腎細胞癌摘出手術後の回復は順調で、10日で退院。
会社も、2週間で復帰。
日常生活での痛みは無いけれど、会社の制服を着た時に、ベルトが手術跡に擦れて、痛いと言う。
それでベルトをサスペンダーに変更。
痛みは無くなったけど、若い庶務の女性に「可愛い」と、揶揄われたらしい。
術後、3ヶ月に一度、造影CTを撮って経過観察。
腎臓は、血液を濾過する所なので、抗がん剤を使っても濾過されて効果無し。
摘出手術一択。
本人も、最初に腎細胞癌と診断された時は「ふ~ん癌か。でも腎臓は2つあるんだから、取ってしまえば、どーって事は無い」と、思っていたらしい。
術後、2年経って。
体調には何の変化も無く、元気に仕事に遊びに、忙しい毎日を送っていた。
いつも通り、通院。
帰ってきて「リンパ節に転移してるらしい」と。
「えーっ。これからどうなるの?」
「次は、奥さんと一緒に来て下さい。結果と治療法について説明します」と。
1週間後。主治医から説明。
「腎臓を取って空洞になった所へ、腸が落ち込んで腹壁て癒着している。その癒着している間のリンパ節に転移。
手術で取ろうとすると、腸を引っ剥がす様になります。
そうなると、腸が使い物にならなくなって、日常生活に大きな影響が出る。
放射線をしても、腸に穴が空き、手術と同じ結果です。
分子標的薬と言う、抗がん剤の服用一択です」
「それを服用したら、癌が消滅する事も、可能なんですか?」
「はい。只、薬には効果と一緒に副作用もあります。
分子標的薬薬は、手強い癌と戦う為、きつい副作用が出る事が多いです。
この冊子を読んで、しっかり準備して、服用開始しましょう」と小冊子を貰って帰った。
夫も、この時にハッキリと「自分は癌なんだ」と自覚したらしい。
そうして、癌=死、と恐怖が湧いた瞬間でもあった。