佐藤大輔さんの「虚栄の掟」(幻冬舎)

 

   僕はゲームソフトの開発者。貴重な休日を「クソゲー」に突っ込むことで浪費したという空虚な気分で、その電話をとります。電話は、ボスからの急報。あるゲームソフト会社が倒産したという話に、僕は感慨におそわれます。その会社は、僕とボスにとっては因縁浅からぬ会社。受話器をおいた僕は、自分とボスが当事者だった数年前の「あの事件」を追想します。

   数年まえ、大学生でありながら、僕は神田神保町のゲームソフト会社クロスアートの開発室のメンバーでした。大学で知り合った伊達から、スカウトを受けたためです。クロスアートはPCゲームで確固たる業績をあげ、今はゲーム機用ゲーム界に参入しようとしています。そのために、次回作は大ヒットさせ、大儲けしたいところ。ですが、次回作の開発スタートは遅れています。ふたりのゲームデザイナー、伊達と西城が、それぞれ案をだし、そのすべてが魅力的すぎて、ひとつに絞れないのでした。

   そんなある日、僕は社長によばれ、重要な情報をきかされます。社内に独立をもくろんでいるメンバーがいる。ただ、それが誰かわからないため、僕に探りだせという話。僕への見返りは、ゲームデザイナーへの昇格。いなくなるであろうひとりの後任に、ということです。つまり、裏切り者は、伊達か西城のどちらか、なのでした。悪い条件ではないと判断した僕は、調査を引き受けます。そして、キーパーソンになるであろう、チーフプログラマーの知里島に探りをいれます。だれが裏切りものか、はとにかく、独立の際、必ず優秀なメンバーを引き抜いていくであろうというのが、僕の予想。知里島は、必ず欲しい人材であり、クロスアートにとっては、引き抜かれては困る人材なのです。伊達か西城か、どちらから知里島への働きかけがあったのでは。

   そんなおり、任天堂に並ぶゲーム機メーカー、カオスが、伊達と西城と僕に会いたいと言ってきます。それは、ゲーム開発者が欲しいカオスからの引き抜きの話でした。伊達と西城は、どう反応するのか、僕は興味ふかく見守るのですが・・・・・・

 

 

  ゲーム会社の話ですが、「任天堂ってなに?」というひとでも楽しめる話。

  「組織内のヒューマン・パワーゲームがテーマです。