませんが、猿だって彼から見ると彼らにとってごく当たり前に、人間並みの恋情も孤独も持っているのかもしれません。
私も人間だから、勝手に猿はこうだという思い込みで読んでいるから、偏見が邪魔をしているからでしょうね。
読み終えると、この先、自分の名前を忘れてしまった女性を見かける機会があるとすると、「猿に盗まれたかな?」と想像の世界に引き込まれるかもしれません。
今度、以前刊行された「品川猿」を読んで比べてみたいなあ~。
さらにさらに、本の中表紙のイラストはこの作品がテーマ!
ブルックナーが聴きたくなりました…。
ところで品川猿、コロナ騒ぎをうまく生き延びて、今でも温泉宿で元気に働いているのかしら?

