独立するのに肩書きがほしいのと、なにか現実の経済をみるのにいい試験はないかな?とおもって調べていて中小企業診断士があるのを知り同友館の過去問を買ってきました。
H13年 経済学の問題乗っけます。 図はまたの機会に
1 .経済学・経済政策減税が所得水準に与える影響の大きさは,減税の租税乗数(tax multiplier )によって説明できると考えられる。これに関し,最も適切なものはどれか。ア限界消費性向が高いと,減税の租税乗数が大きい。イ限界消費性向が低いと,減税の租税乗数が大きい。ウ平均消費性向が高いと,減税の租税乗数が大きい。エ平均消費性向が低いと,減税の租税乗数が大きい。第2 問金融機関の「貸し渋り」と公衆の「たんす預金」は,それぞれ準備・預金比率,現金・預金比率に影響を与え,マネーサプライを変化させると考えられる。これに関し,最も適切なものはどれか。ア「貸し渋り」の広がりと「たんす預金」の増大は,マネーサプライを減少させる。イ「貸し渋り」の広がりと「たんす預金」の増大は,マネーサプライを増加させる。ウ「貸し渋り」の広がりはマネーサプライを減少させるが,「たんす預金」の増大はマネーサプライを増加させる。エ「貸し渋り」の広がりはマネーサプライを増加させるが,「たんす預金」の増大はマネーサプライを減少させる。第3 問経済学では,フローの概念とストックの概念を区別することが重要である。フローの概念に当たるものとして,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 消費b 資産c 所得d 国富〔解答群〕アa とb イa とc ウb とd エc とd第4 問GDP デフレーターに関し,最も適切なものはどれか。ア実質GDP を名目GDP で割ることにより計算される物価指数で,パーシェ指数の一種である。イ実質GDP を名目GDP で割ることにより計算される物価指数で,ラスパイレス指数の一種である。ウ名目GDP を実質GDP で割ることにより計算される物価指数で,パーシェ指数の一種である。エ名目GDP を実質GDP で割ることにより計算される物価指数で,ラスパイレス指数の一種である。第5 問ピグー効果についての説明で最も適切なものはどれか。ア一般物価が低下した時に,実質貨幣残高が増大し,実質的に消費者の富が増大する結果,消費が拡大すること。イインフレ率の上昇が,名目利子率を引き下げること。ウインフレ率の上昇が,名目利子率の上昇を通じ,実質貨幣残高を増大させ,消費者の富を増加させること。エ国富が増大することにより一般物価が低下すること。第6 問効率性賃金仮説には,「企業は,競争力を維持するために賃金を低くすると,優秀な人材はその企業を去る一方で,好ましい転職口が見つからない人材だけが残ってしまう」という考え方が反映されている。その考え方を表す最も適切な概念はどれか。ア逆選択イクラウディング・アウトウ代替効果エモラルハザード第7 問投資の変動と株式市場の変動のつながりを説明する「トービンのq (Tobin ’s q )」に関して,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。—13 ・10 —a 設置済の資本の市場価値を設置済の資本の再取得費用で除した値。b 資本の現在の収益性を反映している。c 将来の期待される収益性を反映している。d 「トービンのq 」が1 より小さいと,新規投資を行うことで企業価値が増加する。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第8 問IS —LM 分析の特徴として,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 貨幣市場と労働市場を明示的に分析している。b 総所得水準がどのように決定されるかを示すモデルである。c 短期的な価格硬直性を仮定している。d 流動性選好理論の考え方を組み入れている。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第9 問「流動性のわな(liquidity trap )」に関して,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 貨幣需要の利子弾力性が非常に小さい状態。b 貨幣需要の利子弾力性が無限に大きい状態。c 金融当局がマネーサプライを増やしても,景気浮揚効果が小さい。d 金融当局のマネーサプライ増加による景気刺激策の効果が大きい。〔解答群〕アa とc イa とd ウb とc エb とd第1 0 問景気動向指数は,景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された総合的な景気指標である。景気動向指数の先行系列に含まれる統計指標の最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 家計消費支出(全国勤労者世帯)b 新規求人数(除学卒)—13 ・11 —チーズワインA 国1 2B 国6 3c 中小企業出荷指数(製造業)d マネーサプライ(M 2 +CD )〔解答群〕アa とc イa とd ウb とc エb とd第1 1 問比較優位論に関して,2 国2 財1 生産要素モデルを考える。2 国はA 国とB 国であり,2 財はチーズとワイン,生産要素は労働のみとする。A 国とB 国の単位当たりの必要労働量が下表のように与えられている。比較優位に関して,最も適切なものはどれか。アA 国はチーズの生産に比較優位を持ち,B 国はワインの生産に比較優位を持つ。イA 国はワインとチーズの生産に比較優位を持つ。ウA 国はワインの生産に比較優位を持ち,B 国はチーズの生産に比較優位を持つ。エB 国はワインとチーズの生産に比較優位を持つ。第1 2 問フィリップス曲線は失業とインフレーションとの関係を表すものである。フィリップス曲線に関し,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a インフレ率は,期待インフレ率が高くなると上昇する。b インフレ率は,実際の失業率が高くなると上昇する。c 石油ショックなど,原材料価格が高騰するサプライ(供給)ショックが起きると,インフレ率が上昇する。d フィリップス曲線は,インフレ率と失業率のトレードオフの関係を表している。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第1 3 問ある財の市場の需要曲線D と供給曲線S が図のように与えられている。今,価格—13 ・12 —SD0p価格数量がさしあたりp の水準にあるとしたとき,この状況についての記述として最も適切なものはどれか。ア超過供給が発生しており,価格が下落する。イ超過供給が発生しており,価格が上昇する。ウ超過需要が発生しており,価格が下落する。エ超過需要が発生しており,価格が上昇する。第1 4 問ある財の市場の需要曲線が右下がりの直線として与えられているとき,この財の需要の価格弾力性に関する記述として最も適切なものはどれか。ア需要曲線上のすべての点において弾力性は一定である。イ需要曲線上を右に移動するにつれ,弾力性は大きくなる。ウ需要曲線上を右に移動するにつれ,弾力性は小さくなる。エ需要曲線上を右に移動するにつれ,弾力性はまず大きくなり,やがて小さくなる。第1 5 問ある財の市場の需要曲線D と供給曲線S が,当初,図のように与えられており,その財に課税がなされたため供給曲線がS ′にシフトしたとする。このときの税収入の大きさを示す面積として最も適切なものはどれか。アa b e d で囲まれた部分イa b g d で囲まれた部分ウa c f d で囲まれた部分エb c f g で囲まれた部分—13 ・13 価格数量a b c0defgDSS ′第1 6 問公共財に関する記述として最も適切なものはどれか。ア対価を支払う者にのみ消費させるということが不可能な非排除性の性質を持つ。イ追加的消費に伴う費用が無限大となる非競合性の性質を持つ。ウ非競合性の性質のゆえにフリーライダー問題が発生する。エ非排除性の性質のゆえに共同消費が不可能である。第1 7 問外部効果には外部経済と外部不経済がある。これに関する記述として最も適切なものはどれか。アある財に外部経済が伴うとき,その財の供給を市場に委ねると社会的に最適な供給量を上回ってしまう。イある財に外部不経済が伴うとき,その財の供給を市場に委ねると社会的に最適な供給量を上回ってしまう。ウ外部経済とは,ある経済主体の行動が市場を経由せず直接的に,他者にマイナスの影響を及ぼすことをいう。