穏やかな気候だったが 羅漢は大陸の北に位置するので寒い国のようだ。
羅漢が近づくにつれて レックス達は ただ一人を除いて
船上デッキには出なかった。
そう、アランを除いては……
「またアラン 外に出るって バタバタ外に出ていったわよね?
どうしちゃったのかしら?外はけっこう寒くなってるよ?」
そうミレーヌが遥か遠くに見える雪化粧した山々を客室から眺めながらレックスに行った。
その時
「いや〜待たせたね諸君!
吾輩は ヘアスタイルを整えてた」
アランが いかにも船酔いからの気持ち悪くなってトイレ行ってたオーラを出して戻ってきた。
「えっ? ヘアスタイルって
アラン……
おまえ忍びの衣装なのでヘアスタイルとか気にしなくていいんじゃねえの?」
忍者頭巾を被ってるのに ヘアスタイル整えに行ってたとか 船酔いしてることを明らかに誤魔化しているアラン。
「オレ様
ちょっと 疲れたのかなー??
あっ また 外に出て トレーニングしてきまーす!」
お尻を押さえながら 駆け足で また客室から出て行ったアラン。
「船酔いして トイレに行きまくってるのに
あえて それを ごまかすアラン……
アランの奴 相変わらず カッコつけマンだね」
とミレーヌ はレックスに微笑んだ。
「だな。
そしてアランとオレとミレーヌ で
萌が言ってた四つ目の幻のエンディングを創ろうな」
「萌ちゃん ゲームだの 異世界の地球って世界から転移しただの
なんか 不思議な子だったね。
レックスに好き好きアピールしてきたしーー」
ぷくーっとむくれるミレーヌ 。
「まぁ 半信半疑だわ 萌って子のセリフはよっ。
四つ目の誰も知らないエンディングの先には
もしかして ミレーヌ とじゃなくて
オレと あの子が……」
レックスが 急に どんよりしてきた外を眺めながら その変な気候に紛れて 思わず 本音を口に出してしまった。
「えっ 何?
レックス
もしや 誰も知らないエンディングで あの子とハッピーエンドを創りたいのーー!」
ミレーヌ は 思わずレックスの胸ぐらをゴリラのように掴んだ。
「落ち着け 落ち着けって
ミレーヌ 〜
冗談だわ。
冗談 っつーの」
ガシャーン!
客室に さっきまでの船酔いが嘘のような 機敏な動きと勢いでアランが戻ってきた。
「どうしたの?」
「おおお アラン、ええとこに帰ってきたなあ。」
「大変だーーっ
全長100mは
あると言われるシードラゴンが あらわれなすった。
遠くから
凄い勢いで こっちに向かってる
あわわわわ」
アランは 伝説の海の魔物シードラゴンに 出くわした不幸に 語尾が 後半 何言ってるのかわからない感じだった。
「シードラゴン
船旅をしてると 氷山のような魔物に船を沈没させられることが たまにあると言われている
それが
シードラゴンの仕業だとポルトリングの人は話してたわ。
今 思い出した!」
レックスは とりあえず皆で力を合わせて戦えば
伝説の海の魔物だろうと勝てると思って
船上デッキに向かった。
ドガッーーー
ゴゴゴゴゴゴゴッ
シードラゴンの標的は やはり
レックス達の乗ってる船なのか
シードラゴンは 船に向かって 身体をぶつけてきた。
「みなさーーん
船の後ろの方へ移動してくださーい
あとは私達が なんとかします。」
ミレーヌ は 船に乗ってる人達を 後方の結界室へ誘導させてるようだ。
(一人でも安全に 結界室に移動させなければ
結界が張られてるので
シードラゴンも なかなか 結界室までは
攻めきれないと思うわ。
私が なんとか しなくっちゃ
がんばれ自分。
自分を信じろ
皆を守れ!)
と 自身を鼓舞しながら ミレーヌ は 人々を 救うため誘導に徹してるようだ。
ミレーヌ が誘導してる頃に
シードラゴンの子分である
タツノオトシゴ風な魔物、半魚人、巨大ピラニアなどの魔物が どんどん現れたが
アランの忍術とレックスの剣技で
簡単に一掃できたようだ。
「雑魚は いくら束になってこられても 今のオレ達の敵じゃねえな アラン。」
「おうよ!
しかしレックス……腕を上げたなあ。
オレ様が本気出しても 今の Youには
多分敵わないわ
悔しいけど」
「おっ ありがとな
だろ だろ〜
オレつぇええもん。
でも
シードラゴンみたいな 敵にはオレ無力っす。
相手がデカすぎて
剣が届かない。
剣で斬ろうとしても
距離感が 掴めない。
ヤベェなあ」
剣を振り回しても
巨大すぎる
シードラゴンに攻撃は 当てにくい。
しかし……
ブサ
バサ
ボオオオオオ
手裏剣や火遁系の術が シードラゴンの弱点の頭に
命中してるではないか!!
「すげぇ アラン!
