この物語の主人公 加藤賢 地面に草刈りをした後のゴミを入れるダンボールを 何度も踏みつけながら 怒鳴った。
ヤクザとも思えるような ガラの悪い50前後の社長も、その付き人の強面の 男も賢の 変わりように驚き動きが止まる。
賢と同じく派遣の40歳前後の二人の 男性は それを 気にしないように アスファルトの草取り作業を たんたんと進めていた。
社長「世の中は理不尽な事が多いし、ワシが 加藤君に修行つけてたんよ そんな 怒らんでも……」
加藤賢は 草刈り用の鎌を 思いっきり地面の土に上から振り下ろし刺して 社長に こう言った。
「社長よー さっきもだが、 いつも いつも オレのマジシャンとしての腕前も見たことないくせに そんなんで将来 有名になるなんて 30手前になって アホくさい とか 言ったよなぁ」
賢は社長の胸ぐらを掴んで 物凄い形相で 声を上げた。
「加藤君 落ちつけって!ワイも 言いすぎたわ。理不尽なことを」
強面の付き人の田中は、 いつになく困り顔で賢に言った。
「田中さんなぁ オレが 仕事を早くやってたら 早すぎる足並みそろえて草を刈れ!と言い ゆっくりやってたら 遊んどんか?どうせ 加藤の脳内は ロクな事を考えてねえ とか さっきも言ってたよなあ? おめえ理不尽すぎるぞ いつも ゴラァ!」
社長の胸ぐらを 放すと 今度は 今にも 殴りかかりそうな勢いで 田中に睨みつける加藤。
「ワイ ヤクザと交流あるぜ!加藤君よお 大人しくしないと 怖い おじさん達呼ぶけど ええの?」
田中は 本当に呼ぼうかと ガラケーをポケットから取り出したが、すぐ ガラケーをポケットにしまいこんだ。
「上等じゃねえか!呼んでくれよ。全員 オレ一人で始末してやる」
田中は 気を紛らわそうと ポケットに手を突っ込んで煙草を吸おうとした。
「田中 よお 人の話聞いとんか ゴラァ!」
田中の煙草を持った手を はたいて 煙草を踏みつけながら 田中の額にアイアンクローを決めた。
メキメキメキメキ…
田中「な、なんて力だ…
普段からは
おどおどして細身で 気弱な野郎にしか 見えねえのに こんな力があったなんて」
加藤は技を外し こう言った。
「オレ 帰るわ!てめえらの やり方 人を いじめて こきつかうやり方
許せんから 訴えてやる 覚えてろよ」
田中は 本当に その場から離れて岡山県中庄駅近くのレオパレスに帰った。
そしてレオパレスに帰ったら我に戻ったようだ。
「あっ
しまった。僕 また やっちゃった。
だから 僕は 普通の仕事が 続かないんだよ。 何やってんだ僕。」
加藤賢。年齢29歳。 スポットでの派遣の仕事をしながら 時々 岡山中央町のマジックバーグロリアスでマジシャンをしてる青年だ。
マジシャンとしての腕は まだまだ未熟だが やはり二面性があるので マジックバー店長よっしー から マジックバーでの勤務は週に2〜3回までに 抑えられてるようだ。
なので賢は時に ホテルとか お祭りとかのイベントでマジシャンとしてのパフォーマンスをしてるようだ。
見た目は 芸能で言うなら福士蒼汰を 少し崩した感じと言ったら良いだろう。
なかなかイケメンよりな男でもあり オシャレな雰囲気もある。
彼は自分が常に「おどおどモード」なので どこの仕事に行っても 挙動不審の加藤と呼ばれていた。
だがアドレナリンとか鬱憤がたまると「オラオラ系モード」になり 「おどおどモード」では言えないような言動が言えたり大胆な行動が取れたりできるようだ。
ちなみにマジシャンの道を選んだのも 恋愛ごととかプライベートで傷つきまくり「オラオラ系モード」になってた時に 路上マジックしていた よっしーに
思いっきり噛み付いたのが きっかけだ。
「タネがあるのに カッコつけんな」とか「オレだったら将来的に あんたを超えてみせる」とか 喧嘩をふっかけるように よっしーに 絡んだのだった。
逆に それが 30歳半ばの よっしーからしては 可愛いかった? 面白かったのか? オレの元でマジシャンとして歩んでみないか!?と 賢をグロリアススタッフに入れたのだった。
そして 忙しい中 よっしーは 賢にマジックの基本的な事は教えた。
美味しいお店とか夜のお店も教えたようだ。
よっしーは「おどおどモード」の賢も「オラオラ系モード」の賢も 受け入れている数少ない人材のようだ。
グロリアススタッフには 翔太という専門学生19歳の細身のロングヘアのイケメンもいる。