エ外部不経済とは,ある経済主体の行動が市場を経由して間接的に,他者にプラスの影響を及ぼすことをいう。第1 8 問ある消費者のx 財,y 財に関する無差別曲線群が図のu l ,u 2 ,u 3 のような形状をしているとする。これに関する記述として最も適切なものはどれか。—13 ・14 u3u2u10 x 財の量y 財の量ただし,無差別曲線は左上に位置するほど効用水準が高いものとする。ア嗜好に推移律が成り立っていない。イ消費者にとって,x 財もy 財も多い方が望ましい。ウx 財は消費者に負の効用をもたらす。エy 財は消費者の効用水準に影響しない。第1 9 問ギッフェン財とは,その価格の下落が,その需要の減少をもたらすという性質をもつ財である。こうした財が成立する理由に関する記述として最も適切なものはどれか。アその財が下級財であり,かつ所得効果が代替効果を上回ることによる。イその財が下級財であり,かつ代替効果が所得効果を上回ることによる。ウその財が上級財であり,かつ所得効果が代替効果を上回ることによる。エその財が上級財であり,かつ代替効果が所得効果を上回ることによる。第2 0 問ある財の生産にあたって,いま労働以外の生産要素投入量を一定とし,労働投入量のみを1 単位ずつ増加させたとき,それに伴って生産量が下表のように変化したとする。この状況についての記述として最も適切なものはどれか。アe までは収穫逓減,それ以降は収穫逓増。イe までは収穫逓増,それ以降は収穫逓減。ウf までは収穫逓減,それ以降は収穫逓増。エf までは収穫逓増,それ以降は収穫逓減。—13 ・15 —労働投入量生産量a 0 0b 1 5c 2 1 1d 3 1 9e 4 3 0f 5 3 8g 6 4 4h 7 4 9i 8 5 3j 9 5 6k 1 0 5 8産出量総費用・総収入0 A BCDTC TRa b第2 1 問ある企業の総費用曲線TC と総収入曲線TR が図のように与えられているとき,利潤が最大になる産出量はどれか。ただし,図中,補助線a は,産出量C でTC に接し,かつTR に平行な直線であり,補助線b は,原点から引いた直線で,産出量B でTC に接しているものとする。アA イB ウC エD第2 2 問サンク・コストに関する記述として最も適切なものはどれか。—13 ・16 —ab c0dfeMRDMC数量価格アある設備の中古品市場が整備されているほど,サンク・コストは大きい。イある設備を他の用途に転用しにくいほど,サンク・コストは小さい。ウある設備をレンタルやリースで調達しやすいほど,サンク・コストは小さい。エサンク・コストが小さい産業ほど,参入障壁が高い。第2 3 問費用逓減産業に関する説明のうち,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 市場が自然独占になる可能性がある。b 価格を限界費用に等しい水準に設定すると赤字が発生する可能性がある。c 規模の経済性が強く働く事業分野である。d 多数の企業が存在し,市場構造が競争的になりやすい。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第2 4 問ある独占企業の限界費用曲線MC ,限界収入曲線MR ,この企業が直面する需要曲線D が図のように与えられているとき,「独占の厚生損失」または「死荷重(deadweightloss )」の大きさを示す面積はどれか。ただし,この企業は利潤最大化を目指すものとする。アabfd で囲まれた部分イaced で囲まれた部分ウbcef で囲まれた部分エdef で囲まれた部分—13 ・17 —解答例と解説第2 5 問取引費用に関する記述として最も適切なものはどれか。ア取引費用が正のとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与えない。イ取引費用が正のとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与える。ウ取引費用がゼロのとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与えない。エ取引費用がゼロのとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与える。第1 問解答例ア解説これはマクロ経済学の基本的な問題である。言葉で示せば,1 0 兆円の減税によって可処分所得が増え,それによって国民がより多く消費をするようになれば,これを経済学では限界消費性向が高まったというが,総需要が高まり,それに応じて企業の供給が高まり,国民所得が増加する。その増加が2 0 兆円であれば,租税乗数は2 倍であるという。よって,限界消費性向が高いと,租税乗数が大きくなることが想像できるであろう。これを経済学では図か数式で証明する。ここではスペースの関係から数式で示すことにする。国民所得Y は需要面からみれば,消費C と投資I と政府支出G と貿易からなるが,ここでは簡単化のため貿易を省略すれば,以下のように示される。Y =C +I +G ⋯⋯ 1消費C は,租税T を考慮した可処分所得(Y -T )に依存して決まる。それの数式は,C =a +b (Y -T )⋯⋯ 2と表され,これを消費関数という。この式を 1 式に代入し,Y について解けば,Y =-b1 -b T +11 -b (a +I +G )⋯⋯ 3 ただし,0 <b <1となる。b は所得Y が増加すればいくら消費が増加するかを示す限界消費性向であり,—13 ・18 —-b1 -b が租税乗数である。たとえば,b =0 .8 と0 .6 を比較すれば,租税乗数の絶対値は前者が4 で,後者は1 .5 となる。つまり前者は1 0 兆円減税すれば,国民所得が4 0 兆円増加し,後者は1 5 兆円増加する。よって,限界消費性向b が高いと,租税乗数効果が大きい。ところで, 3 式より11 -b は財政支出G あるいは投資I の乗数を示しているので,こちらの乗数が租税乗数より大きい。b =0 .8 なら,こちらの乗数は5 倍で,b =0 .6なら2 .5 倍であることがわかる。こちらも限界消費性向b が高いと,乗数が大きくなるので,この問題において,減税を「財政支出G の増加」や「投資I の増加」に置き換え,租税乗数を「政府支出乗数」や「投資乗数」に置き換えれば類似問題を作ることができる。第2 問解答例ア解説これもマクロ経済学の基本的な問題である。マネーサプライM とは,簡単にいえば市中に流通している現金通貨C と銀行預金D の合計と定義される。「たんす預金」の増大は銀行預金を減少させ,「貸し渋り」は市中に出回るお金を減少させるので,マネーサプライは減少することが直感的にわかる。経済学では,以下のように証明される。マネーサプライM は,上記の説明より,M =C +D ⋯⋯ 1と表される。日銀が直接コントロールできる貨幣H をハイパワードマネーといい,それは流通通貨C と銀行が保有している現金R であるので,H =C +R ⋯⋯ 2となる。現金・預金比率c と準備・預金比率r は,c =CD ,r =RD ⋯⋯ 3 ただし,0 <c ,r <1と定義されるので, 1 , 2 , 3 式より,M =mH ただし,m =c +1c +r ⋯⋯ 4となる。「たんす預金」の増大は銀行預金D の減少であるので,現金・預金比率c は上昇する。これは 4 式の通貨乗数m を減少させることがわかる。「貸し渋り」は銀行—13 ・19 —保有現金R の増加であるので,準備・預金比率r は上昇する。これもm を減少させるので,H が所与の下で,マネーサプライM が減少することになる。これより次のような応用問題が考えられる。「日銀の公定歩合の変更は,マネーサプライにどのような影響を与えるか」[答]公定歩合の上昇(低下)は銀行金利を上昇(低下)させるので,預金D が増加(減少)し,銀行保有現金R が減少(増加)する。これはc の低下(上昇),r の低下(上昇)になるので,m は増加(減少)する。第3 問解答例イ解説これは経済学の基本的な問題である。フローはある一定期間(たとえば,1 ヵ月あるいは1 年間)にいくら生産・消費・稼いだかという概念である。それに対して,ストックはある時点でいくら生産したものが存在・蓄積しているかという概念である。国富は国の資産であるのでストックである。「類題—次のうちストック概念に当たるものはどれか。貯蓄,貯蓄残高,投資,資本」[答]貯蓄残高と資本はストックである。第4 問解答例エ解説GDP デフレーターは基本的経済指標で,その定義の通り出題されているので,解説は不要であろう。