疫学的な研究と動物実験では、ピロリ菌と胃癌の関係が証明されています。しかし、ヒトを対象に除菌の胃癌予防における効果を調べた研究では、一貫した結果は得られていません。
そこで、北海道大学教授浅香正博先生らの研究グループは胃の粘膜にいる細菌ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)を薬で除菌すると、胃がん発生が3分の1になるとの研究結果をまとめ、8月の英医学誌ランセットで発表しました。
研究は国内51病院で早期胃がん患者505人の協力を得て実施されました。内視鏡で治療した後、半分の患者に除菌の薬を飲んでもらい、半分は除菌しませんでした。治療したがん以外の胃がん(2次胃がん)ができるか調べましたた。
その結果、3年間に2次胃がんができたのは、除菌した群で9人、除菌しない群で24人でした。詳しく計算すると胃がんリスクは、除菌しない場合を1とすると、除菌した場合は0.34で、除菌効果が明らかになりました。
浅香教授は「除菌で胃がん発生を大幅に減らせる」と、現在は、胃潰瘍(かいよう)か十二指腸潰瘍の患者に限られている除菌の保険適用を、ピロリ菌感染者全体に広げ、胃がん予防に役立てるべきだとしています。 今後、適用に向けた議論が活発化しそうです。