キリストの棺 世界を震撼させた新発見の全貌/シンハ・ヤコボビッチ/チャールズ・ペルグリーノ
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2000年のあいだ、同じ墓で眠っていた


 これで、イスラエル地質学調査所から送られてきたヤコブ骨相のパティナ標本に取りかかる準備が整った。
イスラエルでの分析結果はタルビオットの墓のパティナのそれと一致していたが、それがニューヨークでも再現できることを証明するのが今回の課題だ。
 電子顕微鏡をのぞくと、標本上に数百のごく小さな繊維片が認められた。
大きな布のほつれが、外面にくっついたものらしい。
どこかの現代人がこの骨棺を、リン酸塩を含む合成洗剤に浸した布で強くこすったようだ。
 ピン33と34はその繊維単独の分析だが、塩素の数値が高く、リンの数値とともに、文字どおり分析表をはみ出すほどだった。
1970年代から80年代初めにかけて多用された有リン合成洗剤の成分値と同じだ。
その後、この種の合成洗剤は富栄養化による河川の環境破壊を引き起こすとして、世界的に使用が禁じられている。
 ぼくはボブと顔を見合わせた。

これこそオデド・ゴランが求める証拠に違いない。

IAAのアイソトープ‥アスト (放射性炭素年代測定) によると、「ヤコブ」 の銘刻は最近のものか洗浄されたか、いずれかの可能性を示唆していた。
警察は最近のものだと言った。

ゴランは洗浄されたと言った。
そしてここに、後者を裏付ける科学的証拠が見つかったのだ。
 この繊維の存在が物語っているのは、「ヤコブ」 の骨相が遺物・骨董市場に現れた後、1980年ごろにイスラエ′ルで一般的に使われていた洗剤を使って洗浄されたということだ。

1980年頃といえば、IAA80/509の骨相がタルビオットの 「失われた10番めの骨相」になった時期と重なる。
 続いて、「ヤコブ」 の骨相のパティナ、そのすぐ下の岩石基質、およびロイヤル・オンタリオ博物館が提供した別のパティナ標本を分析した。
いずれも、洗剤由来の汚染物質を除くと、「ヤコブ」 のパティナ自体はタルビオツトの墓の壁面とそこにあった骨相のパティナ標本とまったく同じだった。
チャーリーからシンパへ

 次の段階は、各墓のパティナが本当に違うかどうかの証明だ。

データを広範に取らないかぎり、ヤコブとあの墓のパティナの一致は意味がない。
証明をあえてむずかしくするために、1つ頼みがある。
イスラエルの関係者に連絡をとって、標本の採取は、ぼくたちの墓にいちばん近い墓を最優先にしてもらえるよう指示してほしい。
つまり、そこの土壌がテラ・ロッサに類似していることを示す、赤っぽいパティナのある墓だ。
墓に流れ込んだテラ・ロッサにほんのわずかな違いでも認められれば、
「パティナの指紋照合」はいけると考えて間違いないだろう。
                                         チャーリーより


 イスラエルで、シモン・ギブソンがシンパの同僚フエリクス・ゴルベフと協力し、パティナの指紋照合用の広範な標本ベースを作成した。


こちらの要請どおり、標本の大部分は無作為に抽出されていた。

ただし今回の分析でとくに重点的に見たいのは、赤みがかった、もしくは赤黄色をしたパティナだった。
タルビオットの墓の骨棺のそれに似た、比較的珍しいテラ・ロッサ土壌の下か、その近辺に作られた納骨洞に共通して見られるものだ。
このあたりで標準的なのは、白、黄色、灰色のパティナだ。

赤みがかったパティナはおそらく、鉄分が多いなどテラ・ロッサに似た特徴を見せるだろう。
これで、各墓の化学的性質が固有のものかどうかがわかるはずだ。


 2006年7月31日、最初の分析を実施する。

イスラエルで採取された骨相の標本が、サフォーク郡科学捜査研究所のEPMAにかけられた。
結果的には、どの標本もタルビオットの墓の壁やその中の骨相、およびヤコブの骨相とは一致しなかった。
顕微鏡で見ただけでは見分けがつかない標本でも、元素の組成にははっきりと相違点があった。
また、ここにも合成洗剤の痕跡が見られるものがあった。


 結論-エルサレム′で出土した他の骨相から採取された多数のパティナ標本を参照しても、タルビオットの墓の骨棺のパティナと分析結果が一致するのは「ヤコブ」の骨相だけであった。


 こうして分析を進めているあいだも、イスラエルの収集家オデド・ゴランはすでに1年以上も軟禁中で、「ヤコブ」の骨相の銘刻を偽造した罪で刑事裁判を控えていた。


警察はlAAの調査をもとに偽造と断定していた。


これに対して、サフォーク郡科学捜査研究所でぼくとボブが行った調査では、「ヤコブ」のパティナも自然に形成されたものであり、化学的性質もタルビオツトの墓から出土した他の骨相と同じという結果が出ていた。
 同じころ、地質学と古微生物学の世界的権威ヴオルフガング・クルムパインも独自に調査を行い、「ヨセフの息子ヤコブ、イエスの弟」の「ヤコブ」と「イエスの弟」の文字の内側から採取したパティナ標本を分析し、以下のような結論を出していたCVヤコブのパティナがいかなる状況下で形成されたにせよ、「この骨棺の銘刻内部から微量採取されたパティナの化学的性質の形成には確実に、少なくとも50年から100年(おそらくは数世紀)は必要だと言える」。

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