実は、フランスで勉強していた頃、
どうにも耐えられず、道を歩きながら泣いた事があります。

どうしても、見えてしまう人の気持ち。
それが、やっぱり日本とヨーロッパでは随分違っていて、
壁を取り去って、全てを受け入れようとしていたわたしの心には
ほんの少しずつ負担になっていたみたいです。
無邪気に遊ぶ子供達の公園を囲う、2m以上の柵。
わたしの前を歩くおばさまが、急に立ち止まり、
自分の家を知られないようやりすごす、その時間。
移民たちを警戒し続ける、人々の鋭い緊張感。
上げたらキリがないけれど、
日本にはない、「気持ちの壁
」が感じられて、どうにも心が苦しかったのです。
誰もが優しいルルドの町で、
わたしは石畳の坂を上りつつ、
一人泣きながら、「なんでここにきちゃったのかな
」と思っていました。素敵な教会があり、
夢のような町並みがあり、
澄んだ鐘の音が鳴り響く中。
それなのに、涙が止まらない。
フランス中で少しずつ感じてきた、
人の気持ちが、そこで限界にきたのだと思います。
そんな時です。
わたしは、一軒の不思議なお店を見つけました。
それは、よくある、パワーストーンのお店だったのだけど、
何だかとっても気になって、わたしは慌ててタオルで顔を拭いて
お店をこっそりのぞいてみました
。店の中では、ふっくらとした女性が、
中年のおじさまに、何やら不思議な行動をとっています。
おじさまのお腹に手をかざして、
まるでそこから糸が出ているかのように、
フワンフワンと、引っ張っているのです。
彼女は時折、店のあちこちから、
石や、水のようなものを集めてきて、
また、おじさまに向かいます。
おじさまは、目を閉じながら
とっても穏やかな表情。
二人の後ろには、小さいおばあちゃまが1人、
ウンウンと頷きながら、温かい目で二人を見守っています。
なんとも不思議な光景でした。
わたしは、泣いていた事もすっかり忘れ、
店の入り口に立って、それを眺めていました。
10分ぐらい立った頃でしょうか。
彼女がトレビアン、と言って、
ニッコリと微笑むと、おじさまの肩をトントンと叩き、
おじさまは感激したように、彼女を抱きしめました。
そして、申し合わせたかのように、3人でわたしを振り返り、
「いらっしゃい」
温かな瞳が、しっかりとわたしを見つめていました。
それが、わたしの2人目の先生になる
Virgとの出会いでした。

次回に続きます