第5 問解答例ア解説第1 問の解説で示した 2 式の消費関数は,消費C は可処分所得(Y -T )のみに依存するものであったが,第2 問のマネーサプライM で定義したような金融資産を物価水準P で割った実質貨幣残高(M /P )にも依存すると考えると, 2 式は以下のように示される。—13 ・20 —C =a +b (Y -T )+c MPM が所与の下で,物価P が低下すると実質貨幣残高(M /P )は増加する,つまり貨幣価値が上昇(富の増大)という「資産効果」によって,より多くの消費が可能となるというのが,ピグー効果である。したがって,この場合は上式の係数c は正の値を持つことになる。これは 2 式のような基本的な消費関数を少し越えているので,中級程度の問題といえよう。ところで,M がマネーではなく,証券の総額であり,それが資産デフレで一般物価P の低下より大きく下落すれば,実質証券資産(M /P )は目減りする。この場合,ピグー効果と反対の「逆資産効果」が働き,消費を減少させる。これがバブル崩壊後の問題である。第6 問解答例ア解説市場経済がうまく機能するときは,良いものを選択する仕組みがそこにある。しかし,市場が良いものではなく悪いものを選択してしまう場合もある。これが「逆選択の問題」で,市場の失敗の1 つである。この問題はまさにそれにあたる。効率性賃金仮説や逆選択問題は上級のマクロ経済学で扱う問題であるが,効率性賃金仮説の説明が本文でなされているので,内容的にはやさしい問題になっている。「逆選択の問題」の典型的な例は,「情報の非対称」が存在する場合で,「モラルハザード」とも関連しており,これらの問題は今後出題される可能性がある。第7 問解答例ア解説これは上級のマクロ経済学で扱う投資決定理論の1 つで,そのq は,q =設置済の資本の市場価値設置済の資本の再取得費用と定義される。投資財を購入するとき企業は株や債券を発行する。その発行済みの有価証券の現在価値がq の分子である。分母は企業が現在保有する資本設備と同じものを買う場合の金額である。もし分子のほうが大きければ,つまりq >1 であれば,—13 ・21 —企業は株などの発行によって資金を調達し,それで生産設備などを買えば利益が得られるので,新規の投資がなされることになる。q <1 の場合は,損をするので投資はなされないばかりか,既存の設備を処分したほうがよいことになる。これが現在の不況を物語っている。ところで,資本の市場価値の高まりは企業の業績,すなわち企業の設備投資などが収益を上げていることに依存している。よって,q は投資の単位当たりの費用(分母)に対し,それからもたらされる収益(分子)の比と見ることもできる。つまり,新規投資の採算があうか否かの収益性をq の値で示しているといえよう。第8 問解答例エ解説IS 曲線は生産物市場の需給均衡を投資I と貯蓄S で説明して,それは利子率と総国民所得の関係を示している。それに対して,LM 曲線は利子率の決まる貨幣市場の需給均衡を流動性選好理論で説明している。IS —LM 分析は生産物価格が所与の下で,これら両市場の同時均衡を求め,利子率と総国民所得がいかに決定されるかを示すモデルである。IS —LM 分析はマクロ経済学の中核をなす理論であるので,今後もいろいろな形で出題される可能性がある。たとえば,物価が変化したとき利子率と総国民所得はどう変化するか。総国民所得を増加させたいとき,どのような金融・財政政策を行えばよいかの問題など。第9 問解答例ウ解説「流動性のわな」は流動性選好説の中の特殊ケースを説明する理論である。一般的には貨幣需要は利子率に対して弾力的である。つまり利子率が高くなれば,貨幣を持つ機会費用が高くなるので貨幣需要を減らし,反対に利子率が低下してくれば,貨幣需要が増加する。しかし,利子率がゼロに近いある水準まで下がり,誰もがもうこれ以上は下がらないだろうと予想するようになれば,将来利子率が上がったとき,債券を買おうとして今はとりあえず貨幣を保有しようと誰もがするので,その水準で貨幣の需要は利子率に対して無限弾力的になる。このような場合,金融当局が利子率をさ—13 ・22 —チ-ズワインA 国1 /2 =0 .5 2 /1 =2B 国6 /3 =2 3 /6 =0 .5らに下げるために,マネーサプライを増やして貨幣市場に超過供給を起こそうとしても,その供給分を誰もが保有しようとするので,超過供給を起こすことができない。よって,利子率はその水準から低下せず,投資の増加を喚起できないので,景気浮揚効果が期待できないことになる。なお,経済学でいう利子率は債券の利子率を意味することに留意されたい。銀行の利子率をいうときは特に銀行金利といって区別する。また一般には前者は長期利子率で後者は短期利子率といわれることがある。第1 0 問解答例エ解説景気動向指数は,景気に先行する「先行指数」と景気の動きに一致する「一致指数」と遅れて動く「遅行指数」に分類される。解答群のa は遅行指数で,c は一致指数に関連している。b とd が先行指数である。景気動向指数は出題範囲「主要経済指標の読み方」の1 つである。「主要経済指標」に関する設問は毎年1 題は出る可能性があり,これは本などで覚える以外にないので,次のような参考書を上げておこう。西野武彦『いちばん分かりやすい経済指標の本』(PHP,1 9 9 8 年)。第1 1 問解答例ア解説表から各財についてA 国とB 国の絶対生産費を比較すれば,両財ともA 国が生産費は安い。つまり,A 国が絶対優位であるが,各国において2 財の生産費の交換比率(比較生産費)で比較すれば,下記の表のようになり,アが正解となることがわかる。第1 2 問解答例ウ解説本来のフィリップス曲線は賃金上昇率W と失業率U のトレードオフ,つまり,—13 ・23 —W =a -bU +cP ただし,P は期待インフレ率,a ,b ,c は正の定数という関係を表すものであるが,賃金上昇率W は物価の上昇につながるので,W をインフレ率とみたものが,物価版フィリップス曲線である。本問題はこれを単にフィリップス曲線と呼んでいる。したがって,上式に該当しないものは,解答群のb ということになる。第1 3 問解答例ア解説価格がp の下では,D <S であるので,超過供給が発生している。この場合は市場が競争的であれば,企業が商品の売れ残りを避けようとして価格を下げざるをえない。この問題は経済学のイロハであるので不正解者はいないであろう。第1 4 問解答例ウ解説需要の価格弾力性は,定義によって,E =-ΔD /DΔP /P =-ΔD ×PΔP ×D ただし,Δは増分記号と表される。右下がりの直線の需要曲線は,D =a -bP と表されるので,この式より需要の価格弾力性E を求めれば,ΔD =-b ΔP ∴E =-ΔD ×PΔP ×D =b PD ただし,a ,b は正の定数となる。右下がりの需要曲線上を右に移動するということは,価格P が下がるということで,需要D は増加する。するとP /D は減少していくので,E は次第に小さくなる。応用問題「需要の価格弾力性が1 である需要曲線はどんなグラフを描くか」正解は,直角双曲線である。a を正の定数とすれば,その数式はD ×P =a となる。これは価格P が1 0 %上昇すれば,需要D は同じく1 0 %減少しなければならないことを示している。よって,この需要曲線D =aP の需要の価格弾力性は1 であることがわかる。この場合,D ×P は需要額=売上額=a であるので,価格を変化させても企業の売上額はa で変わらない。—13 ・24 —弾力性の問題では数式は避けられないので,数学が苦手な人には難問といえるかもしれない。経済学そのものは数学がベースにあるので,経済数学などの本で学習しておく必要がある。第1 5 問解答例ウ解説需給曲線上の価格は,財1 単位あたりの値段である。いまそれに一定額t だけの消費税が課され,それを企業が代理徴収するとすれば,そのt が現在の供給曲線S に上乗せされるので,そのS はt 分だけ上方に平行移動することになる。図の供給曲線S ’はそれを示しており,その結果課税後の需給均衡点はd になる。このd と課税前の供給曲線S 上のf との差は,財一単位あたりの課税額t を表すことになる。需給均衡数量はa からd の長さで表されるので,企業が代理徴収した税の総額はacfd で囲まれた面積に表される。これはよく出題される課税の基本問題である。第1 6 問解答例ア解説公共財と私的財を区別する基準は,①非排除性と②非競合性を備えているか否かである。両方とも備えていない財が私的財である。そうでないものが公共財ある。なお,両方を備えているものを純粋公共財,どちらか一方を備えているものを準公共財といって区別することがある。