黒縁メガネのアシメヘアーの金髪の瞬もいる。
帯津秀樹という31歳のツートンカラーのキザな男もいる。
やはり よっしー以外は グロリアススタッフは 「オラオラ系モード」の賢を 受け入れてないようだ。
11月の日も早く暮れ出した ある日の事。
いつものように夜19時からのマジックバーグロリアスに行くため 賢は岡山中央町のパーキングに車を停めて 歩いていた。
しかし なんか後ろから 誰か つけてきてる気がする…
「気のせいか〜 って
僕 普段は 怖がりだし心配性だし もてないし なんかネガティブな塊なんよなあ」
弱々しいつぶやきと ともに 賢はグロリアスに急いだ。
スナックや居酒屋とか 立ち並ぶ岡山中央町のビルの二階にあるグロリアスの窓を開けて よっしーらに 挨拶する賢。
「おはようございます!今日も よろしくお願いします。」
よっしー「賢ーーっ お前 また 仕事辞めたのね! じゃあ グロリアスで働けるようシフトを調整してあげよっか?」
瞬「オラオラ系モードになる事は滅多にないけど 営業時間中に オラオラ系モードになると やばいんで店長 あまり そいつの肩持ったら ダメですよ。」
メガネを動かしながら瞬は言った。
「オラオラ系モード?!なんすかそれ?」
テーブルを拭きながら翔太は よっしーに言った。
帯津「賢はなあ めっちゃおどおどしてるだろ?なんか こう ゲームのゲージのようにストレスゲージが 溜まったら爆発して別人みたいになるんよね」
帯津は ふてぶてしい顔で賢に言った。
賢「そういう時もあります…… すいません」
よっしー「何もあやまらなくても いいんだよ。 今日も頑張って欲しいので お客様が来るまで 僕特製のノンアルコールカクテルを飲んでおいてね」
賢によっしーは オリジナルノンアルコールカクテルを差し出した。
黄色く光るノンアルコールは 賢に元気を出してと言わんばかりの輝きを放ってるようにも見えた。
賢「そんなぁ 色々とよっしー店長 ありがとうございます。 なんだか すいません。」
よっしー「そんな 僕に あやまることはないよ。 」
こうして 19時30分くらいから ちらほら お客さんも入ってきて なかなかの盛り上がりをマジックバーグロリアスは 見せていた。
まだ経験が浅い賢は サポート役としての働きしかないようだ。
ひたすら よっしー以外は 賢に あれとってきて、外で客寄せしてきて 掃除しといての 意見に はいはいと 誠実にサポート業務をこなしていた賢。
しかしサポート業務ばかり1ヶ月も 変わらずだったので 内心は惨めな気持ちにも賢は なっていたようだ。
夜も22時くらいになって お客様がいったん0になった。
その時に買い出しに行った翔太が帰ってこないと 帯津が グラスを整えながら言った。
帯津「遅いなあ翔太の奴、すぐ近くのファミマに行ったんじゃなかったのか?」
瞬「オレ電話してみるわ」
瞬が電話しても 翔太は 電話にでない。
よっしー「おかしいなあ 何かあったのかな?」
翔太を探しに行こうとした途端に ガラの悪い40前後の男達がマジックバーに5人 入ってきた。
そして そこには草刈りとか土木作業の時に社長の付き人だった田中がいた。
田中「よお!久しぶりだなあ 加藤。 おまえ ここで働いてたのか? マジックバーで働いてるとか将来マジシャンで食っていくとか あの時言ってたのは 妄想かと思ってたぜ」
田中は さっそく煙草に火をつけて わざとかと思える皮肉な言葉を 賢に浴びせてきた。
他の4名の男も 禍々しいオーラに満ちていた。
「あの時は 勝手に仕事辞めちゃって どうも すいませんでした。」
賢は深々と頭を下げた。
よっしー「賢の 数週間前まで働いてた派遣の仕事先の上司さんなのね。 まあ 何があったか 僕は詮索しないけどね」
賢「すいません… 」
よっしー「なにも あやまることはない
ガラが悪いけど 大切なお客様だ。 しかも5人もいるんだ。 君は いつものようにサポートに回ってたらいいと思うよ」
賢「はい。わかりました」
震えながら 賢は グラスにビールを注ごうとした。
が、緊張からか ビールがテーブルの下に溢れた。
帯津「うわっ なにやってんの! 賢。」
田中「相変わらず おもろいザマだな 加藤。」
田中は やたら嫌味っぽい口調で 賢に そう つぶやいた。
瞬「それより 翔太どうなった? 」
