第8講
二月の勝者×塾講×受験ブログ
塾が煽りまくる大学入試制度改革
(c)高瀬志帆/小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』
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学習塾の合格実績は伝統的に延べ人数で掲載をしています。 合格はしているので嘘ではありませんが上のコマのように優秀なお子さんが一人でいくつもの有名校の合格実績を稼いでいるということはザラにあります。
昔教室の責任者をしている時に延べ人数ではなく生徒の進学先実績を掲載しようとしたことがありましたが本部から厳重注意の上、止められたことがあります。
塾としては進学先実績を掲載してしまうと生徒数を明らかにすることと同義なため、なるべく避けたいということ、数字をちょろっとしか見ない方からするとあんまり合格していないなという印象を与えてしまうことの2点を以て延べ人数での掲載を続けるように指示を受けました。
ちなみにテストだけを受けにきた外部生を合格実績にカウントすることを多くの塾はしていません。塾同士の協定でそういった生徒をカウントしないようにしているからです。ただこれはあくまでも塾同士が結んでいる協定ですので独自基準で算出している塾もありますのですべての塾がそうだとは言えません。
Pick Item
大学受験改革
この第8講でもそうですが「お父さんお母さん方が経験してきた大学入試が大きく変わります。ですからこれまでのやり方のままではお子さんは意中の大学に進学できない可能性が高まります。従って早い段階から勉強を開始し中学受験をする方がお子さんにとっては良いと思います。」まぁ大体の塾がこのような論法で中学受験をすることを勧めていました。
大山鳴動して鼠一匹
まあ日本らしいといえば日本らしいですが政治家からの主導で始まったこの大学入試制度改革ですが2021年度文部科学省から改革の断念が明言されました。
いわゆるセンター試験入試改革の記述問題の導入、並びに英語入試の民間資格導入は導入が現実的ではなく不可能であるという見解を示しています。
改革案は意図として間違ったことは言っていないと私も感じています。ただどうやって実現するのかという点はこの改革案が出た時から私も疑問に思っていました。教育に関わる問題については常にこういう事がつきまといます。
子供たちのために、あるいは子どもたちの能力を鍛え上げるためにやった方がいいことはいくらでも思いつきますし、理想をあげたらキリがありません。
しかし実際にやるためにはどのように実行していくのか実行計画が必要になります。教育の問題についてはこの実行計画を後回しにして理想論を戦わせることが多いように感じます。結果たくさんの理想を掲げた方が議論には勝つわけですが実行段階になって実行不可能という非常に恥ずかしい結果になるということは多々あるのではないでしょうか。
中学受験塾から利用されて散々煽られてきた保護者の方も多かったかなと思いますが大学入試制度改革は断念の方向で話が進んでいます。 まあセンター試験に記述問題を導入したら採点にいくらぐらいの金がかかるんだよぶっちゃけという話です。
ただし解答方式は選択のままであっても思考力を問う問題に問題の質がシフトチェンジしていく可能性は十分にあります。
これから大学入試をする可能性のあるお子さんを持つ保護者の皆さんが最も意識していかなければいけない問題はこちらです。
これは制度改革というよりは従来目こぼししていたものを目こぼししなくなったぞという問題です。そしてこの問題の根幹には現在我が国が抱えている地方創生もっと言うと過疎化への対応という問題が隠れています。従って簡単に従来通りに戻ることはないのではないでしょうか。
大学入試を契機に大都市圏へ若者が移動し、そのまま学生生活を終えた後、大都市圏の企業に就職するという流れを政府は問題視しています。とはいえ地元に働くところがなければ若者は地元で就職ができないわけですが、昨今の政府が望んでいる若者の動きは、自宅から通える範囲の大学へ進学し、卒業後やはり自宅から通える範囲の会社に就職をす。その後の転勤等はあるのでしょうが社会人生活を地元で出発することを若者に望んでいるようです。
そのために若者に人気のある首都圏の有名大学の合格者数を厳格化させることで若者の大学進学を契機とした大都市圏への流入を防ごうしているのです。
ですからすでに首都圏に住んでいるお子さんに関してはほとんど影響はないのかなとも思います。むしろこの先時間が経って行くと圏外からの受験生の数が徐々に減っていき、逆に首都圏内の受験生にとっては入りやすくなる可能性も十分にあります。「有名大学の合格者数が厳格化され、かなり減りますので今のうちから準備をしておかないと非常に危険です」といった煽り文句も学習塾の常套手段です。塾の言うことだけを鵜呑みにせずにご自身で情勢を判断して、お子さんにとって最も良い選択をしていただくことを願っています。