①は対価を支払う者にのみに消費させるということが不可能な性質である。したがって,支払をせずに消費する者を排除できないので,フリーライダー(ただ乗り)問題が発生する。②は多数の人が同等に共同消費できるので,消費者間に競合がおきないという性質である。したがって,追加的な消費者に対する限界費用はゼロである。よって,このような共同消費が可能な性質を持つ財は,市場経済で私的に処理をするよりも公的に処理をしたほうが望ましいということになる。この設問は非排除性と非競合性の用法を微妙に変えているので注意が必要である。第1 7 問解答例イ—13 ・25 —解説ある経済活動が,市場取引を通さずに経済主体に影響を与えることを外部効果という。その効果は他者に有利な影響を与える場合と不利な場合がある。前者を外部経済といい,後者を外部不経済という。外部不経済の代表例として公害がある。自由放任の市場経済の下では,企業の生産活動から公害が発生したとしても,それが放置されるという問題が生じる。そこで,政府がその発生を抑えるような規制を行えば,企業は生産を抑え,それに見合うような最適な生産量を決定するようになる。このことは企業の生産を自由放任の市場経済に任せておけば,その社会的に望ましい供給量よりも多くの生産が行われ,公害が増加することを意味する。第1 8 問解答例ウ解説無差別曲線とは,消費者がある一定の効用を維持する財の組み合わせを示した曲線である。この曲線は,次の4 つの性質を持っていることは周知の通りである。①無差別曲線は右下がりである。②無差別曲線は原点に対して凸である。③右上方に位置する無差別曲線ほど効用が高い。④異なる無差別曲線は交わらない。しかし,与えられた図の無差別曲線は条件④を満たしているので推移律は成立しているが,その他の条件は満たしていない。ところが仮に原点をx 軸の右端のほうにとれば,どうだろうか。その仮の原点をO ’とすれば,図に描かれた無差別曲線は,その点O ’に向かって凸になっていることがわかり,他の条件も満足することがわかる。曲線U 1 を例にとって説明してみよう。y 財を減らせば効用が減少するので,一定の効用を維持するためには,減少した効用を高めるためにx 財を仮の原点O ’から左方向に増やさなければならない。しかし,実際には効用を高めるために,x 財は左側にある真の原点O に向かって減少している。これはx 財が負の効用をもたらすことを意味している。その結果,曲線U 1 は右端にとった仮の原点O ’に向かって凸になっているのである。経済学では,財(goods )は,通常,正の効用をもたらすと仮定されているが,このように例外的に負の効用をもたらす財もある。それをbads といい,例としては廃棄物や汚染物質などをいう。よって,goods とbads からなる無差別曲線は本例のように描かれることになる。これは通常の経済学のテキストには載っていないので,この際に覚えておこう。—13 ・26 —第1 9 問解答例ア解説代替効果は価格が相対的に高くなった財の需要を控え,安くなった財を多く需要するという代替効果によって,価格が下落した財の需要を増加させる。またその下落は実質的に所得を増加させるという所得効果によって,その財が上級財なら需要を増加させる。これら2 つの効果に価格の下落は需要を増大させることになる。ただし,その財が下級財なら所得の増加は需要の減少をもたらす。そしてその所得効果が代替効果よりも大きければ,価格の下落はかえって需要を減少させることになる。そのような財がギッフェン財である。第2 0 問解答例イ解説収穫逓増か逓減かは,労働の限界生産性(ΔQ /ΔL )が増加するか否かにかかわっている。労働投入量を1 単位ずつ増加させれば,ΔL =1 であるので,増加している生産量の差ΔQ を求めればよいことになる。最初の差はΔQ =5 -0 =5 で,次の差はΔQ =1 1 -5 =6 で,次々求めればΔQ =3 0 -1 9 =1 1 までΔQ は増加し,その後は減少する。生産量が3 0 のところは表のe のところであるので正解はイとなる。この設問は経済学の基本である。第2 1 問解答例ウ解説企業の利潤最大化条件は限界収入=限界費用である。この場合,総収入曲線TR は直線であるので,限界収入はTR 曲線の傾きとなる。他方,限界費用は総費用曲線TCの接線の傾きを表すので,両者の傾きが等しいところが利潤最大化をもたらす。TCの接線a は生産量C 点で,その傾きがTR 曲線の傾きに等しくなっている。これはミクロ経済学の基本中の基本である。「類題—この図から平均費用が最小になる生産量はどこか」[答]平均費用は総費用曲線TC 割る生産量Q であるので,図の原点からTC 曲線に引いた直線の傾きで表される。図の直線b はその傾きが最小な直線であるので,平—13 ・27 —均費用が最小になる生産量はB 点になる。第2 2 問解答例ウ解説サンク・コスト(埋没費用)とは,回収不可能な固定費用である。一般的に規模の大きい企業は,企業設立のための資金も大きく,サンク・コストも大きくなるので,簡単に撤退や参入ができない。よって[エ]は誤りである。固定設備はサンク・コストになりやすいので,それがレンタルやリースで調達しやすければ,サンク・コストを小さくできる。よって,[ウ]が正解で,その他は間違いである。サンク・コストは比較的新しい概念で,扱っていないミクロ経済学のテキストもあるので注意されたい。第2 3 問解答例ア解説一般的に生産量の増大とともに平均費用や限界費用は,はじめは逓減するがやがて逓増するようになる。しかし,電力や水道などは大規模な設備を設置する必要がある産業は,平均費用が非常に大きいので,その逓減が生産量の増大とともに長く続き,限界費用の逓減を上回る場合がある。このような産業を費用逓減産業という。この場合,完全競争下の利潤最大化条件,価格=限界収入=限界費用では,平均費用が大きいので赤字が発生する。このように費用逓減産業は大規模な設備を個々の企業が同一地域で別々にもつのでは採算がとれないので,合併などによって,設備を共有し規模の利益を得ようとして自然に地域独占状態になる。第2 4 問解答例エ解説企業の利潤最大化条件は第2 1 問でも示したが,限界収入=限界費用である。もし完全競争企業であれば,それは第2 3 問でも示したが,価格P =限界費用MC となり,図ではf 点で表される。このときの価格P はb 点で示され,消費者余剰は直線bf より上で需要曲線D より下の囲まれた3 角形の面積に表される。他方生産者余剰は直線bf—13 ・28 —より下でMC 曲線より上の囲まれた3 角形の面積に表される。社会的厚生は,この2つの余剰の合計になる。しかし,独占市場であれば,限界収入MC =限界費用MC となるので,図ではe 点が独占企業の利潤最大点となる。このとき価格P はa 点に上昇し,供給量はbf からad に減少するので,社会的厚生はdef で囲まれた部分だけ減少することがわかる。これは生産者余剰のほうは増大するが,消費者余剰のほうが大きく減少した結果であることを確認されたい。第2 5 問解答例イ解説この問題は「コースの定理」に関する上級のミクロ経済学の設問であるので,難しく感じた人が多かったかもしれない。経済問題の根本は,ある財がただで,超過需要が生じるようなとき,それをどう処理するかということである。処理方法としては,早い者勝ち,抽選なども考えられるが,その財を所有している人にお金を出せば,それを出した人に所有権が移るという権利を設定するというやり方がある。法律的立場からみれば,このような財産権が設定されているのが市場経済である。したがって,市場経済では価格を通して財の売買,つまり財の所有権の売買が行われるのである。一般に市場経済を論じるときは,このような売買は当たり前のように扱われているので,財産権うんぬんは表面にでないのである。しかし,市場を通らない外部効果が生じるとき問題が起こる。たとえば,日照権はマンション建設者(所有者)のものか,それとも地域住民のものか。それがあらかじめ設定されていないからトラブルが起こる。その問題を政府が法的に処理するという方法もあるが,日照権を所有する権利をどちらかに設定してやれば,そのトラブルは市場経済を通して処理できると,コース(ノーベル経済学者)はいうのである。もし地域住民に日照権が与えられている,つまりその財産権が設定されているならば,そこにマンションを建てたい業者は,お金を出して地域住民からその日照権を買えばよいことになる。反対にその財産権がマンション建設者に設定されていれば,地域住民がお金を出して,それを買えばよい。「コースの定理」は,「そのどちらに財産権を設定しても,取引費用がゼロのときは,資源配分の効率性には影響を与えない」という。ただし,お金をどちらが出すかは所得分配には影響を与えることはいうまでもない。よって消去法によって,[イ]が正解となる。—13 ・29 —