帯津「あいつ ずらかったんじゃね? でも なんか 嫌な予感がするなあ」
よっしーは さっそく テーブルマジックを田中らに 見せていた。
強面の輩風な人達も おおーーっ とか すげーー
とか 素直に よっしーの腕前を褒めていた。
しかし 田中は いきなり こう言った。
「あんさんよぉ そこの加藤って奴は ワイに 一流のマジックができるとか ほざいてたし、熱く夢を語ってたぜ! その 加藤のマジックが見てえよ。 」
田中「まだ 私のマジックが途中でして 賢は まだ初歩的で お見苦しいマジックしか できないと思いますが 交代して よろしいのでしょうか?」
いつになく謙虚な よっしー。
「構わねえ。 なあ! みんなあ」
「おう!」
田中の 呼びかけに ドスの効いた声で強面の輩風な人達は 返す。
帯津「オレの足元にも及ばない賢だけど、おまえ 男だし やる時にはやるよな 」
賢「わかりました… んんん でも
でも 僕は 」
瞬「賢ちゃん おじけづいてのか?身体が震えてるよ。 頑張ってね」
賢は 震えながら 田中の前で トランプの 答えたカードが 徐々に上がってくるマジックとか さっそく披露するが いつもはできるのに その日に限って 失敗しまくる。
そして 挙動不審さが いつも以上に目立っている。
田中「おめえ そんなんで プロ目指してやがるの?」
強面男達「ウケるねえ」
賢「すいません 次はちゃんと やります。次は得意なボールが増えるマジックを披露しようとするが
それも 失敗してしまう賢。
強面男達「ったく だらしねえなあ ぼったくりかぁ ここは!」
ドーーン!
いきなり一人の強面男がテーブルを叩いた。
よっしー「申し訳ございません。 こいつ まだ素人なもんで あとは このスタッフが 代わりに やらせていただきますので ゆっくりと 堪能してください。」
帯津が 変なムードだけど それを 切り替えるような ユニークなトークで 田中らの前に 立った。
一瞬シーンとした中で 外から 誰か来る足音が聞こえてきた。
そして
ガチャ
グロリアスのドアが開いた。
「はぁはぁはぁ」
息を切らして中に入ってきた
のは翔太だった。
翔太「そいつらにオレ ボコられ気を失ってた。 そいつらに警察に電話して 通報してください よっしー」
田中らは 本当に筋金入りの輩なのか!?
まさかの翔太が 傷だらけになりながらグロリアスに戻ってきたのに
何も動じず こう言った。
田中「おたくの加藤が お世話になった!おとしまいつけさせてもらっただけだ。 警察に言ってみなよ!警察の首も飛ばす 貴様らの店も潰す。 いいな?」
続けざまに強面男の一人が言った。
「今日の所は無料にしろよ! 文句あるか!?」
瞬は恐怖で すでに 腰を抜かして震えてる
帯津は まじか〜 くそっ とか 舌打ちしながら賢を睨んでいる。
さすがの よっしーも 唖然としてるようだ。
翔太は ぐったりと座り込んでいる。
だが店長らしく よっしーは「それで事が済むなら それでも良いかと思います。 ご迷惑をおかけして すいませんでした。」と 強面男らに 謝っている。
田中の連れの強面男の40前後の男が一人 上着を脱いで タンクトップだけに なったら 腕に龍のタトゥーが派手に目に入ってきた。
タトゥーの男「オレら こういうもんなんだが そんなんで許すと思うのか?ゴラァ」
よっしー以外も 全員 土下座して 謝った……
いや、正確には 一人だけ そんな中でも ふてぶてしい態度で腕組みしてる奴がいた。
そのスタッフとは
加藤賢だった。
タトゥーの男「おい こらぁ 土下座しろキサマ!」
田中「おまえ まさか……」
加藤賢「翔太を おめえらが、 やった上で こんな理不尽な要求して オレが 黙ってると思うか!?」
タトゥーの男「ヤクザものをなめとんか こらぁ」
加藤賢「うるせー 殺してやる」
賢は 刃物を持ち そのタトゥーの男に斬りつけた。
「やめろっ!」
よっしーが 賢の腕を持って止めた。
「離せ!離せってば」
よっしーだけの力では 及ばないんで さっきまで怯えてた 瞬とかも 賢を止めた。
が、恐ろしい力で よっしーらは はじきとばせされた。
「ええい!クソがぁー」
物凄い剣幕で 輩らを見て 輩らも 本当に殺されると思ったのか
「ずらかるぞー こいつ やべぇ もう 許してやるから 落ち着けよ」
そう言って店を急いで出たようだ。
二面性マジシャン加藤賢
その後の人生どうなるのか…
続く