やるぅ
頼りになるなあ。
遠距離攻撃のスペシャリストだな。」
と 剣を闇雲に振り回しながらアランの凄さを讃えた。
「さっきまで ゲーリーの連続だった フォレ様〜
に フォレなおしたか〜レックス〜」
「誰も おめえなんかに フォレ もとい 惚れねえーよ。」
シードラゴンは 時々
船に向かって攻撃しようとするが
3回に一度くらいしか
船に攻撃は当たらなかった。
それは アランが 忍法幻惑光線
をシードラゴンに仕掛けていたからだ。
その間に アランが 少なからず 手裏剣や火遁系の術で ジリジリとシードラゴンにダメージを与えていたようだ。
「巨大な象も アリのコツコツ繰り出す攻撃で
やがて倒れる みたいな作戦だなアラン。」
「レックス〜オレ様の凄さ目の当たりにできて
Youはラッキーだねを
そうー 小さな打撃でも
やがて 大きな象でも山でもなんでも
倒れるぞ原理って
ことさ
まぁ オレ様の忍術は消費MPも少ないので まだまだいけまっせぇーー」
時間は かかるが このままシードラゴン討伐は可能??と思ってた矢先に
どんどん風が強くなってきた。
シュシュシュ
手裏剣が 強風のせいで
当たらなくなってきた。
ビューーーーン
さらにハリケーンが起こるほどの
大荒れに なってきた。
「やばいです。
オレ様の 火遁が
流される
風
うぜぇ。
なんか この風
やたら不自然だよね」
アランは 嘘のような 風の強まりに
ついに ダダをこねだした。
「確かに
この風は不自然過ぎる。
船も勝手に どこかに流されているし……
」
その時
サイクロンウェーブ
波と風のコラボしたような魔法攻撃が
レックスに直撃!?
カーーン
しかし レックスはシールドで それを防いだ。
「レックスよ!ごっつええ感じに
ガードしてくれてんねえ。
少しは成長したんちゃうか?
しばらくみんうちに」
レックスとアランが
声のする方をみると
そこには
四大精霊の汁風が宙に浮いていた。
「助けに来てくれたけど
シードラゴンに攻撃するつもりがオレに攻撃した件……
だろ?汁風。」
「レックス……
おもろないなあ
相変わらず……
そんで 長ーよ。
どっかの異世界漫画のタイトルみたいやないかーーい。
こいつは
おもろない あんさんらに おしおきやからな
憑依ブレス
ゴホホホホホホーーー!!
汁風の風魔法がシードラゴンに憑依し
シードラゴンが風属性のブレスを
船に目掛けて
吐いてきた。
グラグラ
ガシガシ……
船が破壊されるのかというほどの威力だった。
「カタカムナシールド!」
奇跡を呼ぶ カタカムナのスキルがクリスタルシールドに発動したが
それでも レックス達は 吹き飛ばされる寸前だった。
船も大きなダメージが あったようだ。
「レックスやるのお。
あたいは嬉しいさかい。
ここで ほんまの目的 言うてやるわ。
アランを生贄に捧げてもらうわ」
「はぁ?汁風、どういうこと?
そんなことさせるかってんだ。
おまえ オレ達の味方だったんじゃねえのかよ」
レックスは汁風に啖呵を切る。
「あまいこと言うとる場合か。
誰が
君らの 味方やねん?
あたいは もともと風のように
気まぐれやねん。
勝手にボケかましてるんなら
いてまうぞ ゴラァ」
「おうおうおう!やるんか コラァ。
タイマンで やってやるよ。
精霊だろうが シードラゴンだろうが
どちらから
くるんなあ?
喧嘩上等じゃねぇか。」
レックスは 汁風が 予想外の悪質な行動を とってきたんで 怒り心頭のようだ。
汁風が レックスの方に近づいてきた
ふわふわ浮いてたが
船上デッキの方に
向かって 近づいてきた
……
と思いきや
「シードラゴン!今でっからな
ほな
あれをやりなはれ」
汁風は レックスの方に近づくと見せかけて
シードラゴンに 何か号令をかけた。
そして宙に 再び汁風は浮いた。
ゴワッハーーー
シードラゴンは口から
津波を発生させた。
抜群な敏捷性を誇るアラン以外は
皆 津波に呑まれてしまった。
空中高く飛び上がったアランに向かって
汁風は
言った。
「かかったなアラン!
お前なら
空中に逃げるとハナから
思うてたわ。
アホが!
」
風渦霊術くらえーーーーっ
不意打ちとは卑怯な
汁風
う、動けん
しかも
このハリケーンの渦に
オレ様は勝手に
連れ去られる
ぐう
ぐっぬぬぬぬ
ぬけん
ぬけれん
脱出不可能か!?
船上にミレーヌ も
駆けつけてきたが
時すでに遅し
アランは
竜巻のような術に呑まれて汁風と共に消えていった。
シードラゴンも いつのまにかいなくなっている。
船は 津波の勢いで
どこかに
流れ着いているようだ。
「アランーッ」
津波に呑まれながらレックスは 叫んだ。
オレを信じろー
密かに
遥か遠方に消えているアランから
そのセリフが聞こえたようにも感じた。
もちろん空耳の可能性もある。
「汁風までが……
私達の敵になるなんて
そんなぁ
神様は
本当にいるのかな?
なんだか
色々信じられない」
ミレーヌ は 津波に呑まれながら
ボソッとつぶやいた。
どれくらい時間が経ったのだろうか??
レックスは目を開けた。
「うっ?!眩しい
オレは死んじまっただぁ?
いや、生きてる?
死後の世界?
どこだ?」
第5章へ続く……