H13年 経済学の問題乗っけます。 図はまたの機会に
1 .経済学・経済政策減税が所得水準に与える影響の大きさは,減税の租税乗数(tax multiplier )によって説明できると考えられる。これに関し,最も適切なものはどれか。ア限界消費性向が高いと,減税の租税乗数が大きい。イ限界消費性向が低いと,減税の租税乗数が大きい。ウ平均消費性向が高いと,減税の租税乗数が大きい。エ平均消費性向が低いと,減税の租税乗数が大きい。第2 問金融機関の「貸し渋り」と公衆の「たんす預金」は,それぞれ準備・預金比率,現金・預金比率に影響を与え,マネーサプライを変化させると考えられる。これに関し,最も適切なものはどれか。ア「貸し渋り」の広がりと「たんす預金」の増大は,マネーサプライを減少させる。イ「貸し渋り」の広がりと「たんす預金」の増大は,マネーサプライを増加させる。ウ「貸し渋り」の広がりはマネーサプライを減少させるが,「たんす預金」の増大はマネーサプライを増加させる。エ「貸し渋り」の広がりはマネーサプライを増加させるが,「たんす預金」の増大はマネーサプライを減少させる。第3 問経済学では,フローの概念とストックの概念を区別することが重要である。フローの概念に当たるものとして,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 消費b 資産c 所得d 国富〔解答群〕アa とb イa とc ウb とd エc とd第4 問GDP デフレーターに関し,最も適切なものはどれか。ア実質GDP を名目GDP で割ることにより計算される物価指数で,パーシェ指数の一種である。イ実質GDP を名目GDP で割ることにより計算される物価指数で,ラスパイレス指数の一種である。ウ名目GDP を実質GDP で割ることにより計算される物価指数で,パーシェ指数の一種である。エ名目GDP を実質GDP で割ることにより計算される物価指数で,ラスパイレス指数の一種である。第5 問ピグー効果についての説明で最も適切なものはどれか。ア一般物価が低下した時に,実質貨幣残高が増大し,実質的に消費者の富が増大する結果,消費が拡大すること。イインフレ率の上昇が,名目利子率を引き下げること。ウインフレ率の上昇が,名目利子率の上昇を通じ,実質貨幣残高を増大させ,消費者の富を増加させること。エ国富が増大することにより一般物価が低下すること。第6 問効率性賃金仮説には,「企業は,競争力を維持するために賃金を低くすると,優秀な人材はその企業を去る一方で,好ましい転職口が見つからない人材だけが残ってしまう」という考え方が反映されている。その考え方を表す最も適切な概念はどれか。ア逆選択イクラウディング・アウトウ代替効果エモラルハザード第7 問投資の変動と株式市場の変動のつながりを説明する「トービンのq (Tobin ’s q )」に関して,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。—13 ・10 —a 設置済の資本の市場価値を設置済の資本の再取得費用で除した値。b 資本の現在の収益性を反映している。c 将来の期待される収益性を反映している。d 「トービンのq 」が1 より小さいと,新規投資を行うことで企業価値が増加する。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第8 問IS —LM 分析の特徴として,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 貨幣市場と労働市場を明示的に分析している。b 総所得水準がどのように決定されるかを示すモデルである。c 短期的な価格硬直性を仮定している。d 流動性選好理論の考え方を組み入れている。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第9 問「流動性のわな(liquidity trap )」に関して,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 貨幣需要の利子弾力性が非常に小さい状態。b 貨幣需要の利子弾力性が無限に大きい状態。c 金融当局がマネーサプライを増やしても,景気浮揚効果が小さい。d 金融当局のマネーサプライ増加による景気刺激策の効果が大きい。〔解答群〕アa とc イa とd ウb とc エb とd第1 0 問景気動向指数は,景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された総合的な景気指標である。景気動向指数の先行系列に含まれる統計指標の最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 家計消費支出(全国勤労者世帯)b 新規求人数(除学卒)—13 ・11 —チーズワインA 国1 2B 国6 3c 中小企業出荷指数(製造業)d マネーサプライ(M 2 +CD )〔解答群〕アa とc イa とd ウb とc エb とd第1 1 問比較優位論に関して,2 国2 財1 生産要素モデルを考える。2 国はA 国とB 国であり,2 財はチーズとワイン,生産要素は労働のみとする。A 国とB 国の単位当たりの必要労働量が下表のように与えられている。比較優位に関して,最も適切なものはどれか。アA 国はチーズの生産に比較優位を持ち,B 国はワインの生産に比較優位を持つ。イA 国はワインとチーズの生産に比較優位を持つ。ウA 国はワインの生産に比較優位を持ち,B 国はチーズの生産に比較優位を持つ。エB 国はワインとチーズの生産に比較優位を持つ。第1 2 問フィリップス曲線は失業とインフレーションとの関係を表すものである。フィリップス曲線に関し,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a インフレ率は,期待インフレ率が高くなると上昇する。b インフレ率は,実際の失業率が高くなると上昇する。c 石油ショックなど,原材料価格が高騰するサプライ(供給)ショックが起きると,インフレ率が上昇する。d フィリップス曲線は,インフレ率と失業率のトレードオフの関係を表している。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第1 3 問ある財の市場の需要曲線D と供給曲線S が図のように与えられている。今,価格—13 ・12 —SD0p価格数量がさしあたりp の水準にあるとしたとき,この状況についての記述として最も適切なものはどれか。ア超過供給が発生しており,価格が下落する。イ超過供給が発生しており,価格が上昇する。ウ超過需要が発生しており,価格が下落する。エ超過需要が発生しており,価格が上昇する。第1 4 問ある財の市場の需要曲線が右下がりの直線として与えられているとき,この財の需要の価格弾力性に関する記述として最も適切なものはどれか。ア需要曲線上のすべての点において弾力性は一定である。イ需要曲線上を右に移動するにつれ,弾力性は大きくなる。ウ需要曲線上を右に移動するにつれ,弾力性は小さくなる。エ需要曲線上を右に移動するにつれ,弾力性はまず大きくなり,やがて小さくなる。第1 5 問ある財の市場の需要曲線D と供給曲線S が,当初,図のように与えられており,その財に課税がなされたため供給曲線がS ′にシフトしたとする。このときの税収入の大きさを示す面積として最も適切なものはどれか。アa b e d で囲まれた部分イa b g d で囲まれた部分ウa c f d で囲まれた部分エb c f g で囲まれた部分—13 ・13 価格数量a b c0defgDSS ′第1 6 問公共財に関する記述として最も適切なものはどれか。ア対価を支払う者にのみ消費させるということが不可能な非排除性の性質を持つ。イ追加的消費に伴う費用が無限大となる非競合性の性質を持つ。ウ非競合性の性質のゆえにフリーライダー問題が発生する。エ非排除性の性質のゆえに共同消費が不可能である。第1 7 問外部効果には外部経済と外部不経済がある。これに関する記述として最も適切なものはどれか。アある財に外部経済が伴うとき,その財の供給を市場に委ねると社会的に最適な供給量を上回ってしまう。イある財に外部不経済が伴うとき,その財の供給を市場に委ねると社会的に最適な供給量を上回ってしまう。ウ外部経済とは,ある経済主体の行動が市場を経由せず直接的に,他者にマイナスの影響を及ぼすことをいう。エ外部不経済とは,ある経済主体の行動が市場を経由して間接的に,他者にプラスの影響を及ぼすことをいう。