中学受験生を潰してしまったことはありますか
私は20年前に中学受験生を潰してしまった経験があります。多分、死ぬまで忘れないと思います。まだ、塾講師になって3年目で大学生のアルバイト講師だった頃の話です。
二月の勝者の黒木先生のエピソードは自分のことを書いているのではないかと思うぐらい似ています。

ちょっと黒木先生のとは動機が違いますがね。
六年生の4月末に担当クラスの生徒が第一志望の学校に偏差値が10足りなかった。本人の意思に関わらず保護者が「どうせ受からないからもう受験はやめます」と受験の取り止め宣言。本人は号泣。
この涙に負けてしまった。特別メニューを組んで上司が止めるのも聴かずにとにかくプリントを大量にこなさせ、プリントの復習プリントやプリントの定着チェックテストなどをとにかくやりまくらせました。
結果的に成績は急上昇して、第一志望校には合格をしましたが、成績をあげるためのお膳立てを一から十まで指示をしていたので、本人が自分で考えて勉強に取り組むという経験をさせていなかったのです。
私の手を離れたその生徒は、勉強の指示を細かくしてくれる人間がいなくなり、中高一貫校のスピーディーなカリキュラムの前に、学業についていけなくなってしまったようです。
結果的に中二になるタイミングで自主退学をして、地元の公立中に戻ったそうです。
二月の勝者のように引きこもりにならなくて本当によかったと思っています。

塾講師歴が20年を越えた今、思うことがあります。『正しい受験指導とはなんなのか』ということです。私は受験指導とは器に水を注ぐということだと思います。
器の大きさも深さも子供によって千差万別。入試までにできるだけたくさんの水を器に注ぐ。
勢いよく水を注げば、水が器の外に跳びはねます。さらに勢いが強ければ、水が器を割ってしまうかもしれません。そうなったら指導は失敗
です。子供の器にあわせて、丁寧に水を注ぐことが正しい受験指導だと思うのです。