第1 8 問ある消費者のx 財,y 財に関する無差別曲線群が図のu l ,u 2 ,u 3 のような形状をしているとする。これに関する記述として最も適切なものはどれか。—13 ・14 u3u2u10 x 財の量y 財の量ただし,無差別曲線は左上に位置するほど効用水準が高いものとする。ア嗜好に推移律が成り立っていない。イ消費者にとって,x 財もy 財も多い方が望ましい。ウx 財は消費者に負の効用をもたらす。エy 財は消費者の効用水準に影響しない。第1 9 問ギッフェン財とは,その価格の下落が,その需要の減少をもたらすという性質をもつ財である。こうした財が成立する理由に関する記述として最も適切なものはどれか。アその財が下級財であり,かつ所得効果が代替効果を上回ることによる。イその財が下級財であり,かつ代替効果が所得効果を上回ることによる。ウその財が上級財であり,かつ所得効果が代替効果を上回ることによる。エその財が上級財であり,かつ代替効果が所得効果を上回ることによる。第2 0 問ある財の生産にあたって,いま労働以外の生産要素投入量を一定とし,労働投入量のみを1 単位ずつ増加させたとき,それに伴って生産量が下表のように変化したとする。この状況についての記述として最も適切なものはどれか。アe までは収穫逓減,それ以降は収穫逓増。イe までは収穫逓増,それ以降は収穫逓減。ウf までは収穫逓減,それ以降は収穫逓増。エf までは収穫逓増,それ以降は収穫逓減。—13 ・15 —労働投入量生産量a 0 0b 1 5c 2 1 1d 3 1 9e 4 3 0f 5 3 8g 6 4 4h 7 4 9i 8 5 3j 9 5 6k 1 0 5 8産出量総費用・総収入0 A BCDTC TRa b第2 1 問ある企業の総費用曲線TC と総収入曲線TR が図のように与えられているとき,利潤が最大になる産出量はどれか。ただし,図中,補助線a は,産出量C でTC に接し,かつTR に平行な直線であり,補助線b は,原点から引いた直線で,産出量B でTC に接しているものとする。アA イB ウC エD第2 2 問サンク・コストに関する記述として最も適切なものはどれか。—13 ・16 —ab c0dfeMRDMC数量価格アある設備の中古品市場が整備されているほど,サンク・コストは大きい。イある設備を他の用途に転用しにくいほど,サンク・コストは小さい。ウある設備をレンタルやリースで調達しやすいほど,サンク・コストは小さい。エサンク・コストが小さい産業ほど,参入障壁が高い。第2 3 問費用逓減産業に関する説明のうち,最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。a 市場が自然独占になる可能性がある。b 価格を限界費用に等しい水準に設定すると赤字が発生する可能性がある。c 規模の経済性が強く働く事業分野である。d 多数の企業が存在し,市場構造が競争的になりやすい。〔解答群〕アa とb とc イa とb とd ウa とc とd エb とc とd第2 4 問ある独占企業の限界費用曲線MC ,限界収入曲線MR ,この企業が直面する需要曲線D が図のように与えられているとき,「独占の厚生損失」または「死荷重(deadweightloss )」の大きさを示す面積はどれか。ただし,この企業は利潤最大化を目指すものとする。アabfd で囲まれた部分イaced で囲まれた部分ウbcef で囲まれた部分エdef で囲まれた部分—13 ・17 —解答例と解説第2 5 問取引費用に関する記述として最も適切なものはどれか。ア取引費用が正のとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与えない。イ取引費用が正のとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与える。ウ取引費用がゼロのとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与えない。エ取引費用がゼロのとき,財産権の設定の仕方は,資源配分の効率性と所得分配に影響を与える。第1 問解答例ア解説これはマクロ経済学の基本的な問題である。言葉で示せば,1 0 兆円の減税によって可処分所得が増え,それによって国民がより多く消費をするようになれば,これを経済学では限界消費性向が高まったというが,総需要が高まり,それに応じて企業の供給が高まり,国民所得が増加する。その増加が2 0 兆円であれば,租税乗数は2 倍であるという。よって,限界消費性向が高いと,租税乗数が大きくなることが想像できるであろう。これを経済学では図か数式で証明する。ここではスペースの関係から数式で示すことにする。国民所得Y は需要面からみれば,消費C と投資I と政府支出G と貿易からなるが,ここでは簡単化のため貿易を省略すれば,以下のように示される。Y =C +I +G ⋯⋯ 1消費C は,租税T を考慮した可処分所得(Y -T )に依存して決まる。それの数式は,C =a +b (Y -T )⋯⋯ 2と表され,これを消費関数という。この式を 1 式に代入し,Y について解けば,Y =-b1 -b T +11 -b (a +I +G )⋯⋯ 3 ただし,0 <b <1となる。b は所得Y が増加すればいくら消費が増加するかを示す限界消費性向であり,—13 ・18 —-b1 -b が租税乗数である。たとえば,b =0 .8 と0 .6 を比較すれば,租税乗数の絶対値は前者が4 で,後者は1 .5 となる。つまり前者は1 0 兆円減税すれば,国民所得が4 0 兆円増加し,後者は1 5 兆円増加する。よって,限界消費性向b が高いと,租税乗数効果が大きい。ところで, 3 式より11 -b は財政支出G あるいは投資I の乗数を示しているので,こちらの乗数が租税乗数より大きい。b =0 .8 なら,こちらの乗数は5 倍で,b =0 .6なら2 .5 倍であることがわかる。こちらも限界消費性向b が高いと,乗数が大きくなるので,この問題において,減税を「財政支出G の増加」や「投資I の増加」に置き換え,租税乗数を「政府支出乗数」や「投資乗数」に置き換えれば類似問題を作ることができる。第2 問解答例ア解説これもマクロ経済学の基本的な問題である。マネーサプライM とは,簡単にいえば市中に流通している現金通貨C と銀行預金D の合計と定義される。「たんす預金」の増大は銀行預金を減少させ,「貸し渋り」は市中に出回るお金を減少させるので,マネーサプライは減少することが直感的にわかる。経済学では,以下のように証明される。マネーサプライM は,上記の説明より,M =C +D ⋯⋯ 1と表される。日銀が直接コントロールできる貨幣H をハイパワードマネーといい,それは流通通貨C と銀行が保有している現金R であるので,H =C +R ⋯⋯ 2となる。現金・預金比率c と準備・預金比率r は,c =CD ,r =RD ⋯⋯ 3 ただし,0 <c ,r <1と定義されるので, 1 , 2 , 3 式より,M =mH ただし,m =c +1c +r ⋯⋯ 4となる。「たんす預金」の増大は銀行預金D の減少であるので,現金・預金比率c は上昇する。これは 4 式の通貨乗数m を減少させることがわかる。「貸し渋り」は銀行—13 ・19 —保有現金R の増加であるので,準備・預金比率r は上昇する。これもm を減少させるので,H が所与の下で,マネーサプライM が減少することになる。これより次のような応用問題が考えられる。「日銀の公定歩合の変更は,マネーサプライにどのような影響を与えるか」[答]公定歩合の上昇(低下)は銀行金利を上昇(低下)させるので,預金D が増加(減少)し,銀行保有現金R が減少(増加)する。これはc の低下(上昇),r の低下(上昇)になるので,m は増加(減少)する。第3 問解答例イ解説これは経済学の基本的な問題である。フローはある一定期間(たとえば,1 ヵ月あるいは1 年間)にいくら生産・消費・稼いだかという概念である。それに対して,ストックはある時点でいくら生産したものが存在・蓄積しているかという概念である。国富は国の資産であるのでストックである。「類題—次のうちストック概念に当たるものはどれか。貯蓄,貯蓄残高,投資,資本」[答]貯蓄残高と資本はストックである。第4 問解答例エ解説GDP デフレーターは基本的経済指標で,その定義の通り出題されているので,解説は不要であろう。第5 問解答例ア解説第1 問の解説で示した 2 式の消費関数は,消費C は可処分所得(Y -T )のみに依存するものであったが,第2 問のマネーサプライM で定義したような金融資産を物価水準P で割った実質貨幣残高(M /P )にも依存すると考えると, 2 式は以下のように示される。—13 ・20 —C =a +b (Y -T )+c MPM が所与の下で,物価P が低下すると実質貨幣残高(M /P )は増加する,つまり貨幣価値が上昇(富の増大)という「資産効果」によって,より多くの消費が可能となるというのが,ピグー効果である。したがって,この場合は上式の係数c は正の値を持つことになる。これは 2 式のような基本的な消費関数を少し越えているので,中級程度の問題といえよう。ところで,M がマネーではなく,証券の総額であり,それが資産デフレで一般物価P の低下より大きく下落すれば,実質証券資産(M /P )は目減りする。この場合,ピグー効果と反対の「逆資産効果」が働き,消費を減少させる。これがバブル崩壊後の問題である。第6 問解答例ア解説市場経済がうまく機能するときは,良いものを選択する仕組みがそこにある。しかし,市場が良いものではなく悪いものを選択してしまう場合もある。これが「逆選択の問題」で,市場の失敗の1 つである。この問題はまさにそれにあたる。効率性賃金仮説や逆選択問題は上級のマクロ経済学で扱う問題であるが,効率性賃金仮説の説明が本文でなされているので,内容的にはやさしい問題になっている。「逆選択の問題」の典型的な例は,「情報の非対称」が存在する場合で,「モラルハザード」とも関連しており,これらの問題は今後出題される可能性がある。第7 問解答例ア解説これは上級のマクロ経済学で扱う投資決定理論の1 つで,そのq は,q =設置済の資本の市場価値設置済の資本の再取得費用と定義される。投資財を購入するとき企業は株や債券を発行する。その発行済みの有価証券の現在価値がq の分子である。分母は企業が現在保有する資本設備と同じものを買う場合の金額である。もし分子のほうが大きければ,つまりq >1 であれば,—13 ・21 —企業は株などの発行によって資金を調達し,それで生産設備などを買えば利益が得られるので,新規の投資がなされることになる。q <1 の場合は,損をするので投資はなされないばかりか,既存の設備を処分したほうがよいことになる。これが現在の不況を物語っている。ところで,資本の市場価値の高まりは企業の業績,すなわち企業の設備投資などが収益を上げていることに依存している。よって,q は投資の単位当たりの費用(分母)に対し,それからもたらされる収益(分子)の比と見ることもできる。つまり,新規投資の採算があうか否かの収益性をq の値で示しているといえよう。第8 問解答例エ解説IS 曲線は生産物市場の需給均衡を投資I と貯蓄S で説明して,それは利子率と総国民所得の関係を示している。それに対して,LM 曲線は利子率の決まる貨幣市場の需給均衡を流動性選好理論で説明している。IS —LM 分析は生産物価格が所与の下で,これら両市場の同時均衡を求め,利子率と総国民所得がいかに決定されるかを示すモデルである。IS —LM 分析はマクロ経済学の中核をなす理論であるので,今後もいろいろな形で出題される可能性がある。たとえば,物価が変化したとき利子率と総国民所得はどう変化するか。総国民所得を増加させたいとき,どのような金融・財政政策を行えばよいかの問題など。第9 問解答例ウ解説「流動性のわな」は流動性選好説の中の特殊ケースを説明する理論である。一般的には貨幣需要は利子率に対して弾力的である。つまり利子率が高くなれば,貨幣を持つ機会費用が高くなるので貨幣需要を減らし,反対に利子率が低下してくれば,貨幣需要が増加する。しかし,利子率がゼロに近いある水準まで下がり,誰もがもうこれ以上は下がらないだろうと予想するようになれば,将来利子率が上がったとき,債券を買おうとして今はとりあえず貨幣を保有しようと誰もがするので,その水準で貨幣の需要は利子率に対して無限弾力的になる。このような場合,金融当局が利子率をさ—13 ・22 —チ-ズワインA 国1 /2 =0 .5 2 /1 =2B 国6 /3 =2 3 /6 =0 .5らに下げるために,マネーサプライを増やして貨幣市場に超過供給を起こそうとしても,その供給分を誰もが保有しようとするので,超過供給を起こすことができない。よって,利子率はその水準から低下せず,投資の増加を喚起できないので,景気浮揚効果が期待できないことになる。なお,経済学でいう利子率は債券の利子率を意味することに留意されたい。銀行の利子率をいうときは特に銀行金利といって区別する。また一般には前者は長期利子率で後者は短期利子率といわれることがある。第1 0 問解答例エ解説景気動向指数は,景気に先行する「先行指数」と景気の動きに一致する「一致指数」と遅れて動く「遅行指数」に分類される。解答群のa は遅行指数で,c は一致指数に関連している。b とd が先行指数である。景気動向指数は出題範囲「主要経済指標の読み方」の1 つである。「主要経済指標」に関する設問は毎年1 題は出る可能性があり,これは本などで覚える以外にないので,次のような参考書を上げておこう。西野武彦『いちばん分かりやすい経済指標の本』(PHP,1 9 9 8 年)。第1 1 問解答例ア解説表から各財についてA 国とB 国の絶対生産費を比較すれば,両財ともA 国が生産費は安い。つまり,A 国が絶対優位であるが,各国において2 財の生産費の交換比率(比較生産費)で比較すれば,下記の表のようになり,アが正解となることがわかる。第1 2 問解答例ウ解説本来のフィリップス曲線は賃金上昇率W と失業率U のトレードオフ,つまり,—13 ・23 —W =a -bU +cP ただし,P は期待インフレ率,a ,b ,c は正の定数という関係を表すものであるが,賃金上昇率W は物価の上昇につながるので,W をインフレ率とみたものが,物価版フィリップス曲線である。本問題はこれを単にフィリップス曲線と呼んでいる。したがって,上式に該当しないものは,解答群のb ということになる。第1 3 問解答例ア解説価格がp の下では,D <S であるので,超過供給が発生している。この場合は市場が競争的であれば,企業が商品の売れ残りを避けようとして価格を下げざるをえない。この問題は経済学のイロハであるので不正解者はいないであろう。第1 4 問解答例ウ解説需要の価格弾力性は,定義によって,E =-ΔD /DΔP /P =-ΔD ×PΔP ×D ただし,Δは増分記号と表される。右下がりの直線の需要曲線は,D =a -bP と表されるので,この式より需要の価格弾力性E を求めれば,ΔD =-b ΔP ∴E =-ΔD ×PΔP ×D =b PD ただし,a ,b は正の定数となる。右下がりの需要曲線上を右に移動するということは,価格P が下がるということで,需要D は増加する。するとP /D は減少していくので,E は次第に小さくなる。応用問題「需要の価格弾力性が1 である需要曲線はどんなグラフを描くか」正解は,直角双曲線である。a を正の定数とすれば,その数式はD ×P =a となる。これは価格P が1 0 %上昇すれば,需要D は同じく1 0 %減少しなければならないことを示している。よって,この需要曲線D =aP の需要の価格弾力性は1 であることがわかる。この場合,D ×P は需要額=売上額=a であるので,価格を変化させても企業の売上額はa で変わらない。—13 ・24 —弾力性の問題では数式は避けられないので,数学が苦手な人には難問といえるかもしれない。経済学そのものは数学がベースにあるので,経済数学などの本で学習しておく必要がある。第1 5 問解答例ウ解説需給曲線上の価格は,財1 単位あたりの値段である。いまそれに一定額t だけの消費税が課され,それを企業が代理徴収するとすれば,そのt が現在の供給曲線S に上乗せされるので,そのS はt 分だけ上方に平行移動することになる。図の供給曲線S ’はそれを示しており,その結果課税後の需給均衡点はd になる。このd と課税前の供給曲線S 上のf との差は,財一単位あたりの課税額t を表すことになる。需給均衡数量はa からd の長さで表されるので,企業が代理徴収した税の総額はacfd で囲まれた面積に表される。これはよく出題される課税の基本問題である。第1 6 問解答例ア解説公共財と私的財を区別する基準は,①非排除性と②非競合性を備えているか否かである。両方とも備えていない財が私的財である。そうでないものが公共財ある。なお,両方を備えているものを純粋公共財,どちらか一方を備えているものを準公共財といって区別することがある。①は対価を支払う者にのみに消費させるということが不可能な性質である。したがって,支払をせずに消費する者を排除できないので,フリーライダー(ただ乗り)問題が発生する。②は多数の人が同等に共同消費できるので,消費者間に競合がおきないという性質である。したがって,追加的な消費者に対する限界費用はゼロである。よって,このような共同消費が可能な性質を持つ財は,市場経済で私的に処理をするよりも公的に処理をしたほうが望ましいということになる。この設問は非排除性と非競合性の用法を微妙に変えているので注意が必要である。第1 7 問解答例イ—13 ・25 —解説ある経済活動が,市場取引を通さずに経済主体に影響を与えることを外部効果という。その効果は他者に有利な影響を与える場合と不利な場合がある。前者を外部経済といい,後者を外部不経済という。外部不経済の代表例として公害がある。自由放任の市場経済の下では,企業の生産活動から公害が発生したとしても,それが放置されるという問題が生じる。そこで,政府がその発生を抑えるような規制を行えば,企業は生産を抑え,それに見合うような最適な生産量を決定するようになる。このことは企業の生産を自由放任の市場経済に任せておけば,その社会的に望ましい供給量よりも多くの生産が行われ,公害が増加することを意味する。第1 8 問解答例ウ解説無差別曲線とは,消費者がある一定の効用を維持する財の組み合わせを示した曲線である。この曲線は,次の4 つの性質を持っていることは周知の通りである。①無差別曲線は右下がりである。②無差別曲線は原点に対して凸である。③右上方に位置する無差別曲線ほど効用が高い。④異なる無差別曲線は交わらない。しかし,与えられた図の無差別曲線は条件④を満たしているので推移律は成立しているが,その他の条件は満たしていない。ところが仮に原点をx 軸の右端のほうにとれば,どうだろうか。その仮の原点をO ’とすれば,図に描かれた無差別曲線は,その点O ’に向かって凸になっていることがわかり,他の条件も満足することがわかる。曲線U 1 を例にとって説明してみよう。y 財を減らせば効用が減少するので,一定の効用を維持するためには,減少した効用を高めるためにx 財を仮の原点O ’から左方向に増やさなければならない。しかし,実際には効用を高めるために,x 財は左側にある真の原点O に向かって減少している。これはx 財が負の効用をもたらすことを意味している。その結果,曲線U 1 は右端にとった仮の原点O ’に向かって凸になっているのである。経済学では,財(goods )は,通常,正の効用をもたらすと仮定されているが,このように例外的に負の効用をもたらす財もある。それをbads といい,例としては廃棄物や汚染物質などをいう。よって,goods とbads からなる無差別曲線は本例のように描かれることになる。これは通常の経済学のテキストには載っていないので,この際に覚えておこう。—13 ・26 —第1 9 問解答例ア解説代替効果は価格が相対的に高くなった財の需要を控え,安くなった財を多く需要するという代替効果によって,価格が下落した財の需要を増加させる。またその下落は実質的に所得を増加させるという所得効果によって,その財が上級財なら需要を増加させる。これら2 つの効果に価格の下落は需要を増大させることになる。ただし,その財が下級財なら所得の増加は需要の減少をもたらす。そしてその所得効果が代替効果よりも大きければ,価格の下落はかえって需要を減少させることになる。そのような財がギッフェン財である。第2 0 問解答例イ解説収穫逓増か逓減かは,労働の限界生産性(ΔQ /ΔL )が増加するか否かにかかわっている。労働投入量を1 単位ずつ増加させれば,ΔL =1 であるので,増加している生産量の差ΔQ を求めればよいことになる。最初の差はΔQ =5 -0 =5 で,次の差はΔQ =1 1 -5 =6 で,次々求めればΔQ =3 0 -1 9 =1 1 までΔQ は増加し,その後は減少する。生産量が3 0 のところは表のe のところであるので正解はイとなる。この設問は経済学の基本である。第2 1 問解答例ウ解説企業の利潤最大化条件は限界収入=限界費用である。この場合,総収入曲線TR は直線であるので,限界収入はTR 曲線の傾きとなる。他方,限界費用は総費用曲線TCの接線の傾きを表すので,両者の傾きが等しいところが利潤最大化をもたらす。TCの接線a は生産量C 点で,その傾きがTR 曲線の傾きに等しくなっている。これはミクロ経済学の基本中の基本である。「類題—この図から平均費用が最小になる生産量はどこか」[答]平均費用は総費用曲線TC 割る生産量Q であるので,図の原点からTC 曲線に引いた直線の傾きで表される。図の直線b はその傾きが最小な直線であるので,平—13 ・27 —均費用が最小になる生産量はB 点になる。第2 2 問解答例ウ解説サンク・コスト(埋没費用)とは,回収不可能な固定費用である。一般的に規模の大きい企業は,企業設立のための資金も大きく,サンク・コストも大きくなるので,簡単に撤退や参入ができない。よって[エ]は誤りである。固定設備はサンク・コストになりやすいので,それがレンタルやリースで調達しやすければ,サンク・コストを小さくできる。よって,[ウ]が正解で,その他は間違いである。サンク・コストは比較的新しい概念で,扱っていないミクロ経済学のテキストもあるので注意されたい。第2 3 問解答例ア解説一般的に生産量の増大とともに平均費用や限界費用は,はじめは逓減するがやがて逓増するようになる。しかし,電力や水道などは大規模な設備を設置する必要がある産業は,平均費用が非常に大きいので,その逓減が生産量の増大とともに長く続き,限界費用の逓減を上回る場合がある。このような産業を費用逓減産業という。この場合,完全競争下の利潤最大化条件,価格=限界収入=限界費用では,平均費用が大きいので赤字が発生する。このように費用逓減産業は大規模な設備を個々の企業が同一地域で別々にもつのでは採算がとれないので,合併などによって,設備を共有し規模の利益を得ようとして自然に地域独占状態になる。第2 4 問解答例エ解説企業の利潤最大化条件は第2 1 問でも示したが,限界収入=限界費用である。もし完全競争企業であれば,それは第2 3 問でも示したが,価格P =限界費用MC となり,図ではf 点で表される。このときの価格P はb 点で示され,消費者余剰は直線bf より上で需要曲線D より下の囲まれた3 角形の面積に表される。他方生産者余剰は直線bf—13 ・28 —より下でMC 曲線より上の囲まれた3 角形の面積に表される。社会的厚生は,この2つの余剰の合計になる。しかし,独占市場であれば,限界収入MC =限界費用MC となるので,図ではe 点が独占企業の利潤最大点となる。このとき価格P はa 点に上昇し,供給量はbf からad に減少するので,社会的厚生はdef で囲まれた部分だけ減少することがわかる。これは生産者余剰のほうは増大するが,消費者余剰のほうが大きく減少した結果であることを確認されたい。第2 5 問解答例イ解説この問題は「コースの定理」に関する上級のミクロ経済学の設問であるので,難しく感じた人が多かったかもしれない。経済問題の根本は,ある財がただで,超過需要が生じるようなとき,それをどう処理するかということである。処理方法としては,早い者勝ち,抽選なども考えられるが,その財を所有している人にお金を出せば,それを出した人に所有権が移るという権利を設定するというやり方がある。法律的立場からみれば,このような財産権が設定されているのが市場経済である。したがって,市場経済では価格を通して財の売買,つまり財の所有権の売買が行われるのである。一般に市場経済を論じるときは,このような売買は当たり前のように扱われているので,財産権うんぬんは表面にでないのである。しかし,市場を通らない外部効果が生じるとき問題が起こる。たとえば,日照権はマンション建設者(所有者)のものか,それとも地域住民のものか。それがあらかじめ設定されていないからトラブルが起こる。その問題を政府が法的に処理するという方法もあるが,日照権を所有する権利をどちらかに設定してやれば,そのトラブルは市場経済を通して処理できると,コース(ノーベル経済学者)はいうのである。もし地域住民に日照権が与えられている,つまりその財産権が設定されているならば,そこにマンションを建てたい業者は,お金を出して地域住民からその日照権を買えばよいことになる。反対にその財産権がマンション建設者に設定されていれば,地域住民がお金を出して,それを買えばよい。「コースの定理」は,「そのどちらに財産権を設定しても,取引費用がゼロのときは,資源配分の効率性には影響を与えない」という。ただし,お金をどちらが出すかは所得分配には影響を与えることはいうまでもない。よって消去法によって,[イ]が正解となる。—13 ・